しおん
第9話です
今回ちょっと短いです
弧暮は2人を連れて帰った。
体力は回復しており包帯も治っており2人を包帯で運んだ。
弧暮はソファに2人を寝かせて自分もカーペットの上で横になって休んでいた。
自身が首を絞め殺した。目を閉じると鮮明に浮かぶ。黒織の顔。自身が傷を抉り目を潰しボロボロになった顔。
弧暮は気分が悪くなり吐きそうになる。目から涙が溢れる。
仕方なかった。仕方なかった。「仕方なかった」
自分に言い聞かせる。
殺さずに手足だけ折っておけば良かったかもしれない。何か別の方法があったんじゃないか。
弧暮が顔を抑えていると菱川と重久が帰ってきた。
「ただい....根間!? 見つけたの!?」
「ヒッシー......」
重久が根間に駆け寄る。
「根間....あぁ...良がっだ.....」
弧暮は腕のことは黙っておいた。
菱川が弧暮に歩み寄る。
「結局何があったの?」
「.....人だった。人...」
「人? やっぱり...で、その子はどうしたの?」
菱川は弧暮の赤くなった目を見て悟った。そして弧暮を抱きしめた。
「弧暮...ありがとう...根間のこと...本当に...大丈夫。もう大丈夫」
弧暮は泣き出す。
重久は根間を抱き抱え根間の部屋に運んで行った。
白金も目覚め、泣く弧暮の代わりに菱川から後の話を聞いた。
皆疲れ切ってなにも食べず、それぞれが部屋に行って眠った。
弧暮はベッドの上で目を覚ます。時計は4時を指していた。
昨日の服を着替え、顔を洗って静かに出て行く。
外は少しずつ明るくなっている時間だった。弧暮は荷物を持って歩く。
弧暮が向かった先には昨日の場所があった。
弧暮は黒織の死体に近づく。鞄から黒織のスマホを取り出すが起動しない。バッテリーは0%だ。
弧暮は持ってきたシャベルで地面を掘る。果てしない作業だったが自分の手でやり遂げたかった。
(私の罪だ。どんな理由があろうと...誰かを殺める訳にはならない)
数時間後、人一人分の穴を掘り、黒織の死体を抱えてそこに入れる。持ち上げるとき髪を黒織の結んでいたリボンが落ちる。
土を乗せるとき考える。
(コイツにも家族がいた...失踪したコイツを今も探してるはず...)
(いずれ誰もコイツに関心を示さなくなるかもしれない。失踪事件も、誰も気にしなくなるかもしれない。皆忘れてしまうかもしれない)
(私だってそうだ。いつかみんな...忘れてしまうかも)
(私もいずれ...この事を無かったことにしてしまうかもしれない)
黒織の死体を埋め、近くに生えていた花を添える。
落ちたリボンを拾う。血がついてところどころ赤く染まったリボン。
(けど)
弧暮は変身し箒を手に持つ。そしてリボンを巻く。
(私は、忘れたくない)
弧暮はリボンを固く縛り、変身を解いた。
弧暮はゆっくり歩き、帰っていった。
弧暮の物語が始まりました。
ここから物語はどうなっていくのか、是非次回も読んで下さい!