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ヒロインと強い欲

「ん、あ~」


 目が覚める。


「確か俺は転生して‥‥‥そのあとの記憶がないな」

「まだ動かないで」


 隣から声が聞こえてくる。美しい声だ。そっと横を向く。赤い髪の毛にかわいい顔立ちをしている。


「あなた、倒れていたのよ。あんなに燃えている森の近くで」

「そうか、それで君が助けてくれたんだね」

「えぇ」


 返答が少し冷たい。




「は? ヒロイン可愛すぎやしませんかね?」


画面越しで彼らの様子を見ていたソウスケは少し切れ気味で言う。


「ていうか、オタク君のキャラ変わっていないかな。少しイケメンになりやがっていやがる」


 オタク君は石が頭にぶつかり性格が若干イケメンになっていた。あの早口も、自分語りも、アホみたいな願望さえもなくなっている。正直こちらからすればキモイ。


「へ~ ヒロインの名前エリーゼって言うんだ~」


 いつの間にかソウスケはオタク君ではなくヒロインの方を目で追っていた。

 ソウスケはとりあえずこいつらが戦うための仲間を集めるためにヒロインに仲間を紹介させるように仕組んだ。




「私の知り合いに魔王と戦うメンバーを集めている人がいるから、紹介するわね」

「あぁ、お願いするよ」


 こんな感じにうまく歯車は動き出した。


「お、もう定時か」


 時計はすでに6時を過ぎていた。それを確認するとソウスケは、部屋を出る。


「えっと、職場を出たはいいが、帰り道わかんないぞ。これ」


 ソウスケはここに来るまでリルに引きずられていたので帰り道が分からないのだ。


「あら、あなた何をそんなにあたふたしているのかな」


 急に話しかけられた。本当に急に。今突然そこに現れたかのように。


「いえ、帰り道が分からなくて」


 彼女の目を見ながら答える。彼女はとても美しい顔立ちをしている。


「あら、あなたは‥‥‥そうね、そういうことね」


 彼女は一瞬不敵な笑みを浮かべてから俺の方を向いて


「案内してあげる。その代わり、少し話をしましょうか」

「ありがとうございます。話くらいならいくらでも聞きます」


 少し不安だが彼女以外に頼れそうにもなかったので彼女についていくことにした。


「あの、名前は何て言うんですか?」


 歩き出してから、聞く。せめて名前くらいは知っておく必要がある。


「う~ん、そうね、エル‥‥‥とでも呼んでくれれば」

「エルさんですか」


 名前を言うのに考えるしぐさを取るのは不自然なのでおそらく偽名だろう。


「それであなた高校生かしら」

「えぇ、はい」

「なるほどね、純潔、いや、ソウスケ君だったかな、は現世では何かしていたの?」

「⁉」


 俺は名前を1度も言ってない、しかもこの女性とは初対面だ。なぜ名前が分かるんだ。


「純潔?」

「いいえ、気にしないで、こちらの言い間違え」


 彼女は冷静に返す。その笑顔はどこか冷たい感じがする。


「それで、質問に対しての返答は」

「あ、すみません。現世では特に何かやっていたわけではないです」


 なんとなくこの人が俺の名前を知っていることに関して深く言及しない方が良い気がした。


「ほんとうに何もしていなかった?」

「はい、生まれてから特にしていたことは無いです」

「ふ~ん、――無いのね」


 少し聞き取れなかった。何を言っていたか。そこからの会話はよく記憶に残っていない。


「ここが君の宿であっているかな」

「はい、間違いなく宿です。ありがとうございました」

「いえ、いいの、私もそれなりに対価をもらっているから」


 何を支払ったかは全く分からない。彼女が何を得て、何を知っているのかも。


「ソ、ソ、ソウスケ君‥‥‥帰ってきたんだね」


 おびえて佐藤さんが出てきた。


「おやすみなさい」


 俺はしれだけ言って、自分の部屋へ向かった。


「あれ? 忘れたのかな」


 大丈夫ですよ。そのうち問い詰めますので。


 部屋まで戻ってから俺が眠りにつくのは時間の問題だった。


読んでいただきありがとうございます。

少し良くなりましたかね?

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