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第三話 竜の、翼。

 俺は今、アルビア城の謁見の間に来ていた。目の前に、明らかに王様ですっていう服を着ている男性がいた。見た目的に、歳が四十前半ぐらいだ。



「君が、勇者?」

「ええ、そうですけど…。」



 話しかけてきたのは、王様の隣にいた女の人だった。



「へえ、そうには見えないわ。もっと、強そうな人かと思ったわ。」

「…ははっ。」



 俺だって、なりたくて勇者になったんじゃないわっ!と言いたくなった。



「姉さまっ、この人は勇者ですっ!間違いありません!!」

「あなたが、そこまで人にいれ込んでいるなんて……ねえ。」

「へっ?」

「今までは、見向きもしなかったのに。」

「ナトリー姉さん、からかうのは、そこまで。フェル姉さんが、かわいそうだよ。」

「はいはい、続きは後にしましょうか。」



 フェルには、姉弟がいるといっていた。第一王女、ナトリーナ・アルビア、二十一歳。第二王女、フェルノーラ・アルビア、十七歳。第一王子、エルスーラ・アルビア、十五歳。という感じである。ちなみに年齢は、フェルが教えてくれた。



「では、泉。前へ。」

「はい。」



 うわあ、いよいよそれらしくなっきたな。



「勇者、泉よ。そなたに、この剣を授けよう。この、竜帝剣ラピス・ラズリを。」

「ラピス・ラズリ……。」

「あなたの、髪の色と同じね。まるで、このために生まれてきたみたい。」

「ナトリー姉さんっ!」

「ふふふふっ。ごめんなさい。」



 ナトリーは、反省の色を見せなかった。けど、本当のことだ。現に俺の髪は、瑠璃色。この剣の名前は、ラピス・ラズリ、日本語にすると、「瑠璃」。つまり、こうなる運命だったのだろうか…、



「いっつ!」



 一瞬、右の手首に激痛が走った。治まった後、見てみると手首に模様が入っていた。よく見ると、入れ墨だ。



「それは、剣に主と認められた証拠だ。」

「…?認められた?」



 そう聞くと、王は説明をしてくれた。



「この世界の、一部の武器には、動物の力が封じ込められている。今渡した剣は、名の通り、竜の力がある。そして、剣に認められた人間は、剣を伝い封じ込められている力を使うことができる。力といっても、能力だ。例えば、鳥の力がある剣の主は、風をおこしたり、空を飛べる。といったようにだ。」

「なるほど。」

「まあ、そこまでには、時間がかかるが。とりあえず、剣をしまえ。」

「あの、鞘がないのですが・・・。」

「勇者様、剣は自分の体にしまうのですよ。」

「えっ?」



 体にしまうというのは、どういうことだ?頭、可笑しくなったんじゃないか…フェル。



「体にしまうと言っても、その紋章にですよ。」

「紋章?この入れ墨みたいなやつか?」

「はいっ。説明するのは難しいのですが、リターンと命令すれば、しまえます。」



 説明できてんじゃねーか!それに命令の仕方が、ゲームの召喚獣を戻すときみたいだな。…命令するとき、口頭で言うのかな…。はずいな…まあ、いっか。



「リ、リターン。」



 その瞬間、剣が柔らかい光を放ち、消えた。



「き、消えた!?」

「ちゃんとできるじゃないですか!勇者様!」



 うおぉぉぉぉぉ!できたぁぁぁぁ!すごいな、これ。さすが、異世界!ファンタジー!って、あれっ?……、出すとき、どうするんだろう?



「あのー、出すときは?剣を、出すときはどうするんですか?」

「テイクと、言うといいですよ。」



 英語かよ!そういや、さっきも英語だったな。どうしてだ?…そんなこんなで、アルビア城を後にして、俺達は市場を歩いていた。



「あっ、勇者様。服を、渡しておきます。」

「服?」

「はいっ、こっちに来るときにはこれを着て、来てください。」

「えっ、わかった。」



 うーん。ちょっと、中二っぽい服だけどいっか。この服じゃ目立つし。いやっ、逆か…。そのとき、鐘が鳴った。六時の合図だった。周りはもう、店も閉じかけている。帰らなきゃ。そう思った。



