日常②
◎▲警察所にはたくさんの部署がある。常時10人以上の人がいる部署もあれば、2しか所属していないような小さなものまである。そんな小さな部署の小さすぎる部屋で男は煙草を吸いながら上司がやってくるのを今か今かと待っていた。男の周りには必要最低限のデスクと椅子とホワイトボードがあったがその大部分はふるい書類が入った段ボールの山だった。男は少々長い髪を丁寧にまとめてフレームの細い眼鏡をかけている。彼の名前は高城茂樹26歳独身。つい最近彼女ができて来週の非番の日にはデートの約束もしている。彼は彼女に誕生日にもらった腕時計を見てため息をつく。
彼が待っている上司はまじめな人でうわさによると今まで遅刻欠勤がなかったという。そんな上司が遅れてくるなんてことはあり得ない。2日も続けて。8月26日は休みを取っていたのでこれで3日間も来ていないことになる。すでに時計は10時半を回り外の日差しも強くなっていた。部屋には扇風機が回る音だけが聞こえ、デスクの上にある携帯電話はうんともすんとも言わない。しかし自分の机といい上司の机といいきれいすぎる。自分の机には灰皿と携帯電話、ペン立てに昨日の事件の書類くらいしかない。3日間も欠勤している上司の机には写真立てとペン立てくらいしかない。写真縦の中では今よりも6、7年若そうな自分の上司、谷中さんが写っていた。家族で有名なテーマパークに行ったのだろうか。有名なキャラクターと一緒に4歳くらいの女の子と母親らしき女性と一緒に笑っているほほえましい時を切り離しように。
ふと気づく写真立ての裏の板みたいなものがちゃんとしまっていない。谷中さんはいろんなことで几帳面な性格なのでこんなことをするはずがない。おかしい。その写真立てを手に取ると板はポロリと剥がれ落ちそれと同時にに金属でできた薄いものも一緒に落ちる。
チャリン…………
子気味のいい音がする。それはかぎだった。高城はそれを握りしめると迷わずに行動を開始した。
のはよかったのだが、上司の家を探すのに一苦労した。彼は極度の方向音痴でありまた、谷中さんの家にも行ったことがなかった。そんなわけで彼の家の近所に着くころには腕に3時を過ぎていた。それにしても今年は例年以上に暑い。家に帰ったらビールの一杯でもやりたいところだが、今は谷中さんが心配である。年に何度かくるハガキを手掛かりにようやく谷中さんの家にたどり着いた。インターホンを押すが返事はない。仕方がない。
「お邪魔しますよっと」
彼は手にした鍵で玄関の扉を開く。室内からはジトッととした熱気が流れ込んできた。彼は玄関で靴を脱ぎリビングを目指していく。そこには脱ぎっぱなしのパジャマや投げ捨てられたような新聞。飲みかけのコーヒー。そして………………
男が立っていた。
冷凍レモン初あとがきです。
ストーリーも少しずつですが進んできていますがここでこの話のこんなところがわかんねーとかなんでこーなんだよとか質問がありましたらかんそうならんにでもかいちゃってください。引き続き非日常をよろしくお願いします。
ちなみに次回作はこの非日常の世界で とある作品の2次創作をやりたいと思っています。