ネコミミだけじゃなくてエルフさんにも出会いました。
ネコミミだけじゃなくてエルフさんにも出会いました。
さすがファンタジー。ハラショー。
こういうの期待して期待してたんですよ。顔に傷があるおっさんとか、村長の奥さんとかじゃない。
若くてピチピチぷりぷりした美女(美少女?)ですよ。最高だよ。異世界きてよかった。ありがとうファンタジー。
◇
プリシラと図らずも仲良くなり。村を案内するって話をしてたらお返しに先に旅芸人一座のテントを紹介してもらう事になった。
どうせ座長さんに魔物使いについて師事してもらおうと思ってたので、これはすごく良い切欠だと思う。
ちょうど村の入り口から数分の所にテントを張って、逗留しているそうだ。
馬車が2台に一座の人たちがテントを張って各々過ごしている。
「あー! シーラどこに行ってたの? 今日の料理当番あんたでしょ! あれ、その人は?」
「ごめんなさいシャルちゃん。ちょっとお散歩してたら気がついたら時間が結構経ってて……」
「もう! どうせまた、その辺で居眠りでもしてたんでしょ! で、その人は何? 村の人?」
テント前でシーラを待ってたであろう女の子の視線が此方を向く。
たぶん、この子も踊り子だ。だって、すごく、スタイルが良いし、綺麗だ。プリシラもスタイル悪くないと思うけど、このはなんて云うか……エロイ。
ちょっとキツめの顔立ちしてるけど、流し目とか向けられるとドキドキしてしまいそうだ。
「あ、この人はそこの森であった、マサトさん。お友達にね、なったんだよ!」
そう云ってプリシラが紹介してくれる。
友達部分を強調して、凄く嬉しそうにしてるところが嬉しいんだけど、素直に喜べない。
魔物使いとして仲良くなろうとしたなんて、云えない。絶対に。
「あ、どうも。マサトです。そこのマルガの村で世話になってるものなんだけど……その、よろしく?」
「なんで疑問系? まあいいわ。私はシャルロッタよ。フォーセル一座で踊り子をやってるわ。よろしくね」
やはり踊り子のようだ。しかし凄く胡散臭そうにジーッと見られている。俺は何かしただろうか? ここは誤っておくか?
「どうせ、シーラが可愛かったから声かけたんでしょ。あーはいはい、残念だけど、シーラには男がいるわよ。色目使おうと思っても意味ないんだから。はい、お帰りはアチラでーす」
む。なんかこう、歓迎されてないっぽいな。しかし初対面でこの対応はちょっと酷いんじゃないだろうか。
別にプリシラに男がいるとか、そんなの全然、俺には関係ないし。……関係ないし。
「な! ちょ、ちょっとシャルちゃん。嘘云わないで! いない! いないですよ! ホントに男とかそういうのいないですから!」
「えー、この前の興行中にも熱烈にアタックされてたじゃん。なんか街出るときとか、すごい見送りだったし」
そうか、まあ……そうだよな。プリシラってすごい可愛いもんな。まあ普通に考えてこんないい娘がフリーなわけないよな。
こんなところくらいファンタジーであってもいいじゃないかと思う。現実はなんて残酷なんだ。
まあ、どちらにせよ俺みたいなヤツにチャンスがあるとか思うほうがどうかしてるんだろうし……。
あー、なんかそう考えると急に醒めてくるな……さっさと魔物使いの話聞いて村に帰ろうかな……。
「違う! 違うよ! アレは、その、そういう話されたけど断ったもん。わたし、そういうのはまだ早いって云うか……。い、今は一人前の踊り子になって、シャルちゃんとリズさんに認められる方が大事だもん!!」
「本当かなぁ……。じゃあ、この連れて来た男は何なのかなぁ……さっきから、やたらと焦ってるけどなぁ……」
「こ、この人はお友達! そうこの村にいる間だけのお友達なの!! ですよね! マサトさん!」
「え、ああ。そうね、お友達ってヤツじゃないかな? それより魔物使いについて教えてもらいに来たんだけど……」
お友達ですよお友達。なんかもう本当にどうでもよくなってきたな、コレ。
はぁ……なんか俺、ちょっと期待してたんだけどなぁ……。
