初陣
目が覚めた。
眠りついてから時間がほとんど経ってない気がする。
頭がふわふわする。
今までで初めての寝起きの感覚だ。
起きたはずなのに周りになにもない。
ベッドで寝たはずなのにベッドすらない。
どういうことだ。
なんだこの真っ白な部屋。
ここはどこだ。
そう思っていると声が聞こえた。
『おはようございます。お目覚めはどうですか?』
最悪だよ。誰だよ。
独り言のように心の中で呟いた。
『そうですよね。急に申し訳ありません。ですがあなたは選ばれたのです。このAnother worldをプレイできるたった5人の中に。そしてあなたが記念すべき一人目なのです。』
口に出してもいないのに反応してくる。
しかも誰かという質問は放置だ。
『では本題に入らせていただきます。私はこのゲームの管理者です。あなた達のいうGM、ゲームマスターですね。あなた達のいた世界をもとに複製した世界の神なのでミラーの世界の神。ミラとでも読んでください。早速ですがあなたに試練です。私がこの世界を作成するにあたって、不手際がありましてそのお陰でバグで魔王が暴走してるのです。殺してきてください。魔法等はあなたがとても具体的に想像したものだけが具現化して発動されます。頑張ってくださいね。』
質問する暇もなくとても早口でそう言われた。そして目の前が真っ暗になりもう一度明るくなった。今度は真っ白じゃない普通の明るさだ。そして目の前に超巨大な怪物がいる。
『ああ。これが言ってた魔王か。』
こんな状況でも尚、冷静に整理して独り言を呟いていた。
『お前は余の邪魔をする者か。』
目の前の巨体がそう言った。
なんだ。誤解で攻撃してしまうことを恐れているなんて律儀な魔王だ。
『そうか。お前は余の邪魔をするのだな。なら排除するしかない。』
待て。僕は何も言ってないじゃないか。
そう心の中で弁解しようとしているととてつもない速さでそいつの手が自分に向かって飛んできた。
避けれるわけないだろ。
そう思いつつもさっきのミラって奴が言ってた魔法の話を思い出した。
やってみるか。
でもこれでもし発動しなかったら即死だな。
どんだけ終わりの早いゲームだよ。。
そう思いながら自分とその拳の間に岩の壁が地面から湧き上がってくるのを想像した。
少しずつ出てくるのじゃなく一瞬で。
イメージを完成させてから『でろ!岩の壁!』と叫んでみた。
なんとこれが出てきてしまった。
それにしても岩の壁。
もう少しマシなセリフを言いたかったもんだ。
『お前。そんな巨大なものを生成するだけの魔力があったのか。まあそれ一つで魔力はほとんど使っただろうし、もう大したものは出せないだろう。』
そう言ってそのまま岩の壁に拳をぶつけた。ヒビが入った。
もう一度衝撃が加われば崩れる。
本能がそう感じとった。
こんな魔王にもどこかに弱点があるはず。
というか自分の想像で魔法が出せるなら何も考えなくていいじゃないか。
僕はその巨体に360°全ての角度から巨体を貫き通すほどの威力の光線を降らせるようなイメージをした。
そして
『フラッシュラインレイン!』
今度は少しだけゲームに出てきそうな名前でその魔法を発動させた。
するとあの巨体があっけなく消え去った。
これが僕のこの世界での初陣だ。
のんびり書いてます。気が向けば更新します。気長にお待ちくださいまし。