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大怪獣 V ガイグ  作者: 維己起邦
11/18

防衛省


 防衛省。

 本沢たちは堆星と合流。

 居並ぶ政府の閣僚、

制服自衛官たちを前に

ガイグの分析結果を

説明し終えたところだった。

 首相もいる。

 全員無言。

 既にインターネットニュース徳東の記事は

ここにいる全員が読んでいる。

 しかしそこには第五周期などとは

一行も書かれていない。

 龍神村の伝説と

ガイグの化石の写真。

 それとスズ、アンチモン、テルルが

大量に検出された事を載せたのみ。

 「第五周期生物ですか」

 「スズにアンチモンにテルルで

身体が造られているのか」 

 その件については

既に陸川たちから報告を受けていたため

-----思ったよりは。

 「信じられん」

 「そのような生物が存在するとは。

 何かの間違いでは」口々に。

 「しかし-----。

 当方で追試したところ

同様の結果が。

 もっとも堆星先生と同様の分析方法ですので。

 また別の検査も必要かと」制服組。

 「では、ほぼ間違いないわけか」大臣の一人。

 「それは-----」官僚たちもどうしていいのか。

 「しかし、まだ信じられん。

 そんな生き物」

 「ですが、それなら。

 大砲の弾丸タマが当たっても

平気な生き物も。

 いるわけも-----」最後は小声で。

 「皮膚が厚かっただけ-----いや。

 それだけではあれだけの攻撃を」

 「なるほど。

 我々の常識は通じんわけか」

 「しかしどうして。

 そのようなモノが存在するのかね。

 それに今またどうして-----出て来たのかね」別の大臣。

 「例えば今はやりの

遺伝子工学で作ったとか」

 「他には-----。

 考えられる理由としては」

 「それは。

 これは彼女が気が付いたのですが。

 遺伝子工学とは考えられません。

 炎龍山のふもとの

龍神村の伝説によりますと

ガイグは数百年。

 いえ、それ以前から

地上に姿を現しているようですし。

 その証拠もありますし」

 リョオが遠慮がちに弥生の方を見ながら。

 「これかね。足跡に-----。

 村のホコラの絵ね」

 先に配布されていた写真を手に。

 「それにあの化石のガイグは

少なくとも数百万年前のモノですし」

 「数百万年前か」

 「そんな昔に遺伝子工学もないか」タメ息が。

 「ではどうして

このような生き物が」

 「第五周期の生物など

自然発生のしようもないでしょうに」

 「宇宙から飛んで来たとか。

 隕石にでもくっついて」

 「それも考えにくいかと。

 ガイグにザイドの二頭もいますし。

 それの数百年にわたって-----

いえ数百万年ですか-----

にわたって断続的ですが

出現しているようですし。

 村の伝説によりますと

二頭以外にもいるようですし。

 別の種類も」リョオ。歯切れが悪い。

 「大昔、DNAの形で隕石により

運ばれて来たとしたら-----

それが地球上で進化-----分化して-----。

 それも考えにくいか。

 環境が。

 それに今は-----第二周期ですか。

 先生方によると。

 その中では生きられないのでは。

 我々も隕石によりDNAが。

 それが進化、分化してという説もありますが。

 それが可能だったのは

地球に水や窒素、二酸化炭素等

があったからですか。

 それから考えても

このような生物が生きていけるとは」官僚。

 「どうしよう」本沢は堆星に。

 「どうしましょう」堆星。

 「何かあるのですか」枠未わくみ防衛大臣。

 「一つの可能性としては」堆星。

 「君、それは。

 あまりに飛躍しすぎているし」本沢。

 「しかしこの際」

 「仕方ないか」本沢もあきらめ顔。

 「しかしこの人たちは

あくまで仮説だと言っても

本当だと受け取りかねないし。

 本当かどうかは

これから検証していくものだし」ブツブツと。

 「ですが」

 堆星は自信があるのか-----ないのか。

 「何かあるのなら

言っていただきませんと。

 我々としても」官僚の一人。

 「まあ他の専門家にでも当たって。

 その方がこの先生方よりも。

 一応聞いておくか。

 しかし-----。

 どうしたものか」

 「スズにアンチモンにテルルか」

 「そんなものどうすれば」

 そこかしこで官僚たちがひそひそと。

 「専門の先生に心当たりはあるのか」

 「それは」

 「まあテレビが。

 テレビに出ている先生でも呼んで」

 「そうだな。

 しかし」

 「スズにアンチモンにテルルか」

 「そんな事を言っている先生。

 テレビで見たか」

 「いや-----。

 どうしよう」

 「捜すしか」

 「マスコミにこれをリークすれば」

 「あとはテレビがやってくれるか」

 「しかしそんな先生。

 呼んでも大丈夫か」

 「そんな事を言う先生は」

 「この先生方だけで充分か」

 それを聞くとはなしに聞きながら。

 堆星は。

 「これはあくまで仮説。

 可能性の一つでしかないのですが」

 前置きして。

 用意してあったスライドを。

 堆星が。

 用意がいい。

 ある程度の覚悟が

できていたという事か。

 「今から十数年前。

 バーザス国のバーム大学の。

 ワイズ教授とクレバー教授によって

提唱された理論なのですが」堆星。

 「バーザス国の」

 「バーム大学」

 超一流大学だ。

 ここにいる一同。

