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第五話:封印戦 超インフレ麻雀

白虎流派の道場では、親善試合の最終日を迎えていた。一馬たち黒脛巾組は、既に安芸を発って伊賀に向かっていた。そのことは、既に雀悟にも伝えられていた。


八刀斎「それでは、これより『封印戦』をとり行う。白虎流派は、私が参加する」道場内に緊張が走った。

「(え? 一人だけ?)」

「(蠣崎副師範は?)」潤之介は、目を(つむ)って下を見ていた。

「そして、青龍派の代表者は一名とする」道場内がざわついた。雀悟は、異議を唱えた。

雀悟「『封印戦』は、白虎流派、青龍派がそれぞれ二名ずつ参加の筈では?」

「状況が変わった。雀武帝親衛隊の乱入があった」八刀斎が皆の後ろを指さすと、輝雷美が立っていた。

「そういう訳で~っす。ヨロシクね~。揉め事があったら、喜んで仲裁するわよ」道場内がざわついた。

「(それは、御免ですな・・・)」参加者は綺麗に共感した。

疋田「じゃあ、俺たちはどうすんだよ?」

雀悟「仕方がない、俺が出よう」

「そういうと思ったよ。ちぇっ、出番なしか」

「もう一人の参加者は、誰ですか?」

「彼じゃ」八刀斎が指さすと、青龍派の背後に凶之介が立っていた。

「悪く思うなよ。参加させて貰うぜ」奇しくも、朱雀派を除く、四聖獣と雀武帝親衛隊が相まみえた。そして、それぞれの思惑は違っていた。

八刀斎「(非常時の作戦指揮権は確実に取る! そしてあわよくば人員配置権を手に入れ、ゆくゆくは他流派を吸収合併する足掛かりとする!)」

雀悟「(非常時の作戦指揮権を取る!)」

輝雷美「(全流派を吸収合併し、雀武帝親衛隊の勢力を拡大する!)」

凶之介「(流派の吸収合併は、俺には関係ねぇ。どいつが勝つのか、見極めてやる! 勝つ奴について行く! それだけだ!)」

八刀斎「勝者には、『非常時の作戦指揮権』が与えられる。それでは、ルールを説明する。なお、裏ルールは『流局時特別裏ルール』のみ適用するものとする」


【封印戦】王牌が13列2段26枚固定(槓の度に王牌を追加しない)であるが、ドラ用に左から五枚目をめくる。最大8回の槓に対応できる(4枚揃うと出来る槓が5回成立した場合、「東南西北」槓は3回まで)。

・四開槓でも、八開槓でも流局はない。

・和了時に、役満を超えるドラ数も手役構成の翻数も、全て累積加算され【武功】となる。

・放銃および、自摸による【武功】の減少はない。4達による【武功】の没収は例外。

・親の和了は、和了合計翻数が、1.5倍(切り上げ)になり、達成の倍率を同時に適用できる。


【風牌の扱い】

・1回目の「東南西北」槓で、三元牌のノミ和了禁止(封印)。達成+1回。【安和了封印】

・東南西北の四枚で暗槓と明槓が出来る。「東南西北」の槓成立で、自風牌扱いと出来る+1翻(親はW東、子はW南の扱いと出来る)。

『風牌のドラ増殖』

・ドラが風牌の場合、「自風牌扱い」と「ドラ扱い」を分けて加算してよい。

・「東南西北」槓が1回につき+4翻加算。現物を加えて+1翻。さらに、自風牌扱いで+1翻【合計6翻】。W扱いであれば、+7翻。

・同一人物による「東南西北」槓2回のとき+8翻加算。

〔ドラ表示牌が異なる場合〕現物を加えて+4翻。

〔ドラ表示牌が同じ場合〕現物は+2翻。

・同一人物による「東南西北」槓3回のとき+12翻加算。現物を加えて+9翻。なおかつ、小四喜の和了を選択できる。この場合、雀頭と他の面子が揃っていなくても和了出来る。


【三元牌の扱い】

・1回目の「白發中」(ポン)で、(W風牌を含む)風牌のノミ和了禁止(封印)。【安和了封印】

・白發中の三枚で刻子と出来るが、明刻が原則。(ポン)成立で、三元牌扱いと出来る+1翻。

『三元牌のドラ増殖』ドラが三元牌の場合、「白發中」(ポン)が増殖ドラの対象になる。

・「白發中」(ポン)が1回のとき+3翻加算。現物を加えて+1翻。

・同一人物による「白發中」(ポン)が2回のとき+6翻加算。

〔ドラ表示牌が異なる場合〕現物を加えて+4翻。

〔ドラ表示牌が同じ場合〕現物は+2翻。

・同一人物による「白發中」(ポン)が3回のとき+9翻加算。現物を加えて+9翻。なおかつ、大三元の和了を選択できる。


【達成とは?】風牌・三元牌の共通ルール

・「東南西北」槓(暗槓・明槓どちらも有効)や、「白發中」(ポン)が一回あるごとに、達成+1回。「白發中」を手の内に持っていても暗刻扱いにも、達成扱いにもならない。

