おくりもの
第7話です!
投稿頻度落ちるかもしれません。タブンネ
「見つからなかった」
重久が暗いな顔で告げる。ずっと探し回ったが根間は見つからなかった。
「近くの建物の中も全部探した。でも根間の痕跡すら見つけられなかった」
「周囲の赤点は今日一度も動いたりした形跡は無かった。黒点には絶対負けない。だから...」
「誰かにやられたかもしれないと」
後半は菱川、弧暮も加わって探したが見つけることができなかった。
「今日はもう遅い。暗闇で赤点に遭遇するのはまずいから捜索は明日にしよう」
「みんなで探せば....きっと見つかるから......」
白金は重久の背中をさする。この中で一番長く根間といた重久を気遣う気持ちからだった。
「僕はもう寝る.....明日は朝から探しに行ってくるからみんなは気にしないで」
重久は部屋に戻って行った。
皆顔が暗い。だが弧暮は来て間もないため居心地が悪くなり、そそくさと部屋に戻って行った。
(根間大丈夫かなぁ...みんなもなんか死にそうな顔してたし...)
助けてもらったとはいえまだ出会って1日も経っていない。
(寝よ)
弧暮はさっさと電気を消して布団に潜り込んだ。
晴川は目を開ける。
だが体が動かない。まただ。
だが見ている光景が違う。目の前には真っ白な少女がいる。髪も肌も服も。
(誰....あの子...)
何かを話している、微かに聞き取れる。
「誰にする?君に委ねよう。ガンマ」
ガンマと呼ばれた少女は何かを指差す。
「綺麗...........蒼......い.....こ..れ.....」
「そうか...彼女か....」
目の前に真っ黒なモヤがかかり、晴川は目が覚めた。
「ハッアァ...ハァッ......ハァ」
両親は出張で家を出ている。
晴川は念の為1週間学校を休むことにしている。
午前9時。洗面台に行き顔を洗い髪を整えて着替える。
勉強机に座るもやる気が出ずスマホをいじっている。アプリは入ったままだが今のところ音も何も起こらないので無視して使っている。
スマホニュースは失踪事件に関する話題が一番上に書かれている。
失踪者は前日で7人。今までより早いペースで起こっている。
しばらくスマホを触ったあと、お腹が空いたので冷蔵庫を開ける。中から蜜柑を取り出して皮を剥き齧る。
少し床にこぼれた果汁を拭き取りまた部屋に戻った。
弧暮から送られてきていたメールを読む。内容は自身が今どのような場所にいるかとアプリを触るなという物だった。
どう返信すれば良いのかわからず、晴川は困る。
(誰かに相談すべき...でも.....夢のことも...)
そのまま時間だけが過ぎて行った。
チャイムがなる。玄関まで行くとそこには綾坂がいた。
「こんにちは、これが今日の分のプリント。はい」
晴川はプリントを受け取る。
「?目の下のくますごいけど。大丈夫か?」
「う...うん....大丈夫...」
晴川の手を綾坂が強く握る。
「何か悩みがあるの?言ってくれたら力になる」
「いや....その......大丈夫だって...」
晴川は綾坂の手を振り払うように手を離す。
「.........ときには息抜きも大事。覚えておきなさい」
そう言って綾坂は帰って行った。綾坂なりの気遣いだ。
「....息抜き...か....」
扉を閉め、だれもいなくなった玄関でつぶやく。
「ありがと...アリス....」
「さて、今日も元気に殺しアイ」
黒織はビルの屋上から飛び立つ。そしてメガホンで遠くまで呼びかける。
「誰か〜〜〜いっませンカ〜〜〜〜」
飛び回って呼び掛ければ誰かが気づくかもしれない。黒織は相手を探し回る。
「誰か〜〜?かからねぇナ...そうだ!あいつの来た方向に行ってみルカ!誰かいるカモ」
黒織が方向を変え飛んでいく。
暫く飛んだところで止まる。
「むム?おっやオヤ?」
黒織は背負っているリュックサックから双眼鏡を取り出す。
「.......いまシタ」
視線の先には重久の後に探しに行った白金があった。弧暮もついて来ている。
「重さん見ないね」
「たぶん.....向こうのほう...行ったんだと思う...」
「じゃあこっち探した方がはよ見つかるか。行こ行こ」
弧暮は走り出す。
次の瞬間、弧暮の頬を銃弾が掠めた。
「いったぁ!え?なになに⁉︎」
「弧暮上!」
白金が見上げた先には黒織がいた。
「なんだお前ーーー!ケンカかーーー⁉︎」
「違うちガウ!殺しアイ!」
黒織は一気に弧暮に距離を詰める。弧暮は変身が間に合わず体当たりで吹き飛ばされる。
「いだ!」
白金は変身を押す。シンプルな巫女服に変わり、両手には日本刀が現れる。
「おオ!楽しそうな物持ってまスネ!」
降りて来ていた黒織に斬りかかる。黒織は避けるも髪が少し切れる。
(白金つよ〜...というか包帯って関係ないんだ...)
弧暮も変身して援護に入る。腕の怪我はだいぶ良くなりバッテリーは68%まで回復した。
「おっらぁ!」
弧暮は包帯を黒織に放つ。最初より伸ばせる距離が50センチ伸びていた。
黒織の箒の端を掴み、前と同じように振り回して落とそうとする。
「そっちもいいですネ。じゃっア」
黒織が上空に上がる。包帯が解ける。
「あっ!ズルい!コンニャロ!」
「弧暮も..箒で飛んで...」
弧暮は箒にまたがる。2センチ上がった。
「終わり」
「えぇ!?」
「何やってるんでスカ?もう撃っちゃいまスネ」
黒織が銃弾を放つ。2人ともギリギリで避ける。
「あっぶね!」
(まずい....なんとか上から降ろさないと...」
「どんどんいきまスネ!」
さらに多くの弾丸が打ち込まれる。
「あリャ、弾ギレ」
弧暮はなんとか銃弾を避ける。だが1発だけ足に掠る。
「あぁもうっ!これっでっも喰らえ!や!」
弧暮は箒を黒織に投げた。弾込めに夢中になっていた黒織の頭に当たりバランスを崩す。
「だッ!」
黒織が箒から落ちる。
落ちて来た黒織を白金の刃が捉える。
「らぁ!」
思いっきり腹に打ち込む。だが血は出ない。峰打ちだ。
黒織は倒れる。だが何か呟いている。
弧暮が落ちた黒織の箒を拾おうとするが。
「ぬルイ。デス」
箒が黒織の手に引き寄せられる。
「え⁉︎私あんなんできないんだけど!」
「本気で切ればよかったノニ。そんなんだからあのコモ」
「何言ってるの....?それにあの子って?」
「....そウダ。言っておきまショ。根間って子です」
白金動きが止まる。弧暮も言葉を失う。
「オ、大当たりでスカ?苦労しましたよ、名前聞き出すの」
白金が斬りかかる。黒織は銃で受け止める。どちらも本気だ。
「お前....根間は.....どこにっ...」
「私の鞄に地図が入ってまスヨ。殺して奪って下サイ」
弧暮も包帯を伸ばして攻撃する。だが握られて引きちぎられる。
「あぅ....がッ....」
バッテリーは残り49%。
(いいでスネ。ちゃんと殺す気になっテル)
(でもあと一オシ。やっちゃいまショ!)
白金と距離を取る。
鞄から何かを取り出し、白金に投げつける。
「それプレゼントデス」
「は?プレゼ...ン....へ?」
それは...腕だった。
どうでしたか?
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