第一章 神の力
俺の名前はカイン。
覚えているのはそれだけ。
つまり記憶喪失ってやつだ。
自衛団に入れば何か分かると思ったが
やはりそう上手くいかず
二年の月日が流れた…
カイン「死ねっ!」
俺の鋸が肉を切り裂きズタズタにした。
カイン「今、八十だけどあと何匹だ?」
カイス「あと二十くらい…女が五。男が十五だね。」
カイン「相変わらずこういう事には適当なんだな。」
彼女は
カイス・ラギィオン。
俺の同期唯一の同期であり、俺の上司である。
べっぴんだがかなり強い。
男「お、おおお女だからってやるときゃやるんだぁぁぁ!」
カイスの後ろに男が鉄棒を持って襲いかかる。
男が鉄棒を振り下ろすとベキんと鈍い音を立てて折れる。
…無論鉄棒が。
カイス「あなたは神に殺されるのです!」
あのべっぴんさんは容赦ない。
人を真っ二つにする俺なんてまだ甘ちゃんくらい。
カイスは優しい言葉で言うと人を変形させる。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
人々は逃げ惑う。
罪も無いのに何故裁かれるのか。
カイス「あなた方の存在こそが次の世界を創る生け贄なんです。
だから死んでくれませんか?」
カイスの営業スマイル。
カイス「今日も私の勝ちね。」
カイン「神様にはどうせ勝てないよ〜だ」
俺は頬を膨らませた。
カイ「明日は久々に何もないぞ。」
カイン「珍しいな。何かあるのか?」
こいつは
カイ・ラギィオン
名前の通りカイスの夫。
それと俺とカイスの上司でもあり
自衛団最強のヘッドの一人。
カイ「明日は新入りの歓迎会だってよ。」
カイン「あるじゃん用事…」
カイス「どんな子が入るの?」
カイ「それがジョーカーの知り合いだとか」
カイン「ジョーカー出るの!?」
俺はテーブルから身を乗り出すほどワクワクした。
ジョーカー
自衛団のヘッドの中のヘッド。
まず俺は見たことがない。
カイはあった事があるらしいが
カイ曰く、変態。
カイに言われるなんて…どんな変態だろうか。
カイ「分からん」
カイン「なんだ…」
カイス「私とカイは出るけどどうする?」
カイン「じゃあ出ない。」
面倒だからだ。
カイ「そう言うと思った。」
カイス「ゆっくり寝てなさい。」
カイン「じゃあお言葉に甘えさせてもらうわ。」
俺はカイとカイスに軽く手を振り部屋に入った。
近いような遠いようなそんな曖昧な時間の夢
優しい顔が映る。
暖かく、親しみやすい、自分が一番しっくりくるような
タイプの女。
隣に居るのは…
分からん…思い出せん…
ただ覚えているのはあいつが
世界最強。
多分今も間違いはない。
男「やったな…」
女「えぇ…少し疲れたわ。休ませて。」
男「こいつの名も…」
女「言わないで。私たちの…………」
聞こえない…もう少しで…分かるのに。
女「絶対その日は来る。だけど今は少し休ませてほしいの。
ごめんなさい…カイン。」
仕組まれたかの用に俺はそこで目が覚めた。
誰も居ないようだ。
多分もう歓迎会に行ったのだろう。
俺はもう一眠りする事にした。