『同一人物が両方同時に達成した場合(W達成)』東南西北・白發中の七枚だけで満貫扱い(+4翻)固定。以後、「東南西北」槓や「白發中」(ポン)があっても『W達成』止まりで加算されない。2達・3達・4達は追加加算される。

・達成2回・・・2回目の同一人物による「東南西北」槓及び「白發中」(ポン)は、和了翻数が1.5倍(親と同じ)。親の場合和了翻数が2倍となり、親の1.5倍も適用になる。

・達成3回・・・3回目の同一人物による「東南西北」槓及び「白發中」(ポン)は、和了翻数が2倍。親の場合和了翻数が3倍ととなり、親の1.5倍も適用になる。

・達成4回・・・4回目の同一人物による「東南西北」槓及び「白發中」(ポン)は、和了翻数が3倍。親の場合和了翻数が4倍ととなり、親の1.5倍も適用になる。4達の成立時点で強制和了となる。面子の構成により翻数を加算出来る。※4達の達成は対局者(協力者)の自殺行為なので、成立した場合は対局者全員の【武功】を没収とする。また、4達の成立と同時に、「大三元」か「四喜和」か「天上天下唯我独尊」が成立している事にもなる。


【裏ルール】(事前に相談の上、好みによって適用して良い)

※卓内の2回目の「東南西北」槓で、三元牌のノミ和了禁止解除。

※卓内の2回目の「白發中」(ポン)で、風牌のノミ和了禁止解除。

※卓内の「東南西北」槓と「白發中」(ポン)の成立で、ノミ和了禁止全解除。

※煩雑さを避けるため、字牌がドラの場合、現物加算を禁止する。

※※ 流局時の特別裏ルール・・・手牌の中のドラの枚数が一番多い一名だけ(同数の場合、上家取り)、全てのドラの翻数を【武功】に加算できる。親は2倍。


【特別役】 いずれも和了後に、手役加算、達成回数による加算、自風牌加算、三元牌加算、そしてドラの枚数を加算できる。

【天上天下唯我独尊】

・14翻固定(天上天下唯我独尊(+2)、字一色(+12))。和了時に「東南西北・白發中」の七種が各2枚あればよい。

【四喜和】

・3回目の「東南西北」槓が成立した場合は小四喜扱い(12翻)で、槓の成立時点で雀頭が揃っていなくても和了となる(本来4面子で構成されているものが、3面子の構成になっているため)。和了しない場合、雀頭とひと面子の完成により、大四喜(24翻)とできる。どちらの場合も、面子の構成により翻数を加算出来る。

【大三元】

・「白發中」(ポン)をした場合、手のうちに「白發中」が(合計三枚ずつ)あれば、他のひと面子と雀頭で大三元扱いとする。

・3回目の同一人物による「白發中」(ポン)は大三元扱いで、(ポン)の成立時点で雀頭と他の面子が揃っていなくても和了となる。「白發中」の形で(ポン)を三回していることが条件。面子の構成により翻数を加算出来る。


八刀斎「異存は、あるまいな。このルールの醍醐味は【達成】による『ドラの増殖』にある。下手な面前よりも合計翻数が多くなる。卓内で合計8回の槓に対応でき、同一人物による達成は4達まで可能だ! 面子が4つだからだ」

凶之介「えげつない、インフレ麻雀だな・・・」

「終わってみれば、【武功】が100翻を超えることも珍しくない」

雀悟「字牌で動くか、立直に賭けるか、体験してみないと判断が難しいな。半荘一回で、どれだけの数字が動くのか・・・」

輝雷美「面白そうね~。あたしは、いいわよ~」門弟たちは、応援者の背後で正座して、声を出すことも身動(みじろ)ぎをすることも禁止された。鎌田軟骨は、雀武帝親衛隊の背後に座っていたが、潤之介に蹴飛ばされ青龍派の背後に移動させられた。


