第五話 竜と、友達。
遅くなって、すみません!! 長めになってます。ちょっと読むのがしんどいかもしれません……。
最近、前に見た「ラズリー」との夢と、「息子を助けて」の夢がつながって見るようになった…。そして、今日も見ている…。
『ねえ、おれたち、ずっとこうやって遊ぶのかな?』
後半だな…。ここで笑いあって終わり、急に息子助けての場面に変わる…。
『なあに、言ってるんだ!そうに決まっている。』
『うん、そうだよな。』
『だな!』
目が覚めた。ぼんやりとした俺の部屋…。そこに人が立っていた。
「……ラズ?」
「だーれーと、間違えてんのよ?」
はっ!この声は!いっ今、何時だ!!?
「もう、七時半よ…、早くしなさい、さもなくば…」
「!!はっ早く、ご飯作りますんで!」
「早くしなさい。一分以内に…。」
「それは、ちょっと…、」
「いーち、にーい、さーん!」
「なあっ!?ちょっとまってえぇ!!」
俺は、一分二十秒で朝ごはんの支度を終えた。これ、世界記録だな…。多分。だけど、二十秒も遅れたからか、瑞希に睨みつけられた…。痛いよ…、怖いし…。
「それで、何の夢見てたの?」
「えっ?それは、ちょっと…言えない。」
「……プチン。」
いっ、今、何か恐ろしい音が聞こえたような…。おっ、俺が、何したって言うんだ!
「さああ!白状しなさいっ!」
「いいっや、たっただの、昔のっ夢だよ!男の子と遊んでる夢だよっ!!」
はっ、白状してしまった!あまりの怖さに……。瑞希って、近所のおじさんよりコエーよな…。最近、そのおじさんに怒られても、全然怖くないからな…。瑞希が、トラウマになりつつある…。そういや、何で、息子助けての場面がなかったのだろう?…不思議だ……いやいやいやっ!そこじゃないだろ!不思議何は…毎日、同じ夢を見る…。いやっ、こんなの漫画とかの中だけだってば!さすがに、ないだろーよ…。まあ、実際起きてるけど…。
「へえ。そんな夢をねー…。面白い収穫だわ…。皆に言いふらすわっ。」
「言いふらすような夢じゃないだろ…これ。」
「………それも、そうね。」
そう言って、瑞希はさっさと学校に行ってしまった。瑞希も、案外バカだな…。言いふらしてやろう!皆に………って、言いふらす相手がいないや…。あの二人にも、瑞希のこと言ってないしな…そういや。
「……俺も、早く行こっと…。」
さっと朝食をとって、家を出た。時刻は、八時。学校までの距離が近いほうだから助かったな…。
「おーっす!泉っ!」
「和輝、おはよう。」
「元気ないな?どうした?」
「ん?いやっ、寝不足なだけだよ。」
「そうか。」
今日は、遅く出たので和輝と偶然出会った。和輝は、いつもこの時間だ。前のように旧校舎の約束をしていなければ、遅いのだ。会話が終わりしばらくすると、和輝は思い出したように「そういや。」と言った。
「最近、毎朝、校門前に人が立っているよな。誰かを待っているみたいに。」
「校門前?…ああ、あの人。ちょっと、怖いから避けてるけど…。」
「お前もか!?だよなー、変な格好だし…。」
「変?どんな格好なんだ?」
「見てないのか?」
「見てないけど…。」
「ーん。説明しにくいなー。…まあ、見ればわかるさ。」
そういうと、和輝は前に指を指した。
「なっ!?」
勘違いをしていた。校門前と言うから、最近、校門前を散歩するようになった近所のおじさんかと思った。実際、いたし何かこっち睨みつけられるから、避けてたんだけど…おじさんじゃないとは…。えっ?じゃあ、誰かって?…和輝が指を指したのは、年下に見える女の子…確かに変な格好だ……はたから見れば…。
「あっ!勇者様ーーー!!」
