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大怪獣 V ガイグ  作者: 維己起邦
9/18

インタビュー

 リョオは堆星の研究室を後にした。

 発掘現場へ。

 その自動車の中。

 弥生が聞いた。

 「あの堆星って先生。

 どういう方なの」

 本沢たちもいる。

 遠慮がちに。

 「その筋では一流でとおっている」リョオ。

 「その筋って」

 「物理分析。

 ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー。

 SEM、STM、オージェ分光、

蛍光X線スペクトル分析、X線回折、透過型電子顕微鏡-----

等々。

 何でもやっている。

 質量分析もか」

 「それが専門なの」 

 「一応。

 他にも、今はガンマー線の研究もしているよ。

 こっちの方が今はメインらしい」

 「ガンマー線。

 それで何を」弥生。

 「様々な物質や金属にX線なりを照ててね。

 そこからどんな波長のX線が出て来るかをね。

 いわば連鎖反応のようなものだよ」

 全くわからない。

 「それを研究してどうなるの」弥生。

 「さあ」リョオはとぼけた。

 「それが助手泣かせでね。

 他にも一人でコツコツとやっておられるから」

 「一人で」

 「そう。

 メインの研究は助手や研究生にまかせてね。

 -----。

 だから何をやっているのか。

 よくはね」リョオ。

 弥生も。

 本沢たちは黙ったまま。

 何か考え込んでいる。

 「これは先生。

 あの化石。ガイグの。

 早く東京へ運んで

CTで調べた方がいいのでは」助手の身月が本沢に。

 急に思いついたかのように。

 「どうして。

 まだその段階では。

 周りの状態ももっと詳しく調べなければいかんし。

 君もそのくらいは」本沢。

 「ですが」身月も黙り込んだ。

 「ですが先生。

 ガイグが出て来ましたし。

 早く掘り出して-----。

 CTで調べれば

何か弱点でもわかるかも」弥生が。

 「それはあるか。

 下手に雑な調べ方をすると

後で学者連中に何を言われるか。

 世にも珍しい化石だしね。

 それが頭にあったんだが。

 それで慎重に。

 しかし怪獣がか。

 CTであの怪獣の内臓をかね」本沢。

 「そうすれば-----。

 ガイグの」

 「しかし-----また来るかね。

 奴は」本沢。

 「さあー」リョオもわからない。

 「どこかへ行ってもう戻ってこないと。

 先生は」身月。

 「虹起君。君の村の伝説では-----。

 そうなっているんだろう」本沢。

 「はい。

 いつもは村の周囲だけで

すぐに地下へもぐって

姿を消してしまうらしいですし。

 ですが。

 それが今回は名古屋ですか。

 そこにガイグが現れた記録などないですし」

 「それは-----あるか。

 今回は特別か」本沢。

 「どうしてかはわかりませんが」弥生。

 「記録に残っていないだけでは」

 「それはありますか。

 江戸時代はともかく

大昔ならそれはありますか」

 この辺りで記録が残されるようになったのは

いったいいつに時代からだろうか。

 リョオがラジオをつけた。

 何かわかるかも知れない。

 映画などではもうすでに

その手の怪獣が専門の学者が登場して。

 “ガイグ”の正体くらい

つかんでいるものだが。

 まあそれはないか。

 しかしあの怪獣-----

いったい何なのだろうか。

 堆星先生の考えが正しければ。

 ン?