「わりい、もう帰るわ。」

「えっ?もうですか?」

「ああ、もう六時だしな。」

「そうですか。残念です…。」



 フェルは、しょんぼりとした顔になった。俺は、あわてた。



「いやあな、明日も会えるじゃねえか。なっ?」

「そうですねっ!」



 ぱあっと、明るい顔になった。喜怒哀楽が激しいな。かわいいけど……。



「明日も同じ時間だから…。」

「そうですか…あっ!そうだ!」

「ん?」

「明日、早朝に来てくれませんか?この時間なら、空いてますよね?」

「えっ?うん。」

「なら、ぴったりです。エルの、稽古の相手をしてあげてください!」

「ええっ!?そんな、急に。」

「私や、姉さまが相手じゃ、務まらないので…。」



 いやいやいやっ!まてっ!俺、剣なんて無理だぞ!扱ったことなんてないからっ!…いや、あるか。小さい頃に……って、あれ玩具だったじゃん!



「勇者様、してくれますよねっ?」



俺は、しばらく考えてから…、



「いや、無理。」



 きっぱりと、断った。すると、フェルは、



「なんでですかっ!?勇者様!?」



っと、言ってきたが、俺は、



「じゃあ、明日の…、」

「やっぱり、してくれるのですねっ!」

「四時に、城門前でっ!」

「えっ?」



 俺は、逃げるように転移した。俺の故郷、地球へと。すると、俺の周りがやさしい、水色の光が出た。



「えぇぇっ!?」


 驚いているフェルを、無視する振りをしている俺である。だんだん視界が、白くなっていく。



「勇者様ーーー!!ちょっと、待ってくださいよ!」



 フェルには、ちょっとかわいそうなことをした。ごめんよ。仕方がないんだ。そして、視界全体が白くなり、俺は目を閉じた。




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「魔王陛下、リリからの報告です。」

「なんと?」

「アルビアに、勇者はいないと…。」

「なにっ!?じゃあ、前の報告は嘘だと言うのか?」

「いえっ、アルビア周辺の人間達が、噂を聞いたものがいたとか…。」

「もういい、下がれ。」

「はい。」



 瑞希は、ため息をついた。なぜ?と頭を抱え、考えていた。召喚したのなら、この世界にずっと居るだろうに、と。



「なあ、ジェリス。どう思う?」

「そうですね……。」



 この執事みたいな、悪魔は「ジェリス」というらしい。いや、女の人だからメイドかな……。前魔王から、使えているらしい。



「魔王様と同じように、異世界へと帰られたのでは?」

「…そうか、なるほど。さすが頭がいいな、ジェリスは。」

「褒めていただけるとは、嬉しい限りです。」

「それじゃあ、今日はもうこの世界には、来ないだろう。」

「ええ、そうですね。」

「じゃあ私も、帰ります。」



 瑞希は、勇者も帰ったし、自分も帰ろうかな。と思ったらしい。だが、ジェリスはそうもいかないらしい…。



「いえ、魔王様には、いろいろ雑務が残っております。終わるまで、返させませんよ!」

「えっ?いや…いやよ。帰るの!親子丼が待ってるの~~~~!!!!」



 兄より親子丼。な、瑞希である…。



「いいえ、返させません!!!はあ、魔王様がこんなのでは、民達の不安が増すばかりです!!ですから、魔王様!しっかりなさって、雑務をこなしてください!!」

「いやって言ったら、いやあああああああああああああああーーーーーー!!!!!!」



 この日、魔王城全体に、悲鳴が響きあったという。ふう、やれやれ、魔王陛下も子供だねえ。やっぱり。




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 目を開けたとき、俺は自分の部屋にいた。ふと、右の手首を見る。



「そっか、夢じゃないんだ…そうだよな。」



 そこには、入れ墨と小さな瑠璃色の宝石があった。宝石は、最初見たときは無かったというのに…。



「とりあえず、リストバンドをしよう。」



 ばれたら、教師に怒られ、停学。それか、退学…。ダメだ、ダメだ!!ばれないようにしよう。そのためのリストバンドだ……。中学の時に買っといてよかった。もっとも、使っていないが。時計を見ると六時七分だった。ご飯を作らないと。怖い妹が帰ってくる…そういや、瑞希はいつから魔王になったのだろうか。



