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大怪獣 V ガイグ  作者: 維己起邦
12/18

対策

 本沢たちが帰った後。

 防衛省内では。

 他の専門家の先生方にも話を伺ったのだが

どれもこれも。

 そしてメインの議題は。

 どういうわけか。

 「信じられん話だが」陸堀首相。

 はっきり言わせていただいて

今の我々には。

 こう言っては失礼ですが」

 前置きして。

 「絵空事のような話ですし」

 「それを信じろという方が」

 「無理があるか」

 「あのような-----失礼だが。

 訳のわからない方々に。

 あのガイグですか。

 その化石をまかせておいてもいいのかと」

 「確かに」

 “まともだ”

 「第五周期に

核物質云々ですから」

 「すべて推測ですし」

 「それはそうだ」

 全員どう判断していいのか。

 「あの本沢-----先生かね。

 それに堆星とかいう先生。

 大丈夫なのかね」

 「学会での評価は。

 マサカ学会から追放されたような

〇〇サイエンティストでは」

 その手のキワモノ映画では-----。

 この手の怪獣について

あれやこれやと自衛隊相手に

解説する科学者は必ずそうなっている。

 いや-----解説する方はマトモで

倒す方が○○サイエンティストか。

 まあいいか。

 パターンはいろいろある。

 しかし今回のあの先生方を見る限り。

 解説する方も〇〇サイエンティストだろう。

 「もっと-----。

 その筋の一流の

専門の先生にお願いしては」

 「それはいい。

 遺伝子工学か。

 いや、物理分析ですか。

 その筋の」

 「ですがその筋の専門家の誰に聞きましても。

 古生物学では本沢先生が。

 物理分析では堆星先生が第一人者だと。

 遺伝子工学でも

あの先生がおっしゃられていた方々が。

 第一人者と言われる先生方には

我々も連絡を取ったのですが。

 すでに本沢先生からの依頼を受けた後でして。

 何か月も前に

分析済みだと。

 例の化石の細胞を使ってです。

 それで。

 その結果を送ってくれるように依頼を。

 それと新しく手に入れました

-----ガイグですか。

 それとザイド-----の細胞を使って

分析していただけるように

お願いしたのですが。

 その結果はまだ」統幕の幕僚。

 「第一人者か」

 「よく捜し出してきましたね。

 その第一人者とやらを」官僚。

 「はい。

 本沢先生に-----

教えていただきました」

 陸幕が引いた。

 全員タメ息が。

 「大丈夫なんですか。

 その第一人者」官僚。

 「-----」

 どう判断していいのか。

 全員-----頭を------。

 「やはりテレビに出ている先生を」

 「しかしスズもアンチモンもテルルも」

 「出て来ないか」

 「スズもアンチモンもテルルも

出て来ないような

先生をお呼びしても」

 「しかし出てきたら出て来たで」

 「どうしよう」官僚。

 「あの先生方と同じでは。

 もっと違う。

 常識的な考えを持っておられる先生は」

 「-----」

 「しかしあの本沢先生。

 本当に第一人者なのですか」

 「さあ。

 我々には」陸幕。

 「昨日までは第一人者でも。

 今日からは〇〇サイエンティストの

仲間入りという方もいるのでは。

 アッ、イエ」

 「あのような事をこのような席で」

 「それはあるか」

 “よく言えたものだ。

 しかし-----それは我々の所為かな。

 嫌がる先生方に

無理やり言わせた感もあるし-----。

 しかしこんな話。

 いくら無理矢理でも”

