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第5話

「おい、さっきから黙っているが、何か不服でもあるのか?」


 パルメーナの鋭い視線が俺に注がれる。


「いえ、ありがたく拝命致します」


 雑魚として特攻させられてもおかしくないところをダンジョンのボスに任命されるなんてやはり待遇はめちゃくちゃいいと思うべきだろう。ここは喜ぶべきところだ。間違っても、人を殺せないからできませんなんて言えない。しかし、どうするか……。


「よし、では決まりだな。ダンジョンひとつ守ることもできないようでは我が魔王軍では役立たずだ。しっかり守れ。あとはあのガルート討伐だが」


「はい」 


「あの者のスキルについてお前から十分聞いておかなかったのは私の不注意だ。詳しく聞かせてくれ」


「やつは2回に1回の確率で必殺の一撃を繰り出せるスキルと、レベルアップ時に体力全回復と全ステータス異常回復するスキル、さらに獲得経験値10倍になるスキルを持っています」


「3つもスキルがあるのか。獲得経験値10倍……今日のスカーレットドラゴンは相当な肥やしになっただろうな。次で確実に決めねばならん。そうだ、心配するな。ガルート討伐の際はお前も連れていってやる。お前の目の前で確実に仕留めてやるから安心しろ」


 ずいぶん親切だなと内心感心する。


「では、お前をこれからダンジョンに連れていくぞ。私につかまれ」


 え、どこにつかまればとオロオロしていると。


「何をしている、後ろから腰に手をまわせ」


 言われた通りにしたところ、思った以上のくびれ具合でなんかドキドキしてしまう。

 いかんいかん、俺にはメイがいるんだ。

 

「しっかりつかまっていろ」


 すると体がふわりと浮きはじめたと思うと、上空高く高速で飛び上がった。

 


 やがて、俺とパルメーナは高い塔の前に降り立った。

 なんか見覚えがあるぞ、ここ。

 と思ったら以前にクリアしたダンジョン、炎の塔じゃないか。およそ30階建ての赤い外壁の塔。もちろんガルートが無双してクリアしたわけだが。その時にモンスタージェネレータも破壊されたはず。


「お前にはこの炎の塔を任せる。と言ってもこのダンジョンは少し前に攻略されてしまってな。中にはまだ財宝が無数に眠っているからいい稼ぎ場となってしまっている。まずは取り返すところから始めねばならん。これが父上から授かったモンスタージェネレータだ」


 そう言って黒い宝珠を俺に手渡す。


「これを使って、好きなようにしてこのダンジョンにいる冒険者どもを駆逐してもらいたい」


「は、はい」


 好きなように駆逐してもらいたいって言われてもなあ。

 ここの冒険者たちはレベル30くらい。

 俺が戦えばなんとかなるとはいえ、なにがなんでも直接手を下したくはない。


「なんだ? 歯切れが悪いな。何か心配事でもあるのか?」


「いえ、特には」


「それからお前に会わせたいやつがいる。来い!」


 パルメーナが呼ぶと、俺のすぐ背後に気配が現れた。

 驚いて振り向くと、緑の法衣に身を包み、肩まで届く銀髪にエメラルドの瞳をした少女がいた。年の頃は15くらいか。俺が18なので少し年下という感じである。彼女は笑顔で可愛らしくお辞儀をした。  


「はじめまして、ディル様。わたくしはエスリーと申します」


「エスリーは新米のお前の相談役としてつけることにする」


 相談役? この子が?

 でも魔族だから俺よりずっと年上なんだろうな。

 あ、そうか。相談役というか監視役なのかもしれない。

 まあなんにせよ一人でちょっと心細かったし、良かったのかもしれない。


「よろしく」


「よろしくお願いいたします」 


 俺とエスリーは握手を交わした。


「じゃあ、後は二人で相談してうまくやれよ」

 

 そう言うとパルメーナは一瞬にして天高く舞い上がって見えなくなった。



「さて、どうしようかな。ダンジョンの仕切りなんて初めてだよ、エスリー」


「そうでしょうね。ところでディル様。ディル様は雰囲気がとてもいいですね」


「雰囲気?」


「はい、それでパルメーナ様もディル様を気に入られているのでしょう」


「そっか、それはどうも。あの、様とかつけなくていいよ。ディルで」


「いいえ、ディル様とお呼びいたします」


「そう? まあいいけど。じゃあ早速だけど、まずこのモンスタージェネレータのモンスターを確認しないとね。どうやってモンスターが現れるの?」


「自動的に発生するようになっていますが、こうやって刺激を与えれば」


 そう言ってエスリーは人差し指で俺の手にあるモンスタージェネレータをつついた。


 すると、モンスタージェネレータは光はじめた。そして、黒い泥のようなものがそこから滴ると土の上で塊になってなにかの形になっていく。

 それは大きなトカゲだ。体長2メートルほどはある。

 次第に黒い色がとれて赤い鱗が現れた。


「こいつはファイアーリザードか!?」


 確かにレベルが30くらいのモンスターだ。


「このモンスタージェネレータは一体何匹のモンスターを生み出せる?」


「だいたい100匹です」


「そっか。30階ほどあるこの塔には冒険者が数百人はいるだろう。圧倒的戦力不足だな。どうしたもんか」


 その時、再び、モンスタージェネレータが輝き始める。

 

「なんだ!?」


 力が吸われていくような感覚がある。一体なにが起こってるんだ!?


「これは!? ディル様とモンスタージェネレータが共鳴しています」


 

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