Session04−04 ”疾風の狼”
一度、習慣が途切れた後、戻すのが難しい・・・。
年の瀬の真っ只中ですが、自分の気持の切り替えも兼ねて、更新しました。
コロナによる仕事の変化に始まり、適応障害。
欠勤上限による退職からの転職。
給料は下がりましたが、現職は居心地の良い職場なので、しっかりともう一度頑張ってる最中です。
執筆はサブのMacでやれてるんですが、メインのWinがぶっ壊れました。
データも、結構吹っ飛んだのですが、どうしても残ってて欲しかったデータは生きてたので一安心です。
(それまでの間にすごく色々とやらかしてますが・・・。)
今年一番、自分に突き刺さった映画が『フリーガイ』なのですが、その主人公のセリフを使わせて貰いながら、皆様へ。
『来年は、良い一年ではなく、素晴らしい一年になりますように』
アイルたちの物語、出来る限り紡いでいきますので、更新されておりましたら、是非、ご一読ください。
※更新内容
段落の先頭一文字下げを忘れてたため、修正。
クレア→クリスへ修正
楓→柊へ修正 (間違い指摘、ありがとうございます!
「ラース……いや、ヨハン。クリスさんとはどの様な関係なんだ?」
俺の言葉に、ラースはこちらに顔を向けた。
その目からは滂沱と涙が流れており、彼自身にもこの再会が意図していなかったと言えよう。
そして、慈しむようにクリスさんの頭を撫でると、ポツリと口を開いた。
「俺が、チョトー村出身なのはご理解頂いていると思います。その時に、住んでいた家の隣家の家族が、クリスの一家だったんです。……それで、隣に住んでる俺が兄代わりとして、小さいこいつのお守りをしてやってたんですよ。
二十年前のあの時……村を急いで出ないといけなくなった際に見失ってしまい……俺たちは奴隷とされましたが、その時に会えなかった為、諦めてました……。
そうか……生きててくれたのか!!」
「あの時、兄ちゃんのお母さんがお年寄りと一緒に舟で対岸に送ってくれたんだ!それで、それで私だけ……私だけ!!」
「……良い。お前は悪くない。生きててくれて良かった。」
俺はその話を聞いて、空を仰ぐように顔を上げた。……多分、そのままだったら涙していただろう。堪えるように上を向いた。
周りからは鼻を啜るような音が響く。
サンジェルマンさんを初めとしたギルド職員のメンバーに始まり、バーバラ達も涙を拭っている。二十年。その長きに渡り、生死が絶望視された相手が現れたのだ。十分に恋愛譚として語られ得るだろう。
「よかった……よかったなぁクリスさん。あたし、こう言う話に弱いんだよぉ。ぐすん。」
「うむうむ!幼少時より想い続けた男女が、今まさに再開したわけじゃ。こんな恋愛譚、そうそうないからのぉ。」
ピッピは貰い泣きで滂沱と涙し、それを慰めるようにバーバラが彼女の肩を優しく叩く。そう言う彼女自身も、二人の姿を見て涙を堪え切れていない。
フィーリィとイーナも自身の目元に光る涙を拭っているし、柊に至ってはボロ泣きだ。こう言った時に、その気持ちを直裁に表現できる嫁達が本当に可愛い。
「クリス。ハンナ、ラース……師匠の弟子。師匠の大切な人なら、ハンナにとっても大切な人。何かあったら頼れ。」
「……はい。ハンナちゃん、よろしくね?」
「!!……任せろ!」
ハンナの言葉に、クリスさんが自身の涙を拭いながら答える。
その答えに、ハンナが任せろと言って胸を強く叩く。その力強さに少し、安心したのかクリスさんが笑顔をこぼした。
そんなやり取りをしていると、サンジェルマンさんが手をパンパンと打ち鳴らして、皆の視線を集める。
「ゴホンッ!……素敵な再会の最中ではございますが、時間は有限です。鑑定が終わりましたので、報告させて貰っても良いでしょうか?」
「ああ、サンジェルマンさんの言うとおりだ。クリスさん、本日の晩餐に招かせていただきますので、その際にでもラースとお話ください。……改めて、サンジェルマンさん、お願いします。」
