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第二十話 生存会議

「……大陸の外、海の先はどうなってるんだ?」


「おお、そこに着目しますか!

 残念ながら、土地を見つけられたものはおりません。

 広大な海がただただ広がっている……と、言われています」


「北に行くと南の大陸に着くとかも無いのか?」


「……面白い考えですね……ただ、今のところは報告は有りませんね」


「そうなると、この土地から落ち着ける場所を探さないといけないのか……」


「見ての通り、ここが良いという場所は……無いでしょうね……」


「ろくな場所がないな……暗黒地帯ってなんだよ……」


「いつも厚い雲に覆われ、雷雨が常に降り注ぐ、魔獣はほとんどいません。

 その代わり、動くものは無差別で攻撃してくる古代兵器がウロウロしています。

 強いですよー、いくら倒しても回収して新しいのが作られている、と予想しています。

 素材のために挑む命知らずもいますがね……持って帰れれば、得られるものは多いです。

 特に古代の船も多く存在していて、あたりを引ければ巨万の富も得られるでしょう。

 ただ、機械王の尖兵に見つかれば、100%殺されます」


「100%?」


「ええ、空から監視され、周囲を完全に包囲されて、銃弾の雨が降り注ぐことになります。

 奥地に入るのは自殺行為です」


「……当たり前だが、なしだな」


「ええ、流石にゲイツ殿でも辞めたほうが良い……」


「西のフッコ族の地はどうだ?」


「実は、消去法だとそこだけになるんですよね。

 王もいませんし、厳しい寒さもゲイツ様が王になっていればどうとでもなるでしょうし」


「問題点は?」


「先住のフッコの民をどう扱うか、と……

 巨大種の巣があるので……運が悪いとどんな備えをしても崩壊するリスクがあります」


「今住んでいる奴らはどう対応してるんだ?」


「街という集団を作らずに移動を繰り返して暮らしています」


「それは、なんというか、厳しそうだな」


「それと、人狩りが良く出ます」


「ああ、集団じゃないから狙われるのか」


「ご理解が早い」


「……だんだんめんどくさくなってきたぞ……」


「お気持ちはわかります。ただ、それだけの力を手に入れてしまった……ということで……」


「あー……もう誰かにコレ渡したいぜ……」


「新たな帝国が生まれる可能性もあるので、出来ればゲイツ殿に持っていただきたい」


「そう言われちまうとな……そういや、帝国だっけか?

 軽く聞いてもクソみたいな国っぽいな」


「ええ、最も古い歴史を持ちます。

 いろんな説がありますが、ゲイツ殿の話を聴いて考えたのは、この大地に落ちた人々の末裔なのかも知れませんね」


「ゲイツ様のお話を合わせると、マーチ様がおっしゃったことを証明できる様々な文献と矛盾しないですね。非常に興味深い」


「豊かな国土、魔獣を廃した巨大な壁に囲われた帝国は、貴族たちにとっては最高の国でしょうね」


「産まれた家柄で全てが決まります。安全のために帝国に入ったフッコ族は下級平民として働かされます。それでも他種族の奴隷よりはマシですが……」


「アイツラは、軍で周囲を回っては奴隷狩りをする……フォクシの民も多く攫われた……」


「ピーブの民も同じく……奴らの兵器は魔法でも対抗しきれない……」


「王国がなんとか大陸侵攻を防いでいる形です。

 王国は強大な海軍を有しており、海を支配しています。

 陸路で帝国が進出すれば、その後背を攻められます」


「王国は多種族国家なんだっけ? そこはダメなのか?」


「王国の王は変わり者らしいですが、ゲイツ殿とは息が合うかも知れませんが……

 王が二人いる国は必ず割れるというのが歴史が証明しています」


「そもそも王ってのはなんで生まれるんだ?」


「プラントに選ばれた人間、いつ産まれたのはわかりません。

 そして基本的には子孫が引き継いでいるようです。

 少なくとも王国、帝国はそうです。

 機械王は不死と言われていますし、ピーブ族も数百年同じ女王ですね」


「フォクシの真の王は最も強者がなるものだ」


「……この世界でもそんな国だとかなんとかに巻き込まれるのか……」


「以前はその力をどの国も利用しようとしたんでしたっけ?」


「ああ、共通の敵がいるにも関わらず、くだらない足の引っ張りあい。

 クソ真面目な勇者様は全部救うとか言って……

 結局救ったわけだが、苦労したぜ、ほんと……」


 ようやくのんびり出来ると思ったのに、結局は権力闘争か……


「空の城はどうだ?」


 ロカが口を開く。


「ああ、そうでした。それを説明しなければ……

 ゲイツ様、この世界にはフッコ族、ピーブ族、フォクシ族、そしてガルラ族がいることは知っていますよね?」


「ああ、でももう一種族いるんだろ?」


「ええ、各地の秘境の最深部に住んでいる竜人族。

 その聖地とされるのが失われた都市、俗称が天空城です」


「……城が浮いているのか?」


「はい、数年間隔でこの大地の上を飛んでいます。

 今は誰も暮らしていないと言われていますが、手にしたものは世界を統べると伝えられています」


「えー……そういうのは良いんだが……」


「まぁ世界を統べるかどうかは置いておいて、権力闘争とは離れた場所であることは確かでしょう」


「そんな言い伝えが有るのにたどり着いていないのなら、そう簡単には行けないんだろ?」


「はい、1年に一度フォクシの霊峰ベレスタンの山頂に接岸するのですが……」


「ベレスタンの山頂に行くには、この世界の魔獣の頂点である3匹を倒さなければ近づけない。

 そもそもベレスタン周囲はあまりに魔獣が強すぎてフォクシの民だって近づけない」


「……空は飛べないのか?」


「正しい侵入以外で空の城に近づくと、炎に包まれます。

 壁のようなものがあって触れると燃え上がり、死にます」


「バリアっぽいな……」


「古代兵器の空飛ぶ船がほとんど残っていないのは、空の城に挑み続けたからだそうですよ」


「はぁ……この世界で穏やかに暮らすには、1年ごとのチャンスにのって、最強の魔獣を倒して空の城に行かなければいけない……って……なんだよそりゃ……」


「定住をあくまで求めるなら、選択肢の一つとして提示しただけですから」


「本音は?」


「ゲイツ殿なら空の城に至れるんじゃないか、そうしたらもう何でもやりたい放題だー!」


「はぁ……今のところは、却下だな」


「残念です」


「定住……あの馬車……移動しながら居住は移動できる形で作れば……

 トレーラー暮らしみたいに……商売しながら旅も出来るしなぁ……」


「何かまたアイデアが? ゲイツ殿のアイデアはいつも面白いものがありますから是非是非にお教え願いたい」


「いや、あの馬車の居住区を、それこそ大量に用意するか、大型にすれば移動する街を作れるんじゃってな。動力は有るわけだから、動物で引くことや燃料は度外視で考えられないかなと……

 それと、遺跡で船が手に入れば、その素材を使えるんじゃないかって……」


「……面白い……実に面白いですぞ!!」


 何やらマーチとポポが大興奮している。

 すでにロカとかジルバはソファーでいびきをかいている。

 結局、俺の案を中心に話を進めることになった。


 となると、宇宙船探しが、短期的目標となる。

 

明日20時、また20時投稿になります

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