 官僚も含めて。

 思わず姿勢を正した。

 それにワイズ(Wise)と

クレバー(Clever)だ。

 下手なことは言えない。

 「ご覧ください」

 スライドを操作する。

 「これは今から数十億年。

 いえ、もっと以前の。

 われわれの太陽系ができる以前の

原始太陽系と言われる状態のモノです。

 星間物質が引力により

中央に集まりだし。

 太陽が数億年の時を掛け形を成していく。

 「太陽系の誕生ですか。

 それが何か」官僚。

 堆星は弥生たちにした

説明を繰り返した。

 全員、あ然。

 「もちろんそうなるかどうかは

地球誕生時に宇宙にチリの中に

どのくらいの核分裂物質が

存在していたかが問題なのですが。

 それがある圧力温度に達すると

メルトダウンを。

 あるいは爆発を。

 高熱を発し周囲のモノを溶かし

蒸発させる。

 そしてその核分裂物質の減少とともに

凝固温度の高いモノから順に

固まって大地を形成する。

 というよりも軽い物質は

地球表面に押し出され-----

その時の地球表面温度でも溶けなかったモノが

押し出され-----冷えて大地を形成し。

 そしてその時の大地の温度程度で

気化されるような物質が大気を。

 液化されるような物質が海を形成する。

 そう考えると星間物質内の核分裂物質の量から

現在の地球の年齢を推測できるのでしょうが。

 しかし宇宙のチリの成分も

原始太陽系の形成当時と今とでは

だいぶ違いますか。

 それに地球内部に残っている

核分裂物質の量を調べなければ

なりませんし」

 不可能か。

 火星や金星の場合はどうなのだろうか。 

 それに太陽も似たようなモノですか。

 あちらは水素-----核融合ですか」

 「まあ-----そういう事も。

 いや-----しかし-----」

 「地球段階冷却説-----ですか」官僚。

 「これは専門家会議を開くにしても」

 「大丈夫かな。

 そんな先生ばかり集めて」

 官僚たちは堆星たちを-----ジッと。

 その手のキワモノ映画の専門家会議の

ワンシーンのようでは。

 「我々は文系だしな」

 「やはり専門家にか」

 「しかし-----」

 そこかしこで口々に。

 「第五周期の水と大気」

 「それから第四、第三と。

 今は第二周期の炭素、酸素、窒素」

 「我々は第二周期生命体というわけか」

 「よくもまあ-----そんな理論を。

 引っ張り出してきたな」小声で。

 「しかし対称論の時も」

 「あの光がどうのという

アインツとかいう偉い先生の考えた」

 「あの理論も最初は。

 全く相手にされなかったらしいし」

 「しかしそれはごく一部だろう。

 他のわけのわからん説は

全て消えてなくなっているし」

 「それはあるか」

 「それにそのアインツの説も」

 「それはあるか」

 全員キツネにつままれたよう。

 しかし相手はあのバーザス国のバーム大学。

 しかもワイズとクレバーか。

 相手が悪い。

 無下に否定するわけにも。

 だが-----認めるわけにも。

 「宇宙にある惑星で

現在そのような状態にあるモノを

スペクトル分析すれば

証明できるのですが。

 核分裂が起きているかも

わかるかも知れませんし。

 第六、第五、第四と

それらの物質が光を発していれば-----。

 それを分析すれば」

 全員、あ然。

 「宇宙の惑星をスペクトル分析ですか」

 「はい」

 「それでもしそのような惑星がなければ」官僚。

 「その場合。

 この仮説は否定されることになります」

 「なるほど」

 「そうやって正しい説を

導き出していくのが科学というモノです。

 ふるいにかけて。

 ですから何でも頭ごなしの否定していては。

 やはり調べてみないと」

 「なるほど」

 「ですが-----この説は」

 「いくらなんでも」

 「まあ-----このような場で

この仮説は正しい云々を

論ずるべきではないのでしょうが。

 もっと確実な

既に証明されているモノを

出すべきなのでしょうが。

 相手は怪獣ですし。

 調べた結果からは

今のところそれが最も」堆星。

 ブツブツと小声で。

 この際仕方ないか。

 問い詰められて。

 「-----」全員。

 「それでその-----。

 第五周期生物の時代が数億年以上続いて。

 あのガイグ-----ですか。

 奴はその時代に生まれた生物だと」

 「はい。

 しかし、もちろん-----。

 何度も言いますが。

 これはあくまでも一つの仮説でしかありません。

 あくまでも。

 それを証明する傍証も何も

あるわけではありませんし-----。

 しかしそれ以外に

現在のところ考えられる理由は-----

私にはありません。

 もしガイグが自然発生したとすればですが。

 もちろん、他の専門の先生にも

ご意見を求めていきたいかと。

 ガイグの皮膚表面に付着した

層状の金属の件も含めて」

 「他の先生ならば別の考えも-----ですか」

 「まあそういう事です」堆星。

 “誰かに丸投げできないのか”

 ため息が。

 「失礼ですが。

 我々としては急にそのような事は」

 「信じられませんし。

 テレビでインターネットニュース徳東の内容を

解説していた学者の先生も

そんな事は-----

言っておられませんでしたし」

 “何を言っていたのかな。

 あの先生方は。

 どうしてこのような生物が。

 大砲の弾丸があたっても。

 溶岩の中から出て来た云々と迫る

キャスター相手に”