「承知しました、アイルさん。では、今回の納品による報酬ですが、金貨二枚と銀貨五十枚と査定いたしました。
金貨二枚の内訳はトロール四匹になります。全身があるため、革細工師からしたら喉から手が出る程の状態ですからね。それに、辺境伯様からトロールが納品された場合は卸すように言われておりますので……。
オーク、ゴブリンも全身がありますから……合わせて銀貨五十枚と査定いたしました。ここまでで、ご質問はございますか?」
「我らとしては問題はない。解体についてはギルドに任せたいので報酬の一割の銀貨二十五枚は引いておいてくれ。」
「応ッ!!金さえちゃんと払ってくれりゃ、あとは俺たちの仕事だ!任せときな!」
サンジェルマンさんが、内訳を説明してくれた。
やはりトロールが丸々四匹分入っていたのが大きい。大きい部分から一枚板の鎧を作ることができるし、あまった部分の皮も小札状にして連ねれば、スケイルメイルにすることもできる。骨は骨材として様々な品に加工出来るし、解体せずに剥製にして売ることも可能だ。
この後、ギルドから辺境伯邸へ連絡が入り、どのような手筈を取るかを決め、それに合わせた作業を行うのであろう。
オークはもっと簡単だ。解体して、肉は食用、脂は燃料、皮は鎧、骨は骨細工、睾丸は精力剤として使われる。
肉は比較的高級品扱いだ。料亭などへ納品されていれば、注文が殺到するぐらいの人気はある。ただ、こう丸々持ってくるには魔道具などが必要なため、品薄なのだ。
脂は、獣脂と同じくらいの価値だ。安い代わりに匂う。獣の脂よりは匂いが強くないため、入荷した場合、即売れる。これも、肉と同じように品薄気味だ。
皮は鎧の素材として使われる。獣よりも皮を鞣す行程が少なくて済むらしく、人気らしい。特に身体が人と同じ作りをしているので、加工し易いというのもあるとのことだ。これも、品薄。
骨は装飾品の材料になる。簪の土台や、剣の柄の部分と言った飾り付けられる部分に、その頑丈さから重宝されている。
睾丸は……錬金術ギルドが精力剤に加工して売っているらしい。
そして、最後にゴブリンだが……これはもっと単純だ。脂と睾丸以外は廃棄になる。
脂は燃料、睾丸は精力剤。肉は臭くて食えた物じゃないらしいからな。
バーバラの言葉に応えた職員が、オークとゴブリンの解体をし始めたのを見て、バーバラが皆に向き直る。
そして、ニッカリと笑みを浮かべた。
「では、ギルドの方へ戻ろうか!」
◇◇◇
「おい、てめぇ!!何しやがる!!」
「俺たちの邪魔をするってのか!!ええ!!」
俺たちが倉庫を出て、訓練場を横断してギルド内へ戻ってくると、険悪な空気が漂っていた。
ハンナに至っては、腰に佩いた剣の柄に手を伸ばしている。不埒な輩への対応が、いつでもできるようにだ。
カウンター近辺まで戻ってくると、酒場部分の方でもめ事が起こっているのがわかった。
……なんか縁でもあるのだろうか?
そんな事を考えてるのかを察したのか、バーバラ、フィーリィ、ピッピ、ルナにクリスさんは苦笑いを漏らしていた。
「その子らが困ってるから、俺が代わって注意してやったんだよ。」
「ああん!?お前らには関係のないことだろうが!!」
「冒険者の先達として、新人が困ってるところを見過ごせねぇんでな!」
そこでは、戦士然とした男が、年若い少年少女達と柄の悪い男達を遮る様に立っていた。
その近くには、魔術師然とした男に、野伏然とした女性が油断なく控えており、もしも喧嘩となればいつでも参加する準備は出来ているようだ。その位置取りや、隙のなさから実力は上々と見て取れる。
比べると……向こうの一党全員がかりで優勢になると言ったところだろうか。
……それよりも、戦士然とした男の身構えた姿に見覚えがある。
……あれはもしや……!