萬子マンズ: 一二三四伍六七八九

筒子ピンズ: ①②③④⑤⑥⑦⑧⑨

索子ソーズ: 123456789

字牌じはい: 東南西北白發中


【1局目】東1局  ドラ:白

 親:八刀斎   南:輝雷美    西:雀悟    北:凶之介

八刀斎「手堅く、連荘と行きますか。自摸! 白虎!」

二伍伍伍⑤⑤⑤555 (ポン)白白白   自摸:二

〔三色同刻(2)、対々和(2)、三暗刻(2)、役牌(1)、白虎(4)、ドラ(3)、親(×1.5)〕【合計14翻×1.5=21翻】


【白虎】

 対々和の構成で、「伍5⑤白」が使われていなければいけない。構成が難しいので、白虎自体が4翻扱い。構成により三暗刻や四暗刻がつく場合がある。雀武帝が白虎流派を懐柔するために、雀武帝に十二の役に登録された役。役満扱いを主張したが却下された不遇の役。和了した者は、対局終了後に全ての流れが良い方向に向かうという。雀武帝特別ルール 十二の役の一つ。


凶之介「エグいな、おっさん!」

八刀斎「このルールは、奥義を尽くさなければ勝ち残れぬのだ」


【2局目】東1局1本場  ドラ:西

 親:八刀斎【21】   南:輝雷美    西:雀悟    北:凶之介


八刀斎「東」

凶之介「これ、槓が出来んのか?」と言って、「東南西北」を晒した。

「それだけで、自風牌扱いで+1翻になる。加えてドラにも使える+4翻、加えて現物が1枚あるので+1翻だ」

「すまねぇな、みんな」新ドラをめくると新ドラも「西」だった。

東1局1本場  ドラ:西西

「自風牌扱いで+1翻になる。加えてドラにも使える+8翻、加えて現物が2枚あるので+2翻だ。これで+11翻だ。これで三元牌のノミ和了は禁止だ。風牌のノミ和了は問題ない」

雀悟「白」

凶之介「これ、(ポン)が出来んのか?」と言って、「白發中」を晒した。

八刀斎「それだけで、三元牌の明刻扱いで+1翻になる。「東南西北」と合わせて+4翻だ。晒した7枚の字牌だけで16翻だ。しかしこれで、字牌のノミ和了も禁止だ。2達で、和了翻数が1.5倍になる」

凶之介「晒した7枚の字牌だけで、24翻かよ。夢を見せてくれるぜ! インフレ麻雀の開始って訳だ!」

輝雷美「お取込み中、ゴメンなさ~い! 『出したいときに出せるのが、得意技なんだよ!』 って(パパ)が言ってたわ。 蝶々の舞い!」

 二三234②②③③④④八八  自摸:四

【蝶々の舞い(バタフライ)】

〔面前自摸(1)、平和(1)、断么九(1)、一盃口(1)、三色同順(2)、蝶々の舞い(2)、ドラ(4)〕【合計12翻】

 断么九の構成で、234と678だけの牌を使っていれば、面子の構成は順子でも刻子でも自由。左右対称の蝶の羽ばたきを連想させる。自分の得意技なので、雀武帝に十二の役に無理に組み込ませた役。この役を和了した者は、恋愛運が爆上がりするという。雀武帝特別ルール 十二の役の一つ。


八刀斎「お嬢さん、やりなさる」

輝雷美「あたし、麻雀強いのよ~」

凶之介「俺に、字牌が集まっていたからな~」雀悟は、手が入らなかったので状況を見据えていた。

「(字牌が露骨に偏ると酷いな。すぐに荒場になる。凶之介の24翻確定に対し、輝雷美はやっと12翻か・・・。立直に賭けるしかないのか? しかも、字牌に恵まれたものが何度でも襲い掛かってくる。気が抜けないな・・・)」


【3局目】東2局  ドラ:南

 親:輝雷美【12】   南:雀悟    西:凶之介    北:八刀斎【21】

八刀斎「發」

雀悟「(ポン)」と言って、「白發中」を晒した。

八刀斎「これで+1翻だ。そして字牌のノミ和了は禁止だ」

凶之介「東」

雀悟「槓」と言って、「東南西北」を晒した。

「お前もか!」

「それだけで、自風牌扱いでプラス1翻になる。加えてドラにも使える+4翻だ。現物が一枚だから+1翻。合計+6翻だ。三元牌と合わせて+4翻だ。三元牌の+1翻もあるので合計11翻だ。そして2達だ」新ドラをめくると新ドラは「白」だった。