 堆星先生。

 まあ先生は怪獣が専門ではない。

 だから-----そうではないだろう。

 マサカ怪獣の専門家としてテレビに。

 それはない-----か。

 ラジオはガイグの事でもちきり。

 当然か。

 あんなものが出てくれば。

 特別番組を組んでいる。

 自衛隊によると。

 対潜哨戒機が追っているらしい。

 ガイグは太平洋を北へ。

 ザイドも海底の地下を

北へ向かっているらしい。

 そして-----。

 「先生。どうしましょう」リョオ。

 「ニュース配信サイトに載ったって」本沢が弥生を。

 「インターネットニュース徳東」身月。

 ラジオによると

インターネットニュース徳東に

ガイグの事が掲載されたらしい。

 鳥沢村の化石の発掘現場の事や、

本沢の名まで出ている。

 「そんな。私は何も

 聞いていませんけど。

 どうしましょう」

 弥生にしろ空口にしろ

寝耳に水だったらしい。

 「どうしましょうって、君。

 困るよ。勝手に書かれては」本沢。

 リョオもどうしていいか。

 「ですが先生。

 どの道-----。

 わかる事ですし。

 それに公表しないわけには」リョオも遠慮勝ちに。

 「まあそれはそうだが。

 ガイグが出て来た以上は-----か。

 しかし勝手にそんな事されたもでは」

 「それは」弥生。

 スマフォを取り出した。

 インターネットニュース徳東へ。

 編集長の皆山みなやまを呼ぶ。

 「虹起か。今どこにいる。

 捜してたんだ。ずっと。

 スマフォにかけてもスイッチは切ったままだし

連絡くらい入れろ」皆山。

 「そんなことはどうでも。

 それよりどういう事ですか。

 ラジオで発掘現場の事を。

 まだ載せないっていう約束だったじゃないですか。

 それで先生が」弥生も。

 「本沢先生。

 そこにいるのか。

 ちょうどいい。

 ウチは何も載せてないぞ。

 これから載せようと思って

急いでいるんだ。

 ラジオは-----テレビもだが。

 何か月か前に

写真と化石が出たという記事を載せただろう。

 先生の了解を得て。

 それをどこかの誰かが

覚えていたらしいんだ。

 ウチは何もまだ。

 とにかく先生と代わってくれ」皆山。

 「そういう事か」

 弥生は本沢を。

 「ウチは何も載せていないと言っています。

 化石が出て-----しばらくして出したあの記事を見て。

 それを覚えていた者がいたらしく。

 それでラジオが」

 「そういう事か」リョオもホッと。

 「あの記事か。

 確かに。ガイグの姿が写真にか」本沢も。

 編集長に口説かれて。

 写真だけなら

という事で出した記事をか。

 あの記事を見て見学に来た者も

たくさんいたか。

 有名な学者も多数。

 テレビ局も来ていたし-----。

 「それかして」

 本沢は弥生のスマフォを受け取った。

 「それで。-----。

 こうなった以上は記事にしないわけには-----か。

 まあ-----それは仕方ないか。

 -----。

 それで-----。どうするね。

 発掘現場はマスコミで。

 -----。

 君のとこのもいるのかね。

 私を捜している。-----。

 その前に会えないかって。-----。

 独占で。今すぐに。

 そう言われても。

 -----」少し考えて。

 「どうしよう」本沢。

 弥生とリョオの顔を。

 「インターネットニュース徳東で独占でですか」リョオ。

 「ぜひ」弥生。

 「仕方ないか。

 ちょうどいい機会か。

 しかしあれは

我々の今までの常識を-----。

 そんなモノ出して-----」本沢。

 「しかしこうなった以上」リョオ。

 「もちろんだ。

 出すべきだろうな」本沢。

 “後でたたかれない程度に。

 まだ確実な事は何もわかっていない事だし。

 違っていましたでは。

 どうするか”

 「ですが鳥沢村にはマスコミが」身月。

 「鳥沢村の手前で

向こうの記者と落ち合って」リョオ。

 「それがいいか」本沢も弥生を。

 「私も記者なんですが」

 弥生がムッとしたように。

 本沢は思わず笑い出した。

 「いや。失敬。

 君、そういえばウチの人間じゃ

なかったんだね。

 -----。

 いつもいるから。

 いや、失礼。

 なるほど。ここでやればいいのか。

 ただし-----。

 あの化石の事だけだよ」

 「わかっています。

 ですが龍神村の伝説の方は

どうしましょう」

 「あれは-----。

 私の方と一緒にされては。

 ややこしくなるし。

 別に扱ってくれないかな」本沢。

 「それはありますか」

 「編集長。

 そういう事だ。

 虹起君がするらしい。

 いいね」本沢。

 「はい、それはもちろん。

 先生。虹起に代わってください」

 電話の向こうで皆山が言った。

 入念に打ち合わせを。

 編集長自身

既に質問内容を整理してあったらしい。

 手回しのいい事だ。

 まあ当然か。

 弥生はそれをメモに。

 本沢の意見も入れながら。

 放射能の事も

事実のみを書いておく。

 一般の人に注意を促すためだ。

 ガイグの細胞なりに

直接手を触れては危険だ。

 電話が切れた。

 「編集長もスマフォがつながっているのに。

 自分でやればいいのにな」身月。

 全員。-----。

 気が付かなかった。

 本沢はスマフォを取り出し

発掘現場にいるもう一人の助手の

衛口えいぐちに。

 発掘現場は十数人のマスコミや

百人近い野次馬でごった返しているらしい。

 まだまだ数が増えそうだと言っている。 

 テレビの中継車も到着し始めているそうだ。

 県警から応援が来て

警官が整理しているとのこと。

 本沢はどこだと迫られている。

 堆星教授のところへ連絡を入れたらしいが

既に出た後だったらしい。

 とにかく衛口には

すぐ帰ると言ってスマフォを切った。

 「先生。締切もありますので。

 さっそく」弥生。

 「そうだね」本沢。

 「そこの路肩にでも

 自動車クルマを止めて」

 リョオは止めた。

 インタビューが始まった。

 「虹起君。

 見て聴いて全部知っているからなあ。

 こっちもやりにくいよ」本沢は苦笑い。

 「そう言えば編集長も

ある程度は」

 スマフォで堆星教授とも打ち合わせをして

適当に。

 細胞の検査結果のみを簡略に。

 スズ、アンチモン、テルルの件も

事実のみを。

 しかし第五周期生物云々の

判断の部分は省略した。

 これで専門家の意見も聞けるだろう。

 全部書かれてはたまらない。

 後で何を言われるか。

 恐ろしい。

 まあそういう場合は。

 どこの誰が言ったかわからない形で

記事にしてもらうという手もあるか。

 しかし大丈夫かな。

 とにかくインタビュー?は終わった。

 弥生がそれをそのまま

スマフォで編集長宛に送った。




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