「バーバラ。」
「ん?どうしたんじゃ?」
「あの男……覚えてるか?」
「あの新人をかばってる男か……?確かにどこかで…見た覚えがあるのぉ……。」
「……宿の風呂に移動するときに、俺の殺気に反応した男だ。」
「……ああ!あの、立ち上がって身構えた男か!」
バーバラの言葉に頷いて見せる。
宿の風呂が用意できたと向かった際に、下卑た視線を感じた俺は、宿の食堂全体に対して殺気を放った。
その時、殆どの人が凍り付くように身動き取れない中、あの男だけは立ち上がり、俺の方へ向き直って剣の柄に手をかけたのだ。そして、今、聞こえた限りの内容でも、彼は真っ当な冒険者と言えよう。なら、欲しい。
俺の視線、そして表情を見て、バーバラはニヤリと口を歪めた。ああ、わかるとも。そう言いたそうだった。
「……アイル、あの戦士に肩入れするんだよね?」
「そう考えてる。……ルナを助けた時の俺みたいだな。」
「うん。……でも、今回は相手が違うからね。見る限り、あいつらは鉄以上だよ。」
ルナが俺の横に並んで口にする。
そう、俺たちが一党になる切っ掛け。あの時と似ていた。
でも、違うところがある。あれは新人同士だった。今回は、新人を挟んで、先達同士だ。
人数は戦士の方が三人。戦士がメイン前衛、魔術師が後衛、野伏がうちと同じく前〜中衛だろう。
それに対して、相手は六人。戦士然とした奴が三人、魔術師然とした奴に神官然とした奴、それに野伏然とした奴。全員男だ。
新人は一党を組んでるようだ。戦士然とした少年と少女、野伏然とした少女、神官然とした少年、魔術師然とした少女……よくよく見ると、成人していないのではないだろうか?
普人族換算で15歳から冒険者になることができる。それにしては幼い。……未成人だった場合、考えられるのがメンター制度だ。
冒険者は15歳からなることができる。
しかし、殆どの仕事は荒事だ。害獣の駆除、魔物の討伐、盗賊の討伐という感じに。勿論、薬草の採取と言ったものも存在はする。だが、簡単で安全なものほど、報酬は少なく、そして早い者勝ちになってしまう。
過去には、駆け出しのそう言った冒険者を食い物にするような輩がいたらしい。その為、薬草採取と言った比較的に手頃な依頼と言えども、ギルドは相手を選ぶ。
……今だと、駆け出しの冒険者に先達冒険者が指導するメンター制度というものがあるため、その過程で実力を付けて、未帰還になることは少なくなったというが……。このメンター制度、これも一時期問題があったらしい。
悪い奴はいるもので、メンター契約を悪用して奴隷の様にしていたという話だ。しかも、下は破落戸に始まり、ギャングや盗賊団、ギルドの一部職員やギルドが運営する職業学校、そして貴族まで絡んでいたと言う。
そんな状態なのに大丈夫なのかって?
……十年前に、一つの事件が起こったんだ。”鮮血浴”と呼ばれるんだが……先程言った、下は破落戸、上は貴族……しかも、公爵家がだ……その関係者全員が無惨に殺されたんだ。……一人の銀の冒険者に。
その冒険者は、どれくらい積極的だったかを問わず、関わった相手を全て惨殺した。関係者の死体は、その関係者と必ず分かったらしい。
その事件があって、冒険者全員が身なりを正した。……なにせ、格好の見せしめが存在したわけだ。
……だから、今は大丈夫。殆どの冒険者は。
あくまでも、推測だが……メンター契約の事をあの戦士の一党と話してた時に、絡んだのではないか?