こっちにブンブン、手を振っている。……そう、俺を見て、勇者様と呼ぶのはあいつしかいない……フェルだ…。よく考えてみれば、こっちに来れなくもない。あのペンダントがあれば…。
「ん?勇者様?中二か、あの人。」
中二ねえ。確かに…。…よし、迂回をして行こう。裏門から行こう。そうしよう。
「和輝。」
「ん?なんだ?」
「裏門から行こう。あまり、係わりたくない。面倒事はごめんだ。」
「…泉らしいや。OK!そうしよう。」
「よし。行くぞ。」
俺達は、迂回して裏門に着いた。途中までフェルが着いてきたが、迷子になったのか着いてこなくなった。
「何で、あいつ来てんだ?」
「何か、言ったか?」
「いや、何も。行こう、遅れる。」
「そうだな。」
それから何事もなかった。昼休みまでは……。
《えーーっ、野ノ原泉君。野ノ原泉君。至急、職員室まで来てください。あなたの知り合い?が来ています。》
…校内放送か。これで呼ばれるの、初めてだなあ…。
「おいっ、呼ばれてんぞ。泉。」
「んじゃあ、行ってくるわ。」
「早く帰って来いよ!」
「……了解。」
----------------------------------------
放課後…。
「んで、何でいんだよ!お前…!」
「それは、勇者様に会いに!」
「嘘を、つくな。」
「えっ?…ばれてしまいましたか…。」
「バレバレだ。で、本当の理由は?」
「はいっ。実は、アルビア王国で大変なことが起こっています。それで、勇者様を呼びに。」
「わざわざこっちまで来なくても、最初の時の様に呼べばいいんじゃないか?」
「それは、本人の意思、関係なく召喚されてしまいますので…あの、勇者様にもご都合があるんじゃないかと…。」
「なるほどね…。わかった。」
「ではっ!」
「やだね…。」
「はっ?」
「面倒事はごめんだ…。」
「そんな…」
フェルは、今にも泣きそうな顔をしていた…。
「……だが、話だけでも聞こう。それで、気が変わるかも……。」
「あっありがとうございますっ!」
たちまち、明るい顔になった。表情豊かだ…本当に…怖いぐらいに……。
「それで、アルビアは大変なのか?」
「はいっ!大変です!……数日前から、魔王が行方不明だったのは知っていますよね?」
「あ、ああ。」
たしか、何日か瑞希が帰って来なかったな……。
「その魔王が、先日、私の国で捕まりました。」
「なっ…にっ…!?」
「門番の話によると、怪しい人物がいたので捕らえたら、魔王だったと言っていました…。」
「それで?」
「牢に入れたのですが…、昨夜いなくなってしまって…。」
「へえ。そうなんだ。」
「そして、今日の朝に、魔王が放ったとされるドラゴンが現れまして、今、アルビアの町を壊しています…。」
……災難続きだな…。それで…、
「俺に何が言いたい?」
予想はしている。大体、合ってるはずだ…。合ってほしくないけど……。
「ドラゴンを、倒すか町から追い出してください!」
だよねー。ですよねーー。合ってましたねーーー。予想…。…ドラゴンを倒す(追い出す)となると、大分大変…。ってか、命を賭けることになるよね。俺に、できっかな……。
俺が悩んでいると、フェルがこう言って来た。
「大丈夫ですっ!勇者様なら!」
「その自信、どこから湧いて来るんだ…。まあ、いいけど……行ってみるだけ行ってみよっか!」
「そう、こなくっちゃです!」
俺、結構軽い気持ちだったのかも…。この惨状を見なければ…。死者、重傷者は、幸い出てないらしい…。皆、速やかに非難したらしい…。前にも、こんなことがあったみたいに…。
勢いよく、燃える家や木。とてつもなく赤く時に青く、燃えていた。ドラゴンの体の色は、青。深い海を思わせるような青。そんな綺麗な体の色に対して、瞳はもえる炎の色だった。だが、その目はどこか遠くを見ていて、悲しい目をしていた…。
