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気がつけば、そこは異世界でした。

――気がつけば、そこは異世界でした。

何を言っているのか、わからないと思うけども。


朝起きたら、見たことも無い場所にいた。


そりゃね、いくらなんでも朝起きたら、草原に一人寝転がってるとかね。

現代の日本に住んでりゃ、いくらなんでもこんな事ありえない、って事くらいわかるよね。


「いや、ないわ……」


起き抜けの動かない頭で、ボーっと考えるにこれはなんだろう。

新手のドッキリか…いやでも一般市民の俺がこんなドッキリを仕掛けられるなんてまず無いだろう。

じゃあ、なにか、最近流行り(主に自分界隈で)の異世界トリップってやつ?


でも俺、昨日の夜に寝た格好のままだから、パンツとシャツだけなんですけど。

朝露と草?が肌に当たって、ちょっとだけ気持ちいいんですけど。


いやいやいや、異世界トリップとか最高だけどもこれはちょっと。


むしろ、他の要因を考えようかと思ってたけどなんかこう、どうすれば良いんだろう。



「……す、ステータスおーぷん?」



周囲をキョロキョロと見回したのち、そうつぶやいてみる。


……特に、変化なし。次、虚空に画面を開く感じで手を振ってみる。


……やっぱりなにも、変化なし。


ですよねー、わかってた分かってたけどもさ。

なんかこう、やってみないとさ。もしかしたらこのありえない状況で活路的なものが開くかもしれないじゃない。


まあ、そんなこと無かったんですけどもね。


正直、誰も見てないと思うけど実際やると結構恥ずかしい。

今、パンツ一丁だし。



「これ、ホントどうしたらいいんだろう」



独り言を呟きながら、立ち上がる。

正直、夢とかもう一回眠れば、自分の家のベッドに戻ってないかなーとか思うけど。

なんて云うんだろう、このヤベェ!!って云う心臓バクバク感?が夢じゃないって告げてるのね。


そんで、それを補うようにテンションが上がっていくっていうね。


異世界トリップか。


と、とりあえず情報(妄想?)を確かなものにしようと思う。


うん、特に何も無いけど、あの向こう側に見える森?のところまで行ってみようか。

森っていうよりは、いかにも森がはじまりますよーって感じのところだけど。


よし、素足ってのがすげぇテンション下がるけど仕方ない。

このままこの場所にいても特に変化なさそうだし、行ってみるか。



そう思い、歩く事数十分。

うあぁ、明日がドロドロなんですけど。これはちょっとへこむわ……。


足がドロドロのパンツ一丁のおっさん。

いや、まだまだ俺はおっさんじゃない……はず。切り捨てればまだ20代だし。


最近ちょっと、ほんのちょっと運動しないと不味いかなぁ……とか思ってたけど。


まあ、そんなことはおいて置いて。



森です。

木が生えてます。苔生してます。これは針葉樹林ってやつかな?

でかい木がいきなり生えてるって事は、ある程度整備されてる森なんだろうか?


確か森って、人の手が入るかなんかしてないともっとこう、雑然としてて人が歩いて入っていける感じじゃないんだったような……。


うん?でもこれ異世界?ファンタジーなら何でもアリ?

精霊とか魔法の力で~云々的な?


正直、ここからじゃ分からん。もう少し奥に入ってみるか?

でもこの森の中にこのままの姿で入るって、普通に危ない、よね。


現代とかでも一人でなんの知識も無い人が森の中に入るとか遭難してくださいっていってるようなもんだって話しだし。

あ、でも現状がもう遭難してるようなもんなのか?あれ?



さてどうしたものか、と思ってた時でした。

キタキタキター、異世界ファンタジー確定情報きちゃったよ。


木の脇から、一匹のウサギが飛び出てきました。

ですが、なんということでしょう。

そのウサギ、どう見ても額から角が生えてます。そりゃもうニョッキリと。


すげぇ、ファンタジーだ。モフモフだけどニョッキリだ……。


鼻をスンスンとなにかを嗅いでますこのウサギ。

うわ、なんか可愛いんですけど。


雄々しくちょっぴりグロテスクな角を除けば、いやそれあっても全然オッケー的な?


さ、さわって見るか?モフモフするか?

どこぞの北極ウサギよろしく、触ろうとしたらコレジャナイってなったりしないよな。

もう角生えてる時点でコレジャナイ感あるけども。


よし、と意を決して近づきウサギに近づき手を触れる。

ウサギは此方を見上げてプルプルと身震いこそしたものの逃げ出す様子はない。


角の周りを撫でるように触るとくすぐったそうにするウサギ。

これはいけない。


このモフモフはクセになるわ。もって帰りたいくらいだ。

いや、もって帰るか。今のところ帰るところないけども。


ひとりセルフ突っ込みをしつつ、抵抗の意思を示さないのでウサギを抱えて持ち上げる。

普通のウサギより一回り大きいか、な。

うん、よくよく考えるとこの角、すごいわ。

勢いつけてぶつかって来ると、怪我するんじゃないかな?


まあでも、特に敵対?的な感じでもないし。大丈夫だろうと思うことにする。

それよりも、このすごい意味不明な状況&ボッチ感の中にもたらされた清涼剤とも云うべきモフモフ。


ひとはこれを“癒し”と呼ぶんだろうな。癒される。モフモフ。嗚呼、モフモフ。


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