見る限り、奴ら全員酒が入っている。顔は赤く、足取りが少し怪しい。
余りにもしつこく絡むため、戦士達が立ち上がったと言ったところか。
「んー……憶測で決めちゃダメだぜ?あたし達もここを使うのに空気が悪いのは困るって体で仲裁に入るのがいいんじゃないかな?で、組するなら新人を守ってる方だな!なぁ、イーネ?」
「そうですね。ピッピさんの言うように、まずは仲裁しましょう。……見た目からしても、あの方々は色々と問題ありかとは……。」
俺が両方の陣営を見比べていると、ピッピが注意をしてきた。言っている事は確かに正しい。見た目や雰囲気が悪いとは言え、一方的に決めつけるのは良くない。
ならば……。
バーバラの方を見ると、うむっと一度頷いて、彼らに近づいて行く。その後ろを俺が進む。
こう言った時には、バーバラが話をし、俺がすぐ後ろで構えるという役割分担だ。
「やぁやぁ、取り込んでおる所済まぬ。我が名はバーバラ。一党”鬼の花嫁”の副党首じゃ。後ろにおるのが党首のアイルじゃ。……報告も終わり、打ち上げをしようと参ればきな臭い雰囲気。我らも気持ちよく酒を吞みたいのでな。争いごとなら仲裁役を務めようとしゃしゃり出た次第。……さて、どうなっておるのか教えて貰えぬかな?」
「……俺は一党”疾風の狼”の党首でタルドだ。ここにいる新人たちとメンター契約で話をしてるところに、こいつらがちょっかいをかけてきてな。特に女相手にしつこく絡んで来るから注意したら、喧嘩腰になったってわけだ。」
「ああん!?俺たちは酌をしてくれってお願いしてただけだ!それに、関係ない奴らが出て……。」
バーバラの言葉に、タルドが朗々と答えた。これだけで、相手が悪いのが分かる。
タルドの言葉に逆ギレするように叫びながら、こちらを向くがそこで相手は言葉を止めた。
全員が俺たちの方を向いて、ぽかーんと口を開けている。暫くすると気を取り直したのか、ゴホゴホン!と咳払いをするが、それに合わせて下卑た視線が向けられるのが分かる。しかも、この感じは俺だけではなく、後ろにいる皆にも向いているのが分かった。
拳を握り込む。ゆったり目の道着を着込んでいるため気づきづらいが、腕に力を入れる。そして、笑顔を浮かべた。
バーバラも下卑た視線を感じたのか、俺の方へ目線を送る。そして、あちゃーと言わんばかりに自身の額に手で触れた。タルドの方は、以前に同じ感覚を受けたから理解したのだろう。腰の剣へ手を添える以外は新人たちの前に立ち、仲間の魔術師、野伏も新人たちを守る様に立った。
タルドとやり合ってた男が下卑た笑みを浮かべながら、俺に近づいてくる。相手の顔を見て察したバーバラは、俺と相手の直線上に入らないように横にどいた。それを見た相手は、気をよくしたのかそのまま近づいてきた。
「おお、おお……。お嬢ちゃんたちよぉ。あんたらでいいや。俺たちと一緒に酒を吞もうぜ?楽しんだ後は、一緒に夜も明かそうぜ?なぁ?」
「そうだ、そうだ。俺たち、この街の良い宿に部屋取ってるからよ。あんたらも一緒に来いよ。気持ちよくしてやるぜ!」
ギャハハハと下卑た笑みが上がる。近づいてきた男は、笑いながら俺の胸を掴んだ。感触を楽しむかの様に揉みしだく。
それでも、俺は笑顔を絶やさない。それを見て、肯定と受け止めたのか、俺に肩を回そうとするが……。
ドスンッ
膝を相手の股間に打ち込んだ。下卑た笑みを浮かべていた男の顔がめまぐるしく変わる。下卑た笑みから驚愕に変わり、そして、遂には悲鳴を上げるが……遅い。ぐるりと身体を後ろ回しにして、横から男の顔を蹴り抜く。ズバァァンと良い音が響くと共に、男の身体がぐるぐると回り、地面に倒れ伏した。
それを見て、現状を理解するのに時間がかかった仲間が、慌てて立ち上がり得物を抜こうとするが……。
既に、俺以外のメンバー全員が準備を完了している上に、タルドたち”疾風の狼”も準備済み。しかも、他にもいた冒険者たちも相手の仲間達に対して敵意を向けていた。……彼らの態度は、他の冒険者たちも敵に回していたのだ。
その上に、俺が再度、彼ら全員に殺気を放つ。俺の嫁に対して色目を向けたことを後悔させてやる……と。