「もう、こんなに!?…勇者様、もう倒しちゃってください!!」
倒す=殺すということだ。だが、俺は追い出すことにした。
「何でですか?このまま、追い出すとしてまた来る可能性があるのですよ!?今、倒したほうがいいです!!」
「……。なんだかなあ…。このドラゴンに、親近感、湧いてきちゃった。」
「…親近感…ですか?」
「そうなんだよ。会ったのが、初めてじゃないような気がするんだよなあ…。」
「…そう、仰るのなら、勇者様の好きにしてください!」
「ありがとう…。フェル。」
「頑張ってください!ファイトです!!」
「了解!!」
俺は、走り出した。ドラゴンは、こっちを見ていない。俺は、このまま突っ込む!じゃなく、城門を背に、ドラゴンに攻撃をする。最近、こっちで覚えた中距離攻撃で。剣の斬激に、炎を乗せて放つ。という技だ。
「はああぁぁ!!!」
名前を、付けてないので叫ぶだけになってしまったが…、攻撃は見事に命中。ドラゴンはこちらを向き、咆哮をあげた。まるで、〇ンハンの火竜みたいだ…色は、違うけど…。
「こっちだ!!!来いっ!!」
ドラゴンは、こっちに向かって走り出した。もんの凄い、迫力!ってか、あのドラゴン時速三十キロは出してるよな…完璧に…。
「って!!追いつかれるじゃん!!!」
「グォギァァァォォォォォォォォォ!!!!!!」
「返事するみたいに鳴くなよ!!」
ドラゴンに、謎のツッコミを入れながら全速力で走る。門まで後、十メートル、五、四、三、二、一!!
「到ちゃーく!!」
俺は、ドラゴンが門から出たのを確認すると、振り返ってドラゴンの前に立つ。そして何故か、ドラゴンも止まる。
「おいっ!お前!!ここから、去れ!!皆が、困ってんだ!!」
「ギァァァァオォォォォォォ!!!」
「……話、聞かないんてんな[待って!]…ら…。」
「?」
急に、何処からか声がした…。誰だろうか。こんなときに!
「誰だ?」
『ひどいじゃない。友達の母親の顔も忘れるなんて…。ここは、私に任せてね。泉君。』
ほんわかと、見える見えない程度の女の人が出てきた。こんな真昼間から、幽霊なんて…。
「あんたは!!………誰だ?」
『ん!?思い出したような振りしないでよ!!夢に出てきたでしょ!ラズの、母親なの!!』
「ああ!やっぱり!」
『……泉君、見ない間にずいぶんと性格変わったのね…。」
幽霊みたいだったのに、実体化してきた…。
「そりゃあ、高校生ですから…。幼い時とは違うに決まってるじゃないですか!…それよりも前のドラゴンでしょ!」
「…そうね。泉君は、下がっていて。大丈夫だから…。」
「わかった。」
何処から自信が湧いてくるんだ…。皆がみんな…。
「久しぶりね…、元気だった?」
「!?グァァオォォ!?」
ドラゴンに、話しかけてる。ありえねえ…。まっ、俺もそうだったけど…。それにしても…、
「知り合いか?」
「うん?知り合いよ。とっても親しい子よ…。」
「へえ。」
「おかしいわ…、気づかないの?あなたも知ってるはずよ。」
可笑しいのは、あんただ!!俺は、異世界人!!ドラゴンになんて、会ったことありません!!
「はあ?ドラゴンに知り合いなんていませんし!!…でも、ちょっと親近感はあるけど…。」
「……思い出せないのね。教えてあげるわ。」
「うん!よろしく。わかりやすく言って!」
なるべく、短く、適当に…言って!
「この子は、私の息子。そしてあなたの友達の、ラズリーよ。」
「はああぁぁぁ!!??」
なるべく、わかりやすくって言ったのにーーーー!!!!
次話も、よろしくお願いします。
あと、誤字などがありましたら知らせてください。修正します。