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カラス天狗のお面を着けた美女がビーチに寝そべっているんだがナンパすべきか否か一時間考えさせてくれ

作者: 匿名希望

匿名希望です。

 推定御Gカップのモンスターホルスタインを引っ提げた、グラマラスビーチレディが、惜しげも無くうつ伏せで寝そべり、ハワイアンなジュースをストローで(いん)している。


「おい、凄いな。お前ナンパしてこいよ」


 友人が俺の鳩尾を肘で突いた。普通に痛い。


「お、おう!?」


 ナンパラスするか否かは置いといて、とりあえず観るだけならフリー素材だろうと友人を置いて一人近くへと寄ってみる。真夏のビーチは人で賑わっているが、その女性の周りだけは何故か別世界のように静かだ。


「!?」


 その女性は何故かカラス天狗のお面を装備していた。そそくさと友人の所へと戻ると所感を告げる。


「赤のビキニと茶のロング、そして推定御G」


「おうおう」


 友人が興奮気味に話を聞く。どうやら興味津々のようだ。


「それとカラス天狗」


「ん?」


 どうやら意識が飛んだようなのでもう一度告げる。


「カラス天狗のお面」


「は?」


 どうやら回線の具合が良くないようなので、再チャレンジ。


「黒いカラス天狗のお面を付けてた」


「んなアホな」


 友人が一人砂浜を歩き、件の女性の方へと歩き出す。ニヤけながら両手でボインのジェスチャーをした友人を見て、ああはなりたくないなと思った。


「カラス天狗だったわ」


 帰ってきた友人は開口一番にその存在を認めた。


「あれは何なんだ? ナンパ避けか?」


「ならビキニを止めれば良いんじゃないか?」


「いや、きっとかなりの美人なんだろうぜ。それでナンパされないように、父親にカラス天狗のお面を付けさせられたと推測するぜ!」


 ぐへへ、と友人が清々しいゲス笑いを浮かべた。想像力豊かで気持ち悪い奴だ。


「どうする? 行くのか行かないのか」


 それは何故か俺が決めなくてはいけないらしく、そして行くのも俺のようだ。


「行くだろ。お面取れば良いんだからな」


「お前頭良いな」


「ありがとう」


 呆ける友人にお礼を述べ、俺はカラス天狗のお面を付けた御Gへと歩み出した。



「あのー……」


 御Gょうさんにとりあえず声をかけてみる作戦。カラス天狗のお面が此方を向き、「なにか?」と高い声が返ってきた。


「素敵な御Gカップですね」


「Hカップです」


 俺は友人に向かってボインのジェスチャーを大きくした。


「それは失礼を」


 一礼し、俺は……話題が尽きた。


「何か話題はありませんか?」


 もう、ダメ元で全てをはっちゃけた。どうにでもなれだ。


「プッ、なんだいそれは」


 カラス天狗のお面がクスクスと笑い出し、俺も乾いた笑いを出してみる。どうやら大外れは免れたらしい。


 カラス天狗の女性が、すっと体育座りに姿勢を変えると「良いお乳ですね」と本音を漏らしてしまった。不可抗力なので許して欲しい。


「ありがとう。そこまで率直に言われたのは初めてだよ」


 お面の下からまたしてもクスクスと笑いが漏れた。どうやらこっち路線が正解らしい。遠くで突っ立ってる友人に《なんか知らんが良い感じだ》とジェスチャーで伝えると、《死ね》とジェスチャーで返された。そして友人は海に消えた。


「どうしてそんなお面を?」


 隣に腰掛け乳をガン見する。というか視線が外せない。呪いか?


「父上が……」


 どうやら友人の推測が真実となった。てか自分の娘にカラス天狗のお面を装備させる親ってなんなん?

 そんな憤りが頭をよぎった。


「嫌なら外せば良いんじゃないかな? もしかして外すと爆発するのかい?」


 ハハハと愛想笑いを浮かべるが、カラス天狗のお面からは冷たい視線が送られた。どうやら本当にそれらしい理由のようだ。マジかよ世も末だな。


「ならさ、誰も居ない所へ行かない?」


「えっ?」


 どうやら意外な台詞らしく、カラス天狗のお面から何やら躊躇いを感じられた。しかし俺の視線はA5ランクのお乳ですねに釘付けだ。俺も末だな。


「二人きりならそのお面外せないかな?」


「…………」


 カラス天狗のお面が静かに頷いた。そして乳も揺れた。



 岩場の影に二人で移動すると、途端に別世界のような気分になった。


「じゃあ……取るね?」


 そっとカラス天狗のお面に手をかけると、静かにお面が外れる音がした。しかし俺は咄嗟に目を閉じてしまった。


「……見ないの?」


「見てもいいの?」


「自分で誘ったのに?」


 まあ、その通りだ。


「じゃあ、見るよ?」


 強く閉じた目を、少しずつ開けてゆく。そしてその顔が見えると、そこにはカラス天狗があった。


「あれ? 外してないじゃん」


「はずしたよ」


「えっ? だってカラス天狗の……」


 そこで彼女の手にカラス天狗のお面があることに気が付いた。


「……えっ!?」


 思わず体を引いてしまうほどに驚き、二度見三度見を繰り返し、たじろいでしまう俺。


「ゴメンね。本物のカラス天狗なんだ」


「えっ!? マジで!? リアリー!? ファイナルアンサー!? フィフティフィフティ!? オーディエンス!!!!」


「うん、落ち着いて」


 細い腕が俺の方へ伸び、肩をポンと叩かれる。そして乳も揺れた。


「あ、はい。落ち着きました」


「バレたら連れ戻されちゃうから、黙ってて、ね?」


「本物のカラス天狗、さん?」


 カラス天狗の顔を指差し、ぽかんと聞いた。


「うん」


「本物のカラス天狗、さんのお乳?」


 カラス天狗の胸を指差し、ぽかんと聞いた。


「……ゴメン」


「!?」


「本当は、君の言う通りGカップなんだ……」


「最高です」


 俺は彼女のお面を付け、涙を流して親指を立てた。

匿名希望でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かった。書いてくれてありがとう。
[一言] Gがあれば他は大した問題ではない、視野がそこに限られるからです。
2021/05/10 22:26 退会済み
管理
[一言] 種族差別はいけませんもんね!
感想一覧
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