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大怪獣 V ガイグ  作者: 維己起邦
15/18

堆星

 「先生。ここも危険です。

 幸い、陸自のヘリを二三機調達できましたので

それで移動しましょう」陸川二佐。

 南北大学ではリョオや本沢たちが。

 「これが我々にとっての

最後の切り札です。

 何としても」空幕の幕僚。

 「それで首相との連絡は」本沢。

 「それが全く。

 ヘリで脱出したらしいのですが。

 何せ通信も何も混乱状態で。

 ここからのモノは全く通じません」

 スマフォもだめらしい。

 「そうですか」堆星。

 「とにかく早く。

 君。それは気を付けて」

 直径二十センチ。長さ三十センチほどの

円筒状のモノが。

 金属製だ。

 それを自衛隊員たちが運び出していく。

 「いや、試作が三個。

 もちろんガイグが現れてからの試作だ。

 それとそれからさらに。

 急いで作ったんだが-----

それを合わせても全部で十発止まりだ。

 もっと原料があればよかったんだが。

 手元になくてね。

 特に核物質が。

 他の研究室の先生方にもお願いして

かき集めたんだが。

 これではガイグ一匹でも倒せるかどうか。

 もう一匹いるしね。

 もう少し時間があれば。

 原料屋さんにも必要なモノを

注文してあったんだが」

 堆星もいかにも残念そう。

 「先生。そんな事。

 先生さえおられればまたいつでも」

 リョオも気が気ではない。

 その金属製の物体を載せたヘリが

飛び立っていく。

 資料の運び出しも始まっている。

 「一刻を争うしね。

 そういえば君。

 君は自衛隊の方たちと早く。

 ミサイルなり何なりに

あれをセットしなければいけないんだろ」

 「ですからすぐに先生も」リョオ。

 既にテレビは全く何も放送していない。

 ラジオも数局を残すのみ。

 遠くで火が。

 ここからでも見える。

 「まだ大丈夫だろう。

 ラジオでもガイグは東へ向かっていると

言っているし。

 海へ行くかも。

 私は今までの研究資料を

全部運び出さねばならないし。

 あれがなければ。

 また造るにしても

何か月もかかるかも知れんし」

 「しかし先生。

 では私も」

 「いや、君たちは先に。

 一刻も早く。

 君がいなければ装置のセットが

難しくなる」

 そう言うとリョオや弥生たちを

無理やりヘリへ押し込んだ。

 陸川もヘリへ。

 陸川がいなければ

リョオたちだけが行っても

相手にもされない。

 メーカーにも防衛省にもだ。

 堆星は研究室へと。

 駆け戻った。

 ヘリはスタートした。

 「大丈夫かな。

 先生」

 「まだガイグは遠いし。

 大丈夫だよ」本沢も。

 「それの飛んでいる分。

 こちらの方が危険かも。

 リスクを分散させるという意味でも

良かったかも」

 「それはありますか」

 確かに。

 ガイグは東京湾方面に向かっている。

 「我々はこの資料を持って

メーカーへ」陸川も。

 ミサイルへの組み込みのためだ。

 ヘリは南北大学を離れた。

 その時。

 地下が。地面が噴き上がった。

 巨大な光の柱が。

 「あれは」リョオ。

 北区の十条台付近だ。

 「ザイドだ」

 ザイドが地下から地上へと

その姿を現した。

 リョオは顔面蒼白。

 弥生も。

 「堆星先生は」リョオ。

 「ヘリを戻せ」陸川。

 「向こうのヘリもすでに気付いています」ヘリのパイロット。

 「いいから戻せ」

 南北大学にはもう一機。

 ヘリが待機していた。

 「それをかせ」

 陸川が無線機を取り上げる。

 南北大学で駐機中のヘリへ。

 「私だ。いいか。

 堆星先生を。

 資料なんかどうでもいい。

 首に縄をつけてでも

脱出させろ」

 ザイドは王子駅をレーザーで。

 中里へ。

 「間に合うのか」陸川二佐。

 「このヘリで迎えに」リョオ。

 「しかし幕僚。

 このヘリを失う事は」

 陸川たちは迷った。

 「行ってください」リョオ。

 「御口君。

 君にもしもの事があれば」陸川。

 「君。降りろ。

 ここから」空幕の空戸。

 「そうだ。それがいい」陸川。

 「そんな。

 それに私だけでは誰も相手に。

 あなた方も」リョオ。

 幕僚たちも詰まった。

 「行きましょう」リョオ。

 ザイドは南北大学方面へと。

 ガイグへと。

 周囲を火の海と化しながら。

 ガイグもザイドを認め

こちらへ向きを変えていた。

 ヘリは南北大学へ。

 「ヘリからは」陸川。

 「いえ、まだです。

 堆星先生はまだ」

 向こうのヘリのパイロットは

スタンバイしている。

 何人かの隊員たちが

既に中に入っている。

 リョオたちの乗ったヘリは

南北大学へと。

 堆星が自衛隊員たちに抱えられるように

ヘリへと向かっているのが

上空から目に入った。

 しかしザイドが。

 ザイドがレーザーを。

 「先生!」リョオが。

 堆星はザイドの放ったレーザーにより。

 南北大学ごと火の海に。

 彼の研究資料とともに。

 陸川たちも声もない。

 リョオたちを乗せたヘリは

高度を落とし低空を。

 ザイドの眼を逃れるように。

 ザイドもガイグに気付いている。

 ヘリなどには目もくれない。

 そのおかげで助かったようなものだ。

 ザイドは邪魔な南北大学を

踏み潰し。

 ガイグは神田から湯島へ入った。

 リョオたちを乗せたヘリは

その場を離れていく。

 リョオは向かい合う

ガイグとザイドをジッと-----

放心したように見つめていた。









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