 「船のように地殻が溶岩の上に。

 地殻は軽いですから。

 これはもう確かめられているのか」 

 「しかしそれなら。

 浮いているのなら

 船に乗っているのと同じで

プカリプカリと揺れても。

 それに地球は自転しているのだし

それに引きずられても。

 マントルというのは

水のようにすぐにはそうならないが-----

経年的には流体のような振る舞いを-----か」技官。

 「ですが第五周期というのは」

 「信じがたいと言いますか」

 「しかし当方の検査でも

そうなっていますし」

 「どう判断すればいいのか」

 「ガイグのタンパク質を構成する

アミノ酸もそのようになっていると」

 「炭素も窒素も酸素も

ほとんどなかったと

報告が」

 「それでは-----そうなるのか」

 「そのような生命が

もし自然に誕生したとなると

第五周期のそのような環境の中で

生まれたと考える方が

至極しごく妥当なのでしょうが。

 ですが。

 地球がそのような状態にあったとは」技官。

 「それにあのような怪物が

今も生きているという事は

地球内部の状態が現在も第五周期ですか。

 その時と同じ状態にある。

 という事ですか。

 そんな事」

 「はい。そうかと。

 しかし地球だけではなく

宇宙の何処かの惑星には第五周期。

 いえ。事によると遷移元素に置き換わった

金属周期生物も存在しているかも

しれませんし。

 スペクトル分析をすれば」堆星。

 「宇宙の何処かですか-----。

 それならあり得るかも。

 しかしこの地球上で-----ですか」

 「まさか金星や火星、木星でもですか」

 「それらの惑星も

そうだった可能性は否定できませんし」

 「金星や火星が

金属周期に第五周期-----ですか」

 「第四、第五周期生物もありますか」

 「それでは第五周期、金属周期の

人類がいても不思議では。

 いや-----これは-----

あまりにも。

 そんな事」

 慌てて否定を。

 マンガの読みすぎか-----な。

 官僚や技官、役人たちの間で

勝手に話が広がっていく。

 「生命の発生があったかどうかは

わかりませんが」堆星。

 「とても信じるわけには。

 急に言われましても」

 官僚たちは口々に。

 大臣たちは-----。

 昨日からの疲れからか。

 「それにそのような

劣悪な環境の中で

はたして生命が誕生可能なのでしょうか。

 核分裂により何千万度

いや何億度にもなっているのでは」

 「そうだ。

 そのような中では

生物がたとえ生まれたとしても

とても生きては」

 「それは少し違うのでは。

 我々第二周期生命にとっては劣悪でも。

 第五周期生命にとっては

最適かもしれませんし。

 生命というモノは自然淘汰とうたと言いますか。

 そのような与えられた環境の中で

生存に適したモノだけが残って

繁栄を続けていくものですし」堆星。

 「しかし-----あまりにも」

 「マグマの中で生きているのでしょう。

 先生の説では」

 「はい。

 そのような高温高圧の環境下で

原子同士が結合分解を繰り返し、

アミノ酸なりタンパク質なりDNAなりが

合成される。

 そのような環境下で生き残った

アミノ酸なり何なりが

-----そのような環境に適したモノだけが-----

結合し高分子となり

生命を形造っていくのでは。

 後のモノは分解。

 それ以前に結合もできずに

淘汰されていく。

 今の第二周期生物でも同じですよ。

 第二周期の海の中で

様々な淘汰にあいながら

分解なり何なりされずに生き残った。

 分解合成を繰り返しながら生き残った。

 アミノ酸なりタンパク質なりが、

DNAが。

 生命へと進化した。

 それと同じだと考えれば。

 たとえそのような環境でも

生命の誕生は充分に可能なのでは。

 そう考えるとマグマの中でも

生存に適した生命が存在していても

おかしくないのでは」

 「自然淘汰か」

 「その環境に適した生命が-----か」

 「そうなるのか」

 「もし現在の地球内部のマグマが

第五周期生命の発生に適した状況にあれば。

 ガイグの発生は数百億年前ではなく。

 もっと新しかった可能性もありますが」

 全員押し黙ってしまった。

 「それより先生」

