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大怪獣 V ガイグ  作者: 維己起邦
5/18

発掘現場

 御口リョオは本沢教授たちとともに

鳥沢村の発掘現場に泊まり込んでいた。

 突然の火山噴火。

 危ないとは聞いてはいたが。

 高台にあるため溶岩の心配はないが

火山灰がここにも降り注いでいる。

 弥生も火山噴火の取材のため徹夜。

 火山噴火がよほど怖いのか

顔色は青い。

 カメラマンの空口もいる。

 リョオは教授とともに発掘現場の見回りに出ていた。

 深夜。

 炎龍山は真っ赤な溶岩を吐き出し

暗闇の中に不気味に浮かび上がっている。

 「これじゃ、またいつ発掘が再開できるか

わからないな」本沢が残念そうに。

 「火山学者の先生にきいても

要領を得ませんし」リョオ。

 何でも地下深くのマントル内にある

プルーム内の核物質の量によるとか

その核分裂が-----メルトダウンが-----

おさまらない限り-----

という事らしい。

 地震波による探査では。

 遠くで妙な鳴き声のような音が響いた。

 二人ともギョッとしたような表情で

お互い顔を見合わせた。

 「火山が噴火すると-----

あんな音が出るのかね」

 本沢が幾分ぎこちなく。

 「さあ、専門外ですので」リョオ。

 妙な鳴き声のような音は二度三度。

 さらに空へ向け、光の帯が-----伸びていく。

 二人とも真っ青。

 弥生の話を聞いた後では無理もない。

 そのような事

あるはずがないのは分かっていても-----。

 「まさか先生」リョオ。

 「そんな馬鹿な。

 まさか君-----怪獣なんて」本沢。苦笑い。

 「そうですね」リョオも笑った。

 その時。

 助手の一人の身月みづきが慌てて駆け寄って来た。

 「先生。大変です。

 カイジュウです。

 カイジュウ」

 二人が振り返る。

 「カイジュウ?」

 「出ました。

 やっぱり。

 今テレビで」

 助手も弥生の話は聞いている。

 しかし。

 「テレビで。

 〇〇カメラか何かじゃないのか」本沢。

 「いえ、違います」

 二人はテレビのあるプレハブへ。

 テレビには。

 「ガイグか」本沢。

 「そっくりですか。

 あの化石に。

 それに洞窟の絵にも」リョオ。

 「こっちは」本沢。

 「ザイドですか」身月。

 「そのようだ」

 「どうしましょう」身月もどうしていいのかわからない。

 近くの村の駐在所の巡査や

村役場の職員も慌てて発掘現場へ。

 彼らは皆、この恐竜の化石を見て知っている。

 弥生も駆け付けて来た。

 青い顔で言葉もない。

 「先生。

 どうしましょう」

 全員、わけがわからない。

 「化石の恐竜とテレビに出ていた奴。

 そっくりで。

 我々もどうしたらいいのかj。

 一応、私の上司には報告しておいたのですが」巡査も。

 「いえ、我々も今テレビを見て、

驚いているしだいで。

 全く寝耳に水で」本沢も。

 「化石の恐竜が生き返って暴れ出したとか」

 「そんな-----。

 化石はそのままありますよ。

 それに大きさが。

 向こうの方がはるかに大きいですよ」

 「ですが-----。

 何せ怪獣ですし-----巨大化して。

 あっ、いえ。

 そうですね。

 そんな事。

 こっちは小さいですか。

 気が付きませんでした。

 動揺して。

 それに化石はそのままですか」

 怪獣たるモノ。

 テレビや映画では“何でもあり”だが

そんな事あるわけないか。

 「まさか先生。

 あの化石の恐竜。

 奴の子供か何かで

取り返しに来たとかで」巡査。

 「それじゃあ先生。

 ここへ来るのでは」助手の身月。

 「じゃあ。早く親に返さないと大変なことに」巡査。

 今度はあのマンガのあのパターンか。

 あり得る-----か。

 となると今後の展開は-----

あの化石の怪獣が生き返って。

 いや、死体を取り返しにのパターンかな。

 マサカ。

 現実に出現した怪獣と

マンガの怪獣は違うんだ。

 現実に怪獣が出て来ているのに-----

何か現実感が-----とぼしいのは-----

なぜだろう。

 本沢もリョオも顔を見合わせた。

 「それは-----ないでしょう。

 あの化石はどう考えても

死んでから数百万年は経っていますし」リョオ。

 「ですが相手は怪獣でしょう。

 百万年やそこらは生きる奴がいるかも」職員。

 「それは-----ありますか。

 いや、マサカ。

 そんな事」リョオは慌てて否定した。

 「それについては-----江戸時代にも

もっと前にも何度も出て来ているようですし-----

それならばその時に

取り返しているでしょうし」ぶつぶつと。

 「なるほど」

 しかし怪獣だから-----一抹の。

 「それで駐在さん。

 上司へ連絡したと言っていましたが。

 ここの化石の事を」本沢。

 「はい。上司の方も一応調べに来るとは

いていましたが。

 それが県警本部へ上がって。

 それから-----。

 国へ伝わるには数か月-----

くらいは必要かと」巡査。自信はない。

 「そんな。

 その頃にはあのガイグは-----」職員。

 「とおの昔に退治されて

それこそ昔話になっていますか」本沢。

 テレビの報道番組が

自衛隊の出動を告げていた。

 “ガイグ”は名古屋方面に迫っているとのこと。

 もう一頭の“ザイド”は地下に潜ったまま。

 「どうしましょう」リョオ。

 「どうするって」本沢。

 「私は行ってみようかと」弥生。

 すでに火山取材に来ていた

他の新聞社の者たちは

怪獣の取材に出発したらしい。

 彼らとは取材場所が離れていたため

ここからではわからなかったが。

 本社からそのような連絡も入っていた。

 弥生は本沢たちをマークするように

言われているらしい。

 しかし。

 「怪獣をかね」本沢。

 「はい」弥生。

 「先生。私も。

 あの生物の何らかの痕跡を

発見できるかもしれませんし」リョオ。

 「それは-----あるか」

 この化石も気になる。

 「ここをこのままにしておくのは

心配だが。

 私も行こう」

 自動車は出発した。


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