プロローグ
今回から新規連載です。頑張ります
まばゆい光、優しい暖かな風。花々が咲き誇り、一つの長い長い木がそびえたっていた。僕は、その木の下で眠っていたようだ。見たことがない場所だ。ここはどこなんだ…。僕はだれなんだ。僕はどうしてここにいるんだ。考えようにも、頭がはたらかない…。 うっ…激しい頭痛が襲い、気が付くとその場に倒れこんでいた。
どれくらい時間がたったのだろう。目を覚ますと、頭痛は消えていた。立ち上がってみると、そこには先ほどまで見えていた「長い長い木」が、跡形もなく消えていた。 え… 思わず口にでてしまった。いくら自分は気を失っていたとはいえ、木がなくなるなんてことに、きずかないはずがない。気を失っている間に、なにかあったのだろうが、あんなに大きな木が音もなく消えるなんて…。一人考えていると、ふと後ろから声が聞こえた。
「初めまして。私は、あなた様を天に導くもの。アリスと申します。以後、お見知りおきを。」
誰なんだ、この人…。それに、天に導くってゆったよな...?
「あなた様は、現世で死をとげたのです。そして、現世で勤めを終えた貴方様は天の導きにより、新しい人生を歩み始めることになります。」
現世での死?新しい人生???どういうことだよ。僕は死んだってことなのか。でもなんで…。考えようにも、混乱しきった頭では答えがでるはずもない。
「あ、あの…、さっき、僕が死んだっていってましたけど、死因とかってわかりますか?」
ここだけは、はっきりさせないといけない気がした。記憶が思い出せない今、少しでも自分の記憶にふれあうためと、自分が死んだという事実に向き合うためにも。
「いいですよ。貴方の死因は焼死です。火事の中、家に取り残されている見ず知らずの少女をあなたは救出ぬ向かいました。そしてものの見事に少女を発見したあなたは、脱出をこころみたのですが、あまりの火の勢いの強さから、脱出は不可能とはんだんし、そこで少女を自分の体で覆い隠し自分が壁になるような形をとり命を引き取りました。幸いなことに、少女は一命をとりとめたみたいですよ」
そうなのか。自分の死は誰かの生につながったのか。それなら、悪くはない死に方だったのかな…。
「それでは、あなた様の新しい人生に…ご加護あれ」
そう告げられると、まばゆい光りにに巻き込まれるように、光の中に包まれていった。