それを感じ取れたのか、相手は倒れた男を担ぎ、ギルドを慌てて出て行った。捨て台詞を吐くような余裕はなかったようだ。
ギルドの入り口を出て行くのを見届けた俺の腕に、バーバラが手を添えてくれた。それを感じて、まだ殺気を放ちっぱなしだったことに気づく。大きく息を吸い、吐く。大きく息を吸い、吐く。気持ちを落ち着かせる。もう大丈夫だと、バーバラへ頷いてみせた。
「皆、すまぬな!皆の気分を害してしまったお詫びに、”鬼の花嫁”から一杯振る舞わせて欲しい!ワインを振る舞ってやってくれ!」
「「「「「”鬼の花嫁”に乾杯!」」」」」
「「「「「アイルに乾杯!」」」」」
バーバラが大声で、酒場にいる者たちへワインを奢ることを告げた。
それを聞いた冒険者達が、感謝の声と共に乾杯と音頭を取った。何せ、酒を不味くするような奴らがいなくなった上に、そこまで上等ではないワインとは言え、一杯奢ってくれると言うのだ。感謝しても罰は当たらない。
明るい方向に賑やかになった中、タルドが近づいてくる。その顔はニヤリと浮かべた笑みは、男臭く良い表情だった。
「これで、二度目の奢りだな。タルド?」
「……知ってたのか?」
「あの時、俺の殺気を受けて即座に対応した相手を忘れはしないさ。」
「そう評価してくれると嬉しいね。……しっかし、後が面倒そうではあるな。ああ言った奴らは。」
「……そこら辺についても、良ければ話をしたい。あなた達のメンター契約の事も含めて、少し話が出来ないか?」
俺の言葉に、タルドは驚いたようだ。
まぁそうだろうな。名乗るわけでもなく、殺気に反応して立ち上がった相手。それを覚えているかと言われたら、普通は覚えていないだろう。
しかし、俺はタルドの反応に興味を持った。宿の中で話をしているときに、急に殺気が飛んできたのだ。そこで素早く対応できる程の技量を持っている。それだけの戦士がいたことに興味を持ったのだ。
俺の評価にタルドは喜んでくれたが、先程の奴らについて、的確な評価も下していた。
ああ言った奴らは、蛇のように執念深い。面子を取り戻す為に決闘、もしくは闇討ちなどをやってくる可能性が十分に考えられる。
正直に言って、渡りに船と言える。
こちらとしては、タルド達を徒党へ組み込めるなら組み込みたい。更に、新人へのメンター活動をフォローすることで、そのノウハウも一緒に蓄積できれば最高だろう。
タルドたちは、俺たちの屋敷を提供出来るため、宿関連の費用が浮くこと。徒党に参加することで、俺たち全体で当たれるようになること。そして、辺境伯家の伝手…ブルズアイ含む…があるため、安全が高まる。
正直、悪いところはまずないだろう。
「……そうだな。その話ってのを聞かせて貰おうか。」
「あー、クリス殿。すまぬが会議室を借りたいので鍵を頼む。報酬もそちらに持ってきていただけると有り難い。……話を遮って済まんな。続きは、会議室でしようぞ?”疾風の狼”の皆と、新人の皆も参ろう。」
「クリスさん。後、申し訳ございませんが、お茶と何かおなかに貯まる料理をいくつか会議室までお願いします。」
タルドが俺の申し出に賛同してくれたのを聞いたバーバラが、クリスさんに鍵を頼む。
そのついでとばかりに、フィーリィが注文をお願いする。それを聞いてフィーリィの方を見ると、彼女は新人たちへ一度視線を送った。その視線を追って、改めて新人達を見てみる。神官と魔術師の子は環境が環境だ。比較的肉はついてるが、戦士と野伏の三人は少し、痩せているように見える。……多分、彼らは同じ農村の出だと思う。
なるほど……飯を食わせてやろうってことか。それを察した俺は、彼女へ頷いて見せた。
「承知致しました。では、皆様、二階の会議室へ参りましょう。料理などは持ってこさせますので!」
クリスさんが受付嬢の鏡と言えるような笑みを浮かべて、会議室へ先導するのであった。
世界観や設定も練り込まないとと思いつつ、ノクターン的なシーンも書きたいと思ったりと右往左往しつつ、ちまちまと書き溜めていきます。
皆様、良いお年を!




