町並みと人と
白いトンネルを抜けると
ドーム状の雲の中のような街が現れた。
「ここがお前の住む街だ」
想像以上にきれいな景色だった。
少し街中を歩いていくと
「ここが泊まる場所な」
そう言われて横を見てみると以外にもきれいな和風宿だった。
「お邪魔しま~す」
俺がおそるおそる入ると
「おお~君が新しいどれ……労働者だね」
「今奴隷って言いかけませんでしたか」
「いや~何のことだかあははは……」
あからさまに目をそらす。俺が目を細めて疑いの目を向けて威圧する。
すると冷汗をかきながら
「あ!そうだ、へ部屋に案内しなきゃだね、あはは」
あ、話題そらせやがった。
動揺しながらも部屋へ案内する。
内装はほんとに和風というか江戸?みたいな感じのイメージが強い。
階段を上り、廊下の一番奥まで進む。
「君の部屋はここ」
そう言われて、部屋に入ると和室のワンルームだった。
部屋の真ん中にちゃぶ台みたいな高さの旅館によくある机があり
部屋の隅に布団が敷いてある。
「食事は娯楽程度のものだから食べても食べなくてもいい街中には飲食店もあるから適当に。あと、睡眠は取らないとだめだね」
「睡眠はしないといけないんですね」
正直不思議な気分だ。
仮にも死んでるようなものなのに睡眠は必要で痛みもある。
「そい言えば、名前聞いていませんでしたね」
「ああ、そうだね。私の名前は佐藤とでも呼べばいい
困ったときは私に相談してもらって構わないからね」
気にしていなかったが、見た目はお姉さんみたいな
雰囲気が漂う。服は通気性の良いスポーツTシャツを着ている。
「ちなみに仕事は明日からだから。今日は自由にしてもらって構わないよ。明日の朝さっきの子が迎えに来るから」
そういえば、いつの間にか消えていたよな、ロリ。
自由にして構わないと言われたので、街を探索してみることに。
町並みは、和風な建物と、中世の建物が入り混じっている。人は意外といる。基本的に日本人という感じだ。
しかし、道行く人の目線が少し痛い。なぜだ。
しばらく歩いていたら、少しにぎやかな場所に着いた。見たところ、商店街のようなところだろう。
レストランのような綺麗なところから居酒屋、高級なバーまで
ある。
見渡したとこで路地の様な道を見つけた。
「少し入ってみるか」
路地に入って少し奥に行ったところで居酒屋らしきものがあった。
「意外とこういうところがすごいんだよな」
少し期待しながら、お店の扉を開ける。
「いらっしゃい」
元気な声で迎えられる。
「よお、にいちゃん。見ない顔だな。新入りか」
30そこそこのおっさんが声をかけてきた。
「あーはい。今日から……」
「そうかそうか、新入りか……しかし1発目から
ここに目をつけるとは。」
俺の話を遮るように話し始める。話し方的にベテランのように思える。
「ここそんなにすごいんですか」
「まあな、知る人ぞ知る店だ」
なんとなく悪い気はしない。秘密基地のようなわくわく感が出てくる。
「しかし、よく見つけたね。ここ商店街のどこに出るかわからないのに」
小太りな店主らしき人が話しかける。
「どういうことだよ」
「ここ特別な仕組みが組み込まれていて、商店街のどこかに路地を形成
しているんだ。ここの商店街は東京ドームくらいの大きさがあるからね。
なかなか見つけられる場所じゃないんだよ」
「そんなレアな場所を1発で見つけられた俺やばくね」
「確かにやばいな、服装が」
「ん?」
おっさんに言われて自分の服装を見る。
「おわ、寝間着じゃねえかよ。だから痛い目線を浴びていたのか」
今までの行動を振り返ってみると、相当恥ずかしい。
「死にて~」
「冗談になってないぞ」
「よく考えたら死んでたわWW」
「はは、面白いなにいちゃん。気に入ったわ」
そこからしばらく話し込んだ。
どうやら想像道理に服装は変わるらしい。そしてこのおっさんは高橋というそうだ。タカさんだな。
ようやく話しに終わりが来たときにはすでに商店街に人気は無かった。
「じゃあな、にいちゃん。楽しかったぞ」
「ああ、俺もだ」
そう言って手を振りながら去っていくタカさんに
手を振り返す。
「俺も宿に向かうか」
タカさんが見えなくなってからつぶやく。
「俺がこんなに人と話したことなかったな」
そんなこと言いながら宿へ戻る。
「ついに明日から仕事か。どんなことができるんだろう」
わくわくしながら眠りに……眠りに……つけない。
少し、いや、だいぶ仕事を楽しみにしていた。
「俺は遠足前の小学生か!」
「うるせえぞボケ‼」
「す、すみません」
その夜は猫を数えて眠りについた。
ね……こ?
読んでいただきありがとうございます。
変な部分もあるかと思います。温かい目で見ていただければなと思います。
是非1話の方もご覧ください。