 「とにかく相手が第五周期生物だろうが

何だろうが。

 そのような事はどうでもいい事ですし。

 要はあの怪物二匹を

倒すなり何なり出来ればいい事ですし」雪川統幕議長。

 「あの怪獣の正体云々は

そのあとでゆっくりと

学者先生方に論じていただけば

いいのでは」

 「それはそうだが。

 できるのかね。

 正体もわからずに」首相。

 「それは-----」雪川。

 「情報によるとあのガイグにザイドかね。

 二頭ともこの東京に近づいてきている

そうじゃないのかね」閣僚に一人。

 怪獣の名はすでに

マスコミがそう報じている。

 例に祠の絵をもとに。

 まあかまわないだろう。

 「そうだ。

 今日、明日にも奴らの上陸は迫っている。

 その現状で。

 何か有効な対策でもあるのかね。

 このままでは名古屋の二の舞だよ」

 「名古屋では何ら有効な対策も

打てなかったじゃないか。

 何か奴らに対して効果のある

攻撃方法はないのかね」

 雪川たちも無言。

 「奴らには。

 最新鋭の超音速対艦ミサイルも

全く効果が-----。

 後は-----120ミリの戦車砲くらいしか-----

ありませんか」陸幕長。

 「そんなもので大丈夫なのかね」

 「あの戦艦大和の主砲の1・5倍の威力という

ミサイルでもダメだったんだ」

 「それは-----」

 「それより例の化石の怪物かね。

 あれのレントゲン写真。

 いや、CTか。

 それを手に入れたんだろう。

 それを分析して何か弱点でも」

 「我々の持つ兵器でも

倒せるような弱いところでも

見つけられないのかね」口々に。 

 「それを見つけられれば

あの先生方も役に立ったわけか」

 「それはそうだ」

 その手のモノの定番では必ず。

 そういう弱点の一つや二つ

あることになっている。

 どうしてかって。

 そうしておかなければ

やっつけられないじゃないか。

 「これですか」

 スライドを。

 そこにはガイグの身体の

X線断層写真が。

 「そう、それだ」

 期待を込めて。

 「ミサイルなり何なりで

撃ち抜けそうなところは」

 「このようなモノ。

 いくら見ても。

 奴は腹の中で爆弾を爆発させても。

 腹の中以上に弱いところなど-----

ないかと」空幕長。ポツリと。

 「それは-----そうか」

 「確かに-----そうだ」

 「そういう事か」

 「目に爆弾が命中しても

何ともなかったか-----確か」口々に。

 「それ以上に弱いところが

あるわけないか」力なく。

 「はい。ですから-----。

 弱点と言っても。

 我々の持つ現有兵器では」

 「君。君たちがそんな事では」

 「どうやって自衛隊の持つ

現有兵器で倒せない

あの怪獣を倒すか。

 それが一番重要なのだろう。

 それを-----そんな事でどうするね」

 「それが出来てはじめてその手のモノは

成り立つんだし。

 アッ、イヤ-----。

 何でも-----。いや。

 自衛隊の存在意義があるのではないのかね」

 あわててゴマ化す。

 “いや待てよ。

 学者の先生の存在意義か。

 自衛隊ではなく。

 映画の中の自衛隊は-----常に。

 まあいいか、この際。

 そうしておこう”

 「いえ、もちろん。

 我々としても」月空つきそら空幕長。

 「どうするね」

 「奴が東京へ来るのならば。

 まだそうと決まったわけではありませんが。

 東京に全航空戦力を集中して」月空。

 「撃って撃って撃ちまくるわけか」

 「はい」月空。

 「そのためにわが陸自でも。

 北海道や東北からも

戦力を引き抜いて。

 部隊を東京へ移動させております」陸原陸幕長。

 「海自におきましても

新型の超音速対艦ミサイル搭載の護衛艦を」海月海幕長。

 “またあの戦艦大和の1・5倍か”