東2局  ドラ:南白

「状況が変わったの。ドラ3と現物一枚をあわせて+4翻だ。合計+15翻だ」

凶之介「今度は、お前か?」

「インフレ麻雀の開始だ」しかし、和了ったのは、凶之介だった。

「自摸! 超断么九『豊穣の海』」

三四伍六六567④④⑤⑤⑥ 自摸:⑥

〔面前自摸(1)、平和(1)、断么九(1)、一盃口(1)、豊穣の海(2)〕【合計6翻】


【超断么九(豊穣の海)】

 断么九の構成で、34567の牌だけで構成されていれば、面子の構成は順子でも刻子でも自由。中張牌の脂っこい部分だけを使って、豊かな恵みを表現している。この手役を和了った者は、豊かな未来が約束されるという。雀武帝特別ルール 十二の役の一つ。


凶之介「置いてけぼりは、ゴメンだぜ。しかし、苦労の割に、実入りが少ねぇな。面前の場合、立直をかけないと翻数が爆発しねぇ。【達成】が全てかも知れねぇな」そして、雀悟一人が追い込まれた。


【4局目】東3局  ドラ:3

 親:雀悟   南:凶之介【6】   西:八刀斎【21】   北:輝雷美【12】


雀悟「(字牌に走れば、面前のドラ爆で潰される。立直を多用する面子だと危険だ。しかし字牌を捨てれば、封印戦の爆発力のあるルール自体に魅力がない。厄介だな・・・)」雀悟は、そっと千里眼を使ってみた。