「っと、考えてる間に時間が過ぎちまうな。」



 俺は、一階へ降り台所へ行き、ご飯を作り始めた。俺は、こんな生活を始めてから、まともな食事とをしていない。夜は、味見だけで腹が膨れる。昼は、購買のパン。朝は、何度か妹と同じ料理を食べていたのだが、妹に「同じ物を、食べないでくれる?不味くなるわ。」と言われた。実の妹にだ。えっ?親はどうしたかって?そりゃあ、海外出張だよ。もちろん、二人ともだ。俺が中一のときに、海外へ。その時は、自由だーー!学校以外遊べる!と思ったが、仕送りは月七万。ちょっと余る程度?だと思う。ぜんぜん、遊べないじゃないか!と思った。おいおい、こんな話したら飯が不味くなるだろ。ってことで、ちょい味見。



「うん。美味い。我ながら上出来。」

「なーにが、上出来だって?」



 ひっ!この声は…。



「私が帰るまでには、出来上がっているのが、常識でしょう?」

「ええ、そのとうりで…。」



 おいっ!俺!何、敬語になってるんだよ!!相手は、子供だろ!ガツンと行けっ!ガツンと!



「早く、準備!十秒以内にっ!」

「はいっ!ただいまっ!」



 子供の前に、妹だよ。怖い、い・も・う・と!逆らうのは、利益にならん!落ち着け!アホな俺よ。



「できました!親子丼です。」



 十秒後、俺は言われた通りに、親子丼を用意した。それから、俺は逃げるように、



「ではっ、俺は、自分の部屋に行きますんで、何かあったら呼んでください!」

「ご苦労様。ありがとう。」



 相変わらず、心のこもっていない、返事だなあ。と思いながら、階段を上がった。



「リストバンドか……。」

「どうした?」

「いいえ、なんでもないわ。早く行きなさい。」



 瑞希が何か言ったのを、俺は聞き取れなかった。


 次の朝、俺は、朝食を作り、学校へ行った。いつも、一番乗りだ。まあ、しょうがないか。まだ、七時だし……。俺はいつも、学校に忍び込み、ガギを開け入る。教室に、じゃなく旧校舎に。ここは、俺の、秘密基地だ。多分…。まあ、何処かの幼馴染くんは知っているがな。いつもは、ここで和輝と、遊んでいる。あいつが来るのは、七時半だ。それまでに、しておきたい事がある。剣の練習だ。フェルに言われたから、とかじゃないが万が一のこともある。ってか、勇者なんだから、剣ぐらい扱えないと恥をかくことになる。テイクって言うの、やっぱ、はずいな。



「えっ?」



 突然、光り出し、剣が現れた。なんと!口で言わずとも、いけるのか!なんとありがたい!そのうち、無意識に出せたりするのだろうか?先が、楽しみである。



「えっと、確か王は、」



 宿っている…だっけか?動物の能力が、使えると言っていたな。えっと、竜は空飛べる、火を吐く、ぐらいかな…なんとさびしい…。



「まあ、いっか。」



 ずいぶん、楽観的な俺である。まずは、飛ぶことだな。うん、翼が生えるのかな?そういう、イメージは何度か、やった。もし俺に、翼が生えたら?見たいなっ。



「バサッ!」



 ん?今、バサッて言ったよな。ふと、近くの鏡見ると、翼が生えてた。うわおっ!面白い!……あれっ?付け根の辺りに何か……魔方陣である。なーる。これで!へーーー。ってか、翼、やっぱり悪魔寄りだな。竜の翼だもんな。仕方ない。とりあえずしまおう。…どうするんだろう?思考錯誤して、やっと、しまえた。今思えば、翼(竜の)って、ダサいよね?

人物紹介。

アルビア王国。王、アルマータ・アルビア。年齢:四十二歳。本当に、王様っていう格好をしている。無理やり、着せられたんだとか。式典の時や、緊張している時は、硬い。王様って感じ。だが、実は、とってもフレンドリー。すぐに仲良くなれる性格とか。

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