 「北海道からは戦車連隊。

 地対艦ミサイル連隊等を。

 新型自走砲を含めて。

 空自、海自とも合同で

集中攻撃を加えれば-----

いかに-----。

 第五周期生物ですか。

 奴でも」議長。

 「追い返すくらいはできるか」

 「うまくいけば倒せるか」

 「なるほど」

 「それで。

 そんなに北海道や東北から戦力を引き抜いて

-----我が国の防衛は大丈夫かね」閣僚。

 「それは-----充分に配慮はしていますが」議長。

 歯切れが悪い。

 「今それを言っても。

 とにかくあの二頭を

どうにかしないと」枠未。

 全員。

 「しかし-----あの本沢先生たち」官僚。

 「何か」

 「いや。なんでもない」

 マサカ対抗策などあるわけも。

 マンガじゃあるまいし。

 「本沢先生には

これからもご協力いただく事が

あるかも知れませんし。

 陸川君はじめ

何人かをつけてあります。

 何か奴を倒すヒントでもあれば

すぐに連絡が」陸幕長。

 期待はできないが。

 「それと-----他の専門家の先生方にも

様々なご意見をいただきましたが。

 そちらの方は」

 「あの先生方か。

 テレビに出ていた」

 「マトモな事を言われた

先生方もいましたか」

 防衛省にご足労いただいた先生方は

本沢たちだけではない。

 「そちらの方々から

何か対抗策でも」

 その言に全員顔をしかめながらも。

 「それはあるか」

 あまり期待しているようには見えない。

 「それはそうか。

 あのもっともらしい意見を

言われた先生方か」

 「なるほど。

 それなら」

 しかし何か的外れなような。

 「ご心配なく。

 そちらの先生方にも

それぞれ何人か張り付かせておりますので」

 「しかし相手は怪獣だよ。

 マトモじゃないんだろう」

 「それはそうか。

 それをマトモな意見で-----倒せるとは。

 とても。

 奴は大砲の弾丸を受けても。

 マトモじゃないんだよ。

 マトモならとっくに死んでる」

 「なるほど」

 「しかし限度もあるだろう。

 あの本沢先生ほど

マトモでなくなれば-----」

 “納得”

 「どの程度マトモでない考え方を

述べられた先生のご意見を聞くべきか。

 そういう事になるのか」官僚。

 「本気か」

 「まさか」

 エライ事になって来た。

 「そうすればあの怪獣を倒せるのかね」大臣。

 「それは-----」

 「ないか」

 どうしようもない。

 “これが映画なら。

 まともな意見を述べる学者の

考えてくるようなモノは

現有兵器と変わらんだろう。

 そんなもので倒せるわけもないし。

 それではファンが許さない。

 マトモとマトモでない意見の

中間か。

 それはあくまで現有兵器に

毛の生えた程度のSF兵器だし。

 そんなもので怪獣を倒せば

何を言われるか。

 やはりまともでない。

 “間に合わせ兵器”

に頼るしかないのか。

 何か考えなければ。

 これではこの映画-----大変なことになる。

 しかし下手にそのようなモノに乗って

勇み足ではもっと大変なことに。

 しかしそれを怖れていては。

 何とかうまく-----だ。

 エッ?

 これは現実か。

 連日の徹夜で。

 その手のキワモノ映画を

子供に連れられて-----昔は親にだったが-----

見るたびに思っていたことが。

 現実と混同して。

 しかし現実には-----。

 やはりマトモな意見の

兵器がほしい。

 マトモは意見で奴を倒せないものか。

 現実に出て来たものならば

怪獣であろうが何であろうが、

マトモな兵器で倒せてしかるべき

ではないのか。

 しかしそれではあの怪獣。

 怪獣ではなく

ただの“巨大生物”になってしまうのでは。

 まあいいか。

 とにかく我々としては

あの怪獣を-----倒せばすむ事だ。

 倒した後で

あれは怪獣だったのか。

 巨大生物だったのかを考えればいい。

 何を基準に考えるかって。

 もちろん現有兵器で倒せたか。

 マトモでない意見の

学者の先生の考えた

“間に合わせ兵器”で倒せたか。

 に決まっている。

 しかしその中間の。

 現有兵器に毛の生えた程度の

SF兵器で倒せたとすれば

あの生物-----。

 どうなるのだろう。

 怪獣か。

 巨大生物か。

 問題だ。

 しかし-----戦艦大和の主砲の1・5倍は。

 現実にあるのだから

現有兵器なのだろう。

 まあ映画なら

あれが現有兵器に毛の生えた程度の

SF兵器となるのか。

 「しかし-----あのガイグの細胞から出て来た。

 スズにアンチモンにテルルかね。

 奴のアミノ酸も

それでできているんだろう。

 それを説明できる

先生もいないんだろう」

 「はい-----そうですが」

 「夢を見ているようです」

 「堆星先生に指摘されて

はじめて-----。

 他の先生方も気づいたくらいですから」

 「それでは期待できるわけも」

 「ないか」

 「まあ-----あのようなモノ。

 急に持ち込んでもすぐには。

 そこまで調べられるかどうかという

問題もありますか」

 「なるほど」

 「しかし。

 堆星先生の説も

説明になっているとは-----とても」

 「まあそれは-----そうだが」

 どうしようもない。

 自衛隊の部隊の移動は

既に始まっていた。






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