表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/82

エピローグ ずっと一緒に……

「アルテリオ、幸せにな」


「ゲイツも」


「ウッディアン、幸せにしてもらえ」


「……バカッ……元気でね」


「ラーフェン、あっちの世界無茶苦茶にするなよ?」


「わかってます。とても楽しい時間をありがとうございました」


「クラレスト、あっちの神様によろしくな」


「神はいつも見守ってくださいます」


「玄庵、飲みすぎんなよ」


「ああ、ゲイツもな」


 それぞれうちの社員とも別れの挨拶を交わす勇者御一行。


「聞くまでもないが、残るよな?」


「ああ……」


 誘ってくれたのは嬉しくも有るが、俺の今生きる場所はここだ。


「ラーフェン殿、万が一程度の可能性ですが、こちらを」


「これが例の……解りました。お預かりしておきます」


 ヘプトンがラーフェンに贈り物をしていた。

 ゲートは安定しているが、あまり長居をするとむこうの世界と時間的なズレが生じる可能性があるために。

 祝勝会の二日後には送別会となってしまった。

 

「では、ゲイツ……またな」


「ああ、またな!」


 こうして、アルテリオ達は旅立った……


 それからは、今まで通りの日々が訪れた。

 大陸への拡張は順調そのもの、技術を飛躍的に向上させるきっかけは戦争だと言うのは本当だ。

 魔神との戦いへの準備や開発は、そのまま日常生活の向上へと結びついていく。


 虫人間との戦いも、もう戦いとは言えない。

 なんとか完全な排除以外の道も考えたが、意思疎通の意識が相手に全く無い。

 仕方がなく、この星からは消えてもらった。

 魔物に関しては根切りはしていない。

 ただ、交通網などは魔物が近づかない工夫を凝らしており、魔物に襲われる人間はほとんどいなくなった。

 魔物を畜産化する職業も生まれている。

 品種改良され、さらに美味しくなった魔物は人気が高い。

 子どもたちも立派に育って、どんどん仕事を任せていき、俺たち3人もゆっくりと過ごせるようになった。

 パリザンの葬式で久しぶりに皆が顔を合わせたが、子供、孫に囲まれて皆幸せそうにしていた。

 結局パリザンは14人の子をなし、100人を超える孫に見送られた。

 最期まで幸せそうにしていた。

 

 俺は、長寿であるガルラ、フォクシの民と同じくらいの寿命を持っている。

 済まないが、もう少し空で待っててくれ。


「ゲイツ様、ご無沙汰をシております。

 少々お時間よろしいですか」


「おお、久しぶりだなヘプトン珍しいな家まで来るのは」


「はい、お見せしたいものがあります。ご一緒によろしいですか?」


「ああ、構わんよ。ロカ、ジルバちょっとでかけてくる」


「お二人もご一緒でよろしいですか?」


「そうか? じゃあ行こうか」


「わかったのだ」


「はい、貴方」


 家の前には巨大なトレーラーが止まっていた。

 導かれるままにトレーラーに乗り込む。

 

「お久しぶりですねゲイツ社長」


「ポポ、久しぶりだな。元だぞ。今は隠居したただのジーさんだ」


「ポポ殿、それでは……」


「ああ、ポータルビジョン、起動」


 空中に浮いた円形のスクリーン、その周囲に様々な機械が繋がっている。

 円形のスクリーンが歪む。時空の歪みに似ている。

 歪みが安定して……少しづつ映像が浮かんでくる……


「……おお、久しぶりだな。アルテリオ、それにウッディアン」


「久しぶりだなゲイツ、また老けたな」


「お前は相変わらずだな……ヘプトン、別次元に繋げられたのか?」


「ええ、信号を発する機械をラーフェン殿がずーっと管理してくださって、無限とも言える次元から、たどり寄せられました」


「そうか……二人は相変わらずだな」


「私達も居ますよ」


「おお、ラーフェンにクラレスト……玄庵はどうした?」


「玄庵は逝ったよ。よろしく言ってた」


「そうか……」


 今は通信だけだけど、いずれは物質のやり取りも可能になるように研究中だそうだ。

 そして、その過程で、同次元の物質転送が可能になった。

 端的に言えばワープ技術の……再現になるのか?

 以前は出来ていたわけだし。

 魔法と組み合わせ、小規模のワープ技術の開発は、世界を一変させた。


「それでは大爺様、大婆様、新設宇宙軍として、任務にあたってまいります」


「うんうん、気をつけてな……」


「たまには通信するんですよ……」


「はい!」


 新しい世代の子たちは、ついに宇宙へと旅立つようになっていった。

 ゲイツ商会は、各分野に細分化され、今では残っていない。

 古参の社員たちも随分と少なくなった……

 ロカも、去年逝った……


「思えば遠くまで来たもんじゃ……」


「私は貴方が来てくれて本当に幸せでしたよ」


「ああ……儂も、幸せじゃよ」


 すっかり白くなったジルバの髪を撫でる。

 義手はしっかりと動いてくれるが、身体はすでに限界だ。

 自分の身体は一番自分がよく分かる。

 ジルバは、きっと俺が逝ったらすぐに逝ってしまうな……

 なんだかんだと寂しがりやだからな。

 ロカが逝った後、家の光が、少し落ちたような気がする。

 俺の心も、ジルバの心も、少し弱くなってしまった……


「貴方、お茶を入れてきますね」


「済まないな」


 すっとジルバの温もりが離れる。

 空は美しい青空。

 もうすぐ暑くなる。

 太陽が暖かく大地を照らしている。


「最初に見た太陽は……暑かったな……」


 砂漠で見上げた太陽は、ギラギラと容赦なく照りつけていた。

 そしてロカと出会った。


「ゲイツ、お疲れ様なのだ!」


 あの頃と変わらないロカが目の前に立っている。

 

「ああ、お疲れ様。……俺の自慢の弟子たち……」








「おまたせしました……。

 そう、……私一人になっちゃったのね、待っててくれるかしら……」








 半月後、ジルバは眠るように息を引き取った。










「やっぱり私のほうが先輩なのだ!」


「待ってたぞ!」


「先輩……師匠……!」









 俺の人生は、過酷だと思っていたけど……

 最愛の自慢の弟子と仲間と一緒に、人生を思いっきり謳歌したのだった!













fin.


最期までお読みいただきありがとうございました。

結構気持ちよく最期まで書くことが出来て、久しぶりに小説を書くのが楽しいな-という気持ちだけで書かせていただきました。

これも読んでくださる読者様のおかげです。

本当にありがとうございます。


今後とも執筆は続けていきたいと考えております。

他の作品もよろしかったら覗いて頂けると嬉しいです。


また、どこかでお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 途中までデススター作らなきゃ!とか思ってたけどこんな良い終わり方されちゃったらもうね!w とても楽しかったです!!! お疲れさまでした!
[良い点] 色んな要素詰め込みまくりで面白かったです! 次回作も期待してます。お身体に気をつけて頑張って下さい。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