「(この局が、勝負か!)」そして、字牌に走ることにした。


【配牌】 三四六23⑧⑨白白白發發中北  打:北

輝雷美「槓」輝雷美が食いついた。

東3局  ドラ:35

二三四33456②⑥⑦  槓「東南西北」 打:➁


雀悟が好牌を引き寄せるための「北」打ちだった。

 三四六23⑧⑨白白白發發中 中 → ⑨

 三四六23⑧白白白發發中中 ⑧ → 六

「(よし! 次だ!)」

 三四23⑧⑧白白白發發中中 發 → 3

輝雷美「(ポン)」」輝雷美が再びドラの3に食いついた。

二三四456⑥⑦  (ポン)333 槓「東南西北」 打:⑦


「(ニヤリ)」

 三四2⑧⑧白白白発發發中中 中 → 中

凶之介「? 三元牌が高そうだが、大丈夫か? 中」

雀悟「(ポン)」  三四2⑨⑨白白發發中中 (ポン)白發中  打:2

「! 中を自摸切って、中の(ポン)って何だよ!」

「済まんね、こちらにも、いろいろと事情があってね。風牌を封印させてもらう」

輝雷美「きぃ~! 何よ~!!」

「どうした? 風牌のノミ手か?」

「ちっがうわよ~!」輝雷美は、和了を綺麗に封じられた。

「自摸、 大三元です!」

〔大三元(12)、役牌(4)〕【合計16翻×1.5=24翻】


「!」一同は、騒然とした。

「(マズイ! 雀悟のペースだ! 中の(ポン)ではなく、白發中の(ポン)で、輝雷美を潰しおった)」八刀斎は愕然とした。

「(放銃による減点がないから、(パオ)(放銃者責任払い)がない。確定大三元から、輝雷美封じをやってのけおった・・・)」

凶之介「やられたぜ、親友」

雀悟「いつからだ? 今からか?」

「出会ったときから、ずっとさ。麻美ちゃん」雀悟は、凶之介を睨みつけた。

「どこまで知っているか知らないが、その名は今後一切出すな!」

「了解!」凶之介は苦笑した。この一局で雀悟は、凶之介と輝雷美を精神的に潰して優位に立ち、敵は八刀斎だけになる筈だった。


【5局目】東3局一本場  ドラ:⑨

 親:雀悟【24】  南:凶之介【6】   西:八刀斎【21】   北:輝雷美【12】

【配牌】 八3⑨東南南西北北白發發中中 打⑨

八刀斎「(第一打で、ドラの⑨? 平和、断么九系か?) 東」

雀悟「槓」 八3東南北白發發中中 槓「東南西北」 打:3

東3局一本場  ドラ:⑨2

八東南北白發發中中 槓「東南西北」 發 → 發

輝雷美「(三元牌は、誰も行かないのね?) 白」

雀悟「(ポン)」八東南北白發發中中 槓「東南西北」 (ポン)「白發中」 打:八

「しまった!」

「仕方ないよ。このルールで字牌を抱えて死ぬ意味って、あまりないし・・・。自分に手が入れば行くだけさ」と凶之介が労った。

「それも、そーね・・・」輝雷美は妙に納得した。


【聴牌】東南北白發中 槓「東南西北」 (ポン)「白發中」 

「自摸、天上天下唯我独尊!」親での会心の役満だった。


天下唯我独尊セット〔字一色(12)、天上天下唯我独尊(2)〕

追加〔W自風牌(2)、三元牌(1)、親2達(×2)、親であること(×1.5)、同時達成(+4)〕

風牌と三元牌は達成を1回分だけ追加できる【合計23×3=69翻】

「(突き抜けられた!)」雀悟の勝ちが確定した瞬間だと誰もが思っていた。しかし、そう簡単にはいかない地獄のルールだった。


【天上天下唯我独尊】東東南南西西北北白白發發中中

 字牌だけで構成されている。面前ならば、字一色七対子の形。封印戦のルールにより、和了しやすくなっている。和了時に字牌が7種各2枚ずつ手の内にあれば、天下唯我独尊になる。帝王の名に相応しく、この役を和了した者は先導者となり、人生が切り拓けるという。雀武帝特別ルール 十二の役の一つ。


【6局目】東3局二本場  ドラ:北

 親:雀悟【93】  南:凶之介【6】   西:八刀斎【21】   北:輝雷美【12】

凶之介「槓」と言って、「東南西北」を晒した。手の入らない凶之介は、かき回し役に回った。一人を独走させないための、暗黙の連携だった。

東3局二本場  ドラ:北4

輝雷美「自摸! くやし~! バタフライがつかないわ!」

 二三四六七八234③④⑧⑧ 自摸:⑤   裏ドラ:③⑧

〔面前自摸(1)、平和(1)、断么九(1)、立直(1)、ドラ(4)〕【合計8翻】

八刀斎「(待てんか・・・)」

凶之介「裏が、三つものってるしねぇ・・・。仕方ないんじゃないの?」

「そ~よね~」

軟骨「輝雷美~。カッコイイだ~」と声を出して、潤之介にどつかれた。

「そ~よね~、ダーリン」こうして、輝雷美にとってこの勝負は半分どうでもよくなった。

雀悟「(一人脱落か・・・。勝ち星が減らないルールで助かった。親カブリなら、痛かった・・・)」これが、このルールの狙いでもあった。安全圏に逃げられると負けが確定するので、全員が和了に向かわなければいけなかった。


【7局目】東4局  ドラ:②

 親:凶之介【6】  南:八刀斎【21】   西:輝雷美【20】  北:雀悟【93】

凶之介「槓」と言って、「東南西北」を晒した。

凶之介「槓」と言って、「東南西北」を晒した。

凶之介「槓」と言って、「1111」を晒した。

東4局  ドラ:②南1南

「!(かき回し役じゃないのか!)」

「自摸!」 

⑧⑧⑧22 槓「東南西北」 槓「東南西北」槓「1111」

〔W自風牌(4)、三槓子(2)、対々和(2)、風牌ドラ(8)、現物(2)、数牌ドラ(4)、親(×1.5)、親2達(×2)〕【合計22翻×1.5×2→66翻】

「!」

「悪いな、親友。こんな高い手はみすみす逃せないんでな。」

「気にするな・・・」

「一気に復活だ! 親の達成は美味いね~」


【8局目】東4局一本場  ドラ:1

親:凶之介【72】  南:八刀斎【21】   西:輝雷美【20】  北:雀悟【93】

八刀斎「(雀悟といい、凶之介といい、親で畳みかけている。理想的な和了じゃ。輝雷美はそろそろ脱落か・・・。若いな・・・。勝負に色恋沙汰を持ち込むのは御法度じゃ)」耐え忍んだ、八刀斎の順番(ターン)がやって来た。

(ポン)」と言って、「白發中」を晒した。

(ポン)」と言って、「白發中」を晒した。

(ポン)」と言って、「白發中」を晒した。

「大三元、成立じゃ!」 11679  (ポン)「白發中」 (ポン)「白發中」 (ポン)「白發中」

〔大三元(12)、三元牌(3)、白發中矻(3)、混一色(2)、ドラ(2)、3達(×2倍)〕【合計22翻×2→44翻】


凶之介「三つ目の(ポン)が成立した時点で、和了か。ドラが少なくて助かったぜ。気が抜けねぇな。このルールは。責任者放銃も、親カブリも、ドラ爆弾の威力に比べれば微々たるものだ。全員が全力で前に出てくる。気が休まらないぜ」

雀悟「同感だ」


【東場:終了】

親:凶之介【72】  南:八刀斎【65】   西:輝雷美【20】  北:雀悟【93】


〔第六話:『覇裟羅達(Basarians)』結成!〕に続く


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