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第八十話 結実

「なぜだ!! なぜ私が滅びる!」


「ゲイツが私達をかばい次元を超えてこの世界に来たこと、貴方が時空の果で新たな力を得ること、私達が次元魔法を解き明かすこと、それら全てが、貴方を滅ぼすための神のお導き」


「馬鹿な!! いくら神でも不特定な未来は見通せないはず!」


「そう、でも、誘導すればいい」


「なっ!?」


「貴方が一人で次元の隙間を自由自在に動き回れば、流石に神でも手が出せない。

 だから、強大な力をもたせた。結果として貴方は慢心し、その体を全て晒すことになる。

 いくら追い詰めても貴方は次元魔法で逃げてしまう。

 その可能性を費やすには、我々が次元魔法を使い、それを封じる術を手に入れなければいけない。

 そして、強大な力を超える新たな力を手に入れなければいけない」


「馬鹿な……偶然だと、自分の幸運だと思っていた全てが、神が用意したというのか……」


「以前の貴方なら、まずは羽虫のような使い魔でこちらの戦力を分析し、必ず勝てる状態まで仕掛けては来ない。勇者アルテリオのような馬……直感の塊のような人間がどんなに迫っても、一度敗北を知った貴方は決して捕まらない。

 自分以上の存在は居るはずがないと思わせるほどの力を与えなければいけない。

 そして、それを超える力をゲイツが繋いでくれた。

 弱い貴方は、深く暗く、けど、確実に世界を滅ぼしていた。

 神は、何度も何度も挑戦し、ようやく世界を救うの」


 クラレストが叩きつけた現実は、魔神にとって耐え難いものだ。


「なあゲイツ師匠、あの話って神様から聞いたのか?」


「たぶん、そうだよなクラレスト?」


「ええ、めっちゃ早口で2時間位熱弁をお奮いになられたわ……」


 天啓の祈りは結構しんどいから、キツかったろうに……


「そこまで説明するなら始めから神が指導してくれればよかったのでは?」


 ジルバの質問は最もだ……が……


「神は成した後しか介入できないの。次元魔法を我々自身が解き明かした後でないと、それが必要なことを教えられない。くっそめんどくさいルールが有るの」


 本音がだだ漏れてるぞ聖女。


「なぜ、我がこんな目に……!」


「貴方は有能すぎたし、野心が強すぎた。

 神に代わり世界を我が物にしようとした。

 そして、それを成し遂げる力が、運命力があった」


「……有能ゆえに、滅ぶ……くくっ……神にそう称されるのなら……悪くない……」


 すでに結界は魔神を狭い空間に追いやっている。


「勇者アルテリオ!! 生まれ変わったら、また相手をしてやる!

 さらばだ!!」


 魔神ゴーデグリスは最後の力で自らを中心とした凄まじい爆発を起こす。

 結界がビリビリと震えるほどの爆発だ……


「終わった、のか?」


 思わず口に出た。コレは言ってはいけない言葉だ。


「いえ、爆発に紛れて多数の分体が結界内に四散しています」


「ヘプトン、アレの準備が完了した。結界は問題ないか?」


「はい、すでに耐熱障壁を展開しています。いつでもどうぞ」


「最期は自らの力で滅びよ、魔神ゴーデグリス……

 アルテリオ、これを撃て!」


「おう」


 結界内に打ち込まれた一発の銃弾を、アルテリオが撃ち抜く、次の瞬間凄まじい業火が結界内に広がる。結界が一瞬軋んだが、一切の熱量も外に漏らすことなく燃やし尽くしていく。


「うおおおおお……」


「最初に手に入れた火球です。凄まじいエネルギーですね……」


「結界内の全て物質の崩壊を確認しました。

 魔神ゴーデグリスの因子の完全な消滅を確認しました。

 ミッションコンプリート、お疲れさまでした」


 ようやく、歓喜の歓声が上がる。

 世界の危機を、乗り越えたのだ。


「神よ……感謝いたします……」


「おつかれ、アルテリオ!」


「皆の協力があってこそだ。

 ようやく使命を終えられる」


「よかったなウッディアン、人を超えたアルテリオとならエルフの寿命中いちゃいちゃできるな」


「な、な、な、何を言っているのよゲイツ!!」


「精霊王も祝福していますよウッディアン」


「もーラーファンまで!」


 そのラーファンの横に静かにクラレストが寄り添うとウッディアンはそれ以上何も言えなくなった。


「ロカ、ジルバ、そして子どもたち、そして全社員。

 業務終了だ……お疲れ様!」


「懇親会は3時間後を予定しております。

 それぞれ休憩後会場にいらしてください」


「ヘプトンもよくやってくれた。

 お前が居なかったら、無理なミッションだった」


「皆様のおかげです。私も充実した作戦を成功させて、満たされております」


「マーチとジーンもお疲れ様」


「ゲイツ様達のご活躍を動画サイトで流して、同時に物販も行って大盛況です」


「マルチなメディア展開をしていくので、皆様頑張ってください」


「ああ、ちゃっかりしてるな」


 確かに、ロボたちの勇姿は男なら熱くなる。

 俺たちの乗る機体は、機神ゲシュオンと名前がつけられ、長い間超人気コンテンツとなる。


「全員よくやってくれた。

 俺は皆を誇りに思う。

 全員の力を合わせたからこそ、今回の危機を乗り越えられた。

 まずはお疲れ様。

 今日はほんとうの意味で無礼講だ。

 誰一人死者を出さなかった愛すべき社員達に、乾杯!!」


「「「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」」」」」」

 

明日で最終話になります

17時に投稿します

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