 枠未防衛大臣が口を開いた。

 「何か奴らを倒す方法は」

 「そうだ。

 それが今一番重要だ」誰かが。

 全員同じ気持らしい。

 第五周期云々などという

わけのわからない話よりも

そちらの方が。

 話の方向を無意識に。

 「我々は兵器の専門家ではありませんので」堆星。

 「この資料によりますと。

 背中にある細胞が

レーザー発振管のような構造を-----

していると。

 それが多数集まって。

 あのように口から-----。

 レーザーですか」陸原陸幕長。

 「口からレーザーですか。

 あの-----ガイグや-----ザイドですか。

 奴らの吐く光はレーザー」

 資料を覗き込みながら-----。

 ため息が。

 「しかし自然発生した生命が。

 人工的でもないのに

そのような機能を

はたして持てるものなのですか。

 先生」

 「それは-----。

 考えてください。

 我々の身体の機能にしても

信じられないくらいの偶然の産物です。

 それから比べてみれば-----」堆星。

 「人にしても他の生物にしても

DNAの長さのホンの一部しか

使われていないようですし。

 複雑な生命を形造るのでさえ-----

DNAの一部なのですから。

 それから比べれば。

 そのような機能もひょっとして。

 私は専門ではないので

その方面の専門家にも

一応問い合わせてはいるのですが」本沢。

 本当に一部のみなのだろうか。

 「なるほど。しかし-----」

 「レーザーですか」

 「DNAを調べるしかないわけか」

 「生命ですからDNAに

そのようなモノを形造る

機能が組み込まれていなければ」本沢。

 「という事は-----調べるしか」

 「ですがそれは非常に困難かと。

 何せ相手は第五周期ですし」リョオ。

 化石発見当初

それで-----。

 「それはありますか。

 我々の現在の方法では」

 「-----」

 考え込んだ。

 「第五周期の原始の海の中。

 たまたま、偶然に。

 原始的なバクテリアか何かでしょうが。

 レーザーの発振機能を持った

生命が生まれた。

 当初はホンの初歩的な。

 パワーも知れていたでしょうが。 

 そのバクテリアか何かが

数億年の時を経て

他の生命に取り込まれるなり、

DNAレベルで融合するなりして。

 ミトコンドリアは前者ですので

細胞に取り込まれ存在していますが。

 レーザーは-----まあ後者の方ですか。

 それが発展進化し

あのような能力を持つようになったとか。

 もちろん仮説ですが。

 もし自然発生的にガイグやザイドが

生まれたとしたなら-----

そのように考えるのも」リョオ。

 「ホタルが光るのも

人が酸素呼吸できるのも

そのような機能を持ったDNAや微生物を

取り込んできたからですし」本沢。

 「ミトコンドリアか」技官。

 「-----。

 ミトコンドリアと言えば」堆星。

 「何かあるのですか」大臣。

 「いえ-----。

 こんな事」堆星。

 「おっしゃってください。

 奴らを倒す役に立つかも」陸川二佐。

 堆星は迷った挙句。

 「ミトコンドリアは

酸素呼吸によってエネルギーを生み出す

機能を持っています」

 「それで」

 何の事やら。

 「奴は-----呼吸は-----。

 まだ調査中なのですが。

 我々とは非常に異なった

機構になっているようで」堆星。

 「第五周期の酸素を」陸川。

 「いえ-----それが-----。

 違うようで。

 私も当初、そう考えたのですが」

 「第五周期の酸素ではない。

 では-----。どういう事ですか」

 「それが-----こんな事。

 まあいいか。 

 呼吸に関係する酵素等の構成元素や

分子量を調べた結果。

 それから-----判断したのですが。

 中性子も出て来ますし。

 どうも-----核物質を直接エネルギーへ。

 ATP、ADPのような機能を持った

酵素を使って変換するようで」堆星。

 全員、あ然。

 「そんな馬鹿な」

 「核物質を」

 「では息をしなくても」

 「そうなります。

 それによく考えれば-----。

 この我々の-----地上の大気中には

第五周期の酸素などないですしね。

 奴らその中でも

平気で活動していますしね」

