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途切れ途切れの記憶の中で。

作者: 七瀬





『___僕は、君を本気で愛しいてる!』



・・・ふと、こんな言葉が僕の中で蘇るからだ!


『___この言葉を、僕は誰に言っていたのだろう?』

どんな場所で、どんな時に、なによりも誰に向かって、、、。


・・・途切れ途切れに蘇る僕の記憶。





___僕は、5年前に事故に遭い生死を彷徨ったんだ!


僕を診てくれた医者から両親に、、、?

もう意識が戻る事がないとまで言われたらしい。



・・・そんな僕が、意識を取り戻したんだよ。

___僕が目を開けると?



誰一人、僕の知っている人はいなかったんだ!


・・・だけど?

何故か? そこに居る人達は、みんな僕の事をよく知っている!


『___ほ、本当に、目を覚ましたのね! 廉人!』

『___お兄ちゃん! 目を覚ましたの? 真苗、嬉しい!』

『・・・えぇ!? あなた達は、誰ですか?』

『___何を言ってるの? お母さんよ!』

『・・・お、お母さん?』

『___ひょっとして、覚えてないの?』

『・・・あぁ! 何も覚えてないんです!』

『___そ、そんな、』

『___お兄ちゃん!』





___僕が永い眠りから目を覚ますと?

僕の目の前には、、、見知らぬ人たちが傍に居たんだ!


彼らは、僕の事を“息子”だと言い、“お兄ちゃん”と言う。

でも? 僕はこの人達と会った事もないし! 知らないんだよ!


【___一体!? 僕の身に何が起きているんだ!?】




___僕が目を覚ました、次の日。


また、見知らぬ女性が僕に会いに来たんだ。


『___廉人! 廉人が目を覚ましたと、廉人のお母さんから私に電話が

あって! 直ぐに、貴方に会いに来たのよ!』

『・・・・・・』

『___廉人のお母さんから聞いてるわ! 家族の事も覚えてないなら?

私の事なんか、全く覚えてないわよね! それでも、私は貴方が目を覚ま

してくれて嬉しいの! ずっと、目を覚まさないんじゃないかと思ってたから。』

『・・・えぇ!? 僕は、もう目を覚まさないはずだったのか?』

『___貴方を診てくれた医師は、そう言ったらしいわ!』

『___君は? それを聞いていないの?』

『・・・まだ、私達! “籍を入れてないのよ!” 婚約はしてたんだけどね!

私と貴方は、結婚する予定だったのよ! 結婚式の日取りも決まっていたしね!』

『・・・僕が事故に遭わなければ、結婚式も挙げれたという事か!』

『___でも、こうやって! 廉人が目を覚ましたんだから! これから

ゆっくり、時間をかけて今までの時間を取り戻せばいいわ!』

『___そんなの嫌だね! 僕は一度、“死んだんだよ!” これからは新しい

僕の人生を歩んで行くんだ!』

『・・・・・・廉人、』

『___もう、僕の事はほっておいてくれ!』

『・・・廉人の言う、新しい人生の中に、もう私はいないの?』

『___あぁ! いないよ!』

『・・・・・・』






___彼女は、僕の性格が今までの僕と違い過ぎてびっくりしていたようだ!



・・・僕の家族からも。


『___本当に、俺たちの息子なのか? あまりにも今までの廉人と違い過ぎる

だろう! まるで、“別人だよ!”』

『___あんなの! お兄ちゃんじゃない!』

『・・・ちょっと待って! 廉人は、記憶喪失なのよ! わたし達の事が分から

なくても仕方がないのよ! ゆっくり元に戻ればいいじゃない?』






___僕の母親は、僕の恋人だった彼女にもこんな風に言ったらしい。


『___ねえ、木葉ちゃん! 廉人は、事故の後遺症で記憶喪失になっている

のよ! 医師には、、、もう一生! 記憶が戻らないかもしれないと言われて!

・・・木葉ちゃんには幸せになってほしいの! 例え、相手が廉人じゃなくても

他の男性ひとと幸せな結婚を、、、。』

『___お母さん! 私は廉人さんしか、愛せないんです! 例え、彼の記憶が

戻らなくても! 私には、廉人さんしか、、、。』

『・・・木葉ちゃん! 本当にごめんなさいね!』

『___いいんです、お母さん!』

『___廉人には、早く記憶が戻ってもらわないとね!』

『・・・そうですね。』







___僕を診てくれた医師には?

はっきりと僕に、こう言ったんだ!


『___事故のせいで、廉人君! 君の記憶が断片的に抜け落ちている!

そのせいで! 君の元の性格と今の君の性格は随分と変わってしまったらしい!

正直言うと? この先、君の記憶が元に戻る保証はないよ! それでも頑張って

リハビリをして、記憶を戻していこう!』

『___先生、記憶が元に戻らないなら、僕は別の誰も知らない街に行っても

いいよね! ココは、嫌いだ! 僕の知らない人達が毎日のように僕のお見舞い

に来るからね!』

『・・・廉人君、まあいいだろう! 健康面には何の問題もないしね! もう何時

でも退院していいよ!』

『___じゃあ、今から退院するよ!』

『___家族の人たちには? 何も言わないのかい?』

『___あぁ! 少しでも記憶が戻ってみんなの事が分かったら! 僕から連絡する

と先生の方から伝えてくれないかな?』

『___あぁ、分かった!』

『___じゃあ!』

『・・・・・・』





___僕は、こうして! 退院した。

僕の事を誰も知らない場所から再スタートしたかったからだ!


・・・たまにね?

思い出すんだ! 昔の記憶...。



・・・いつか? すべての僕の記憶が戻る時まで。

僕は今を頑張って生きようと思う。



___この知らない土地で。





最後までお読みいただきありがとうございます。

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