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黒雪伝説・略奪  作者: あしゅ
1/9

黒雪伝説・略奪 1

♪ マッチョ マッチョメ~~~ン ♪

 

イキの良いBGMに合わせて

トレーニングルームで黒雪が、ウッホ、ウッホとスクワットをする。

 

「はあ・・・、ゴリラにしか見えないわん・・・。

 しかもオスの・・・。」

入ってきたキドが嘆く。

 

 

「あら、おまえがジムに何の用なの?」

「だーかーらー、何度も言ってるけど

 アタシの仕事は、黒雪さまの美容管理ですのよん。

 健康も美容の一環!

 で、トレーニングをしている間、これを塗っていてくださらない?」

 

キドは黒雪の顔に、クリームを塗り始めた。

「・・・これは何なの?」

「パックよん、パック。

 王子さまが帰ってきたら、またパーティーでしょん?

 それまでに、ここ! と ここ! の

 憎っくきシミを取っておかないと!」

 

 

黒雪がキドにグイグイとクリームを塗り込まれていると

王子の執事が転がるように部屋に入ってきた。

 

「た、大変です!!!!!」

 

「あれ?

 ネオトス、おまえ王子に付いて行ったんじゃないの?」

 

 

温泉を見つけて帰城した王子と黒雪に

北西の村から、鉱脈があるかも知れないという情報が入った。

 

黒雪は行きたがったが、妊娠の有無が判明するまで

城で大人しくしているよう言い残し

王子は執事を連れて、北西の村へと視察に行ったのである。

その配慮も虚しく、黒雪は筋トレなんぞをやっとるわけだが。

 

 

「はい、村へは無事に着きました。

 しかしそれは罠だったのです!」

「何とな!」

 

「海賊めらが村長の孫を誘拐し、脅していたのです!」

「何とな!!」

 

「海賊は、巷で噂の剛の者・黒雪さまを狙っていたのです!」

「何とな!!!」

 

「しかし黒雪さまがいないと知るや、王子をさらい

 返してほしけりゃ、黒雪さま御自ら迎えに来い、と。」

「何とな!!!!」

 

 

「イケメン王子がヤツらの毒牙に掛からないかと

 もう気が気ではなく・・・。」

 

キドが口を挟んだ。

「ちょっと待ってん。

 その海賊って男性なのん? 女性なのん?」

 

ネオトスが憎々しげに言う。

「全員女性なのです!」

「何とな!!!!!」

 

 

キドは黒雪を見ながら鼻で笑った。

「・・・黒雪さま、あんたバカみたいよん。」

 

黒雪がいくら怒りに拳を震わせても

海草パックを塗りたくられて顔面真緑なら、アホウにしか見えない現実。

 

「とにかく、村へ急ぐわよ!」

「ああっ、待って、せめてパックは拭き取ってええええええん!」

 

 

北西の村は特に雪深く、10月の下旬には既に行き来も困難となる。

短い夏が終わろうとしている今

王子救出作戦は1分1秒を争う急務なのだ。

 

黒雪は武器庫に行き、フル装備をし

兵士たちを引き連れ、北西への道を進んだ。

 

そりゃもう、活き活きと。

 

 


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