 「でもどうして」

 「そんなこと。

 ありえない」

 「ですが考えてください。

 ミトコンドリアにしても酸素を取り込んで

そういう事をしています。 

 あれは化学反応によって

エネルギーを得ているわけですし。

 それのよって生命は

エネルギーを得ているわけです。

 それができるならば

核物質で同じような事が出来ても

不思議ではないでしょう。

 例えば第五周期の海の中に

核物質や重水素が

大量に存在していたとすれば。

 ミトコンドリアにしろ海の中に

酸素があったから

あのような機能を。

 何億年という時を経て

核物質や重水素を

-----もし重水素の場合は

比重から考えて

化合物の可能性もありますが-----。

 エネルギーに変換する機能を持った

ミトコンドリアが生まれたとしても。

 第五周期の酸素を取るか

核物質を取るかの

差でしかないでしょうし。

 核物質を取った方に

-----重水素かもしれませんが-----

酸素を取った方が滅ぼされるという事も。

 進化のどの段階かは

わかりませんが」堆星。

 「-----」

 全員。沈黙。

 「それに。

 そうでもなければ地球内部では

生きてはいけないでしょう。

 地球内部にも

第五周期の酸素など-----

あるかどうかわかりませんし。

 そうでなければ地球が冷えて

第四周期になった時点で絶滅しているのでは。

 我々にしろ液体酸素や固体の酸素など

とても呼吸できないですし。

 まあ怪獣ですから

それも可能かも----。

 そういう怪獣が出てくれば

認めざるを得ませんが。

 ただし第五周期の固体か液体の酸素が

そこら中にあればの話ですが。

 もちろん彼らの生活環境内でです。

 アッ、イエ。

 そんな事はどうでも。

 とにかくそういう機能を持っていたから

今まで生き残ってこれたのかも

知れませんし」

 「つまり酸素を取った方は絶滅したと」

 「それは分かりませんが。

 それに地球内部で

第五周期の酸素が存在しているかどうかも。

 どのような形で存在しているかも

わかりませんし。

 何度も言いますが。

 それに-----。

 酸素を取った方は口から火を------

いや、レーザーですか-----吐けるのでしょうか。

 もし吐けても-----核物質に比べてですが

弱いのでは。

 もちろん生命活動エネルギーにしろ

同様に」堆星。

 「まだ何か」

 「我々第二周期生命体が

酸素呼吸となったのは

海水中に大量の酸素が

溶け込んでいたからですし。

 嫌気性細菌というのもいますが。

 もちろん第五周期というくらいですから

第五周期の酸素も大量に存在し、

海水中に溶け込んではいたでしょうが。

 核分裂物質や核融合物質の方も

それに比べて-----。

 いや、それ以上に溶け込んでいれば。

 酸素呼吸生命ではなく

核物質をエネルギーとする生命が

誕生してもおかしくないのでは。

 ですから-----最初から第五周期生物に

酸素呼吸-----もちろん第五周期の酸素です-----

が存在していたかどうかも

不明ですし」

 「なるほど」

 “どうしよう。

 こんな話”

 「海水中にどちらが多く

溶け込んでいるかか」

 「-----」

 「地球が熱いという事は

それだけ核物質が多かったという事ですし」

 「より手近な核物質を

エネルギー源にしたわけか」

 ため息が。

 全員頭を抱えている。

 とてもついていけない。

 ついて行きたい気もするのは

-----なぜだろう。

 何を考えているんだ。

 「それで奴らを倒す方法は」月空つきそら空幕長。

 この手の先生の

その手の話を聞いた後には

それが出て来る-----。

 という事はないか。

 「それは」本沢。

 「現在の我々の科学力では」リョオ。

 堆星は無言。

 「ガイグは現在

日本から数百キロ離れた

太平洋の海底を。

 いつまた日本へ上陸するか

わからない状況ですし。

 今度はどこへ来るかも」海月うみづき海幕長。

 「-----」本沢。

 「残念ながら」

 「そうですか」

 本沢たちは防衛省を後にした。









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