「もう! マサトさんも適当に流さないで下さいよ! わたし本当にそういうのじゃないですよ、信じてください」
人間不思議なもので、一度醒めると冷静になるものである。うんまあ、嘘は云ってないんだろうな。
可愛い可愛い可愛い!! って思ってたけどよく考えたら俺より一回り年齢下なんじゃないだろうか。
あー、なんかそう考えると可愛さが気になるクラスメイトから親戚の姪っ子にクラスチェンジした気がする。
「大丈夫。ちゃんと信じてるよ。プリシラは素直でいい子だもんな。うん、いい子いい子」
そういって、頭に手を置く。頭のさわり心地は相変わらず最高なんだけどな。
「ううぅ……なんで急にそんな生温かい目になるんですか! 絶対誤解してる……。もう! シャルちゃんのせいだからね!」
「えー、あたしはホントの事云っただけなんだけどなー。このお兄さんが勝手にショック受けたんじゃん」
ショックナンカウケテマセンケドー。
「もう! マサトさん、いつまでも頭を撫でないで下さい! うぅ……」
「で、お主達はいつまでそこでギャーギャー騒いでるのじゃ? シャルもシーラも用を言伝てあったはずじゃが……」
ああ、ファンタジーありがとうございます。俺はその姿を見たとき、この世界の神に感謝した。
もう、なんかどうでもいいな……って思ってたところで、話に割って入ってきた人物――そう、彼女はエルフでした。
数々の妄想や、作品の中で語られるエルフと寸分違わない……いやむしろ、己の眼で見ている分さらに神々しいと表すべきか。
さらっさらの薄い金髪のストレート。本当に精緻な人形と思わせるような顔立ち。そして何よりの木の葉形の耳。ハムハムしてぇ……。
正に理想のエルフがそこにはいた。
「あ、リズさん。すいません……その……」
「あたしはもう仕事終わってますんでー。これからいつものように練習するところでーす」
うん、こういう場面って性格出るな。プリシラはたぶん、森で寝てたこともあって、用事とか絶対忘れてたんだろうな……。
そうすると半分は俺のせいって事になるのか、この場合?
「すいません。俺がプリシラに無理云って連れ回してしまいまして……。俺、マサトって云ってこの近くの村に住んでまして」
「お主はマルガ村の者か……何か特別な用事かの?」
「ええ、実は……」
俺は魔物使いについて知りたいという事。それについて座長さんに話を聞いてもらった事をかいつまんで説明する。
プリシラとどこで出会ったのか、という事も聞かれたのだが、そこは上手く誤魔化せたと思う……たぶん。
「……なるほどのう。それでプリシラはこの男に惚れた……と、云う事かの」
「ち、違います! マサトさんとはお友達になったんです!」
あー、なんかこの一座でのプリシラの立場が分かってきた気がする。
みんなから文字通り、可愛がられてるんだろう。じゃれてるんだけど、本人だけすぐに鵜呑みにするから、みんなさらに面白がる……的なヤツだな。
「あの、それで魔物使いに関しては……」
「ん。用件は理解した。じゃが、魔物使いについては、エドが戻ってきたら直接教えて貰ったほうがいいと思うぞ。うちには魔物使いが2人おるが、もう一人は、その、なんじゃ、あまり喋らぬし……なにより人間が嫌いじゃからのう……」
どうやら、もう一人の魔物使いの人は性格に難ありってことらしい。
まあ俺も、わざわざ嫌われそうな人に物事を頼む気はない。何事にもだけど、いらぬ気は使いたくないものだ。
「そうですか、じゃあ日を改めたほうがいいですね」
「そうじゃの。わざわざ足を運ばせたのにすまんの。まあ、ほれ。シーラに会いに来る良い口実になるじゃろうから、また会いに来てやっておくれ」
「もう! リズさん! マサトさん、気にせずにいつでも会いに来て下さいね。わたし待ってますから」
たぶん、プリシラはこういうこと云うから、からかわれたり、いらぬ気をみんなに持たせるんだろうな……。
そんな事を考えながら、とりあえずその日は村に帰ったのだった。
なんか、あんまり実りのない一日だったような気もするけど。明日こそは、魔物使い情報が手に入るといいな!