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第七十五話 神託

 ラーフェントクラレスとは空中に浮かぶ通路ゲートを安定化させると、輪の中に加わる。


『総員警戒態勢を解除、大丈夫、古い友人だ。

 一緒に戻る』


「ゲイツ、久しぶりだな。老けたな」


「そうよ、どうしたのその姿は?」


「誰と話してたの? あっちの鉄の塊は何?」


「ゲイツ、貴方に命を救われたが、あのようなやり方は承服しかねる」


「魔装具はどうしたんですか?」


「ええい! いっぺんに話すな。とりあえず俺達の船で詳しいことは話す。

 あと、老けたのはお前らを飛ばしてから10年以上ここで過ごしているからだ」


「時間軸のズレ……ね」


「それに、お前らがここに来た理由もゆっくりときこう。

 ここの飯も旨いぞ、酒もな」


 玄庵がニヤリと笑ったことを見逃さない。

 懐かしい……


 それからは大変だった。

 まずは社員にこの5名との関係性を話したが、途中でさんざん脇道にそれて、結局また冒険談をすることになった。

 俺が話したことを眉唾で聞いていた子どもたちが俺を更に尊敬の眼差しで見たと思ったら、酷い失敗談まで話されて軽蔑の目つきになった……ロカとジルバの目線も痛い……


「そして、ここからが大事な話となります。

 あの魔導王の残滓が、この世界の存在と融合し、別次元で力を蓄え、この世界、そして我らのいた憎き世界に復讐を企て、この世界で討滅せねば2つの次元が滅ぶと神託がありました。

 この星の高き空の遥か遠くに浮かぶ巨大な船と融合を果たした魔導王が1年後にやってきます」


「それって……」


「マスターらのマザーシップと推測されます」


「そうか……」


 つまり、人間たちは魔導王の糧になってしまった。

 さらには、最先端技術も取り込まれてしまったってことになる。


「ヘプトン、マザーシップのデータをできる限り詳細に分析してくれ。

 あとで魔導王の情報やあっちの世界の魔法の性能を見て敵の戦力分析をしなきゃいけない」


「かしこまりました」


「……ゲイツがちゃんとしてる」


「ウッディアン、俺も色々あったんだよ……」


「あの……ゲイツが……」


「……(声にならない声)」


「ラーフェンとクラレスとは驚きすぎ、二人にはうちの研究員に魔法を見せてほしい、こっちでも問題ないか?」


「ああ、穏やかで心地良いマナがある」


「ゲートがある場所は少し淀んでいましたけどね」


「こちらの生命が少ない場所に扉を開いてくれたんだったな」


「ああ、ふたりともお前を助けるために魔導王の最期の魔法から解析して、とうとう魔人達の謎だった次元魔法を再現したんだ」


「そうか……心配かけたな」


「私はゲイツならどこに行っても元気に暮らしていると信じていましたが、とにかくアルベルトが昼夜を問わず監視してくるので必死でしたよ……」


「監視ではない、完成を心待ちにしていただけだ」


「私なんてお風呂の時間を半分以下にされて……ゲイツが無茶な方法で私達を助けるからですよ!」


「仕方ないだろ、あの時は二人も魔力残ってなかったし、緊急だったから……」


「……実際に次元魔法を受けてみたら、その場で理解してたはずなのよねー……」


「なっ!? まじか、俺のやったことは無駄だったってこと?」


「何を言うんだ、ゲイツが助けてくれたんだ。感謝している」


「ははは、まぁ、俺はおかげさまでこの地にたどり着けて、たくさんの知己とも出会えた。

 大切な物も出来たから、ラッキーだったんだがな」


「……あのゲイツがねぇ……」


「ウッディアンはアルテリオとくっつけたのか?」


「なっ、ばっ、ばっばっかじゃにあの!! あ、あんたを助けるまでそんなこと言える雰囲気じゃなかったわよ!! じゃなくて、そんな、別に私は……!!」


「俺を見つけたんだからアルテリオはどうなんだ?」


「どうとはどういう意味だ?」


「ウッディアンとは一緒にならないのか? ってこと」


「何を言っているんだ? ウッディアンとは生涯一緒にいるつもりだし、離れるつもりはないぞ?

 嫌だったのか?」


「ちょ、あ、あんた、何をみんなの、ま、ま、ま、……キュ~~~~」


 ゆでダコのようになってぶっ倒れてしまった。

 相変わらず直球に弱いなこいつは。


「こんな感じでこの二人は相変わらずですが、一応私とクラレストは籍を入れて所帯を持ちました」


「アルテリオに軟禁されて毎日一緒に居たから、魔法の完成を祝って、ね」


「なるほど。わるいな結婚式には参加できなくて」


「まて、軟禁なんてしないぞ」


「毎日毎日朝から晩まで数分おきに「魔法は出来たか?」って聞きに来るのは軟禁と同意義です……」


「玄庵一人で二人分は飲んでくれてましたから、ちょうどよかったです」


「貴方も飲みすぎて潰れたじゃない」


「一生の不覚……」


「さーて、夫婦漫才も終わったし。

 状況の情報交換も終わった。

 旧友が再会したんだ、やることは一つだろ?」


「わかったよ玄庵、俺の家族も紹介したいしな、ロカ、ジルバ、準備は出来てるか?」


「師匠のご友人ということで、総力を上げたのだ!」


「どうぞ、この星の食をご堪能ください」


 扉が開くと、中央ホールに所狭しとテーブルが設置され、その上には隙間なく様々な食事が並べられている。俺の家族、社員も並んで今か今かと開始の合図を待っている。

 

「さ、今日は思いっきり楽しんでくれ!」

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