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じゆうなせかい

第4話です

「アリス...教えてよ」


綾坂は少し黙り込み考え込む。


「今日学校で集会があった。そこで弧暮の失踪が伝えられた」


「失踪事件は知っているだろう?もう今週で102人。異常事態だ」


「人ができるレベルを超えているから警察も大して役に立たない。そもそも消えた者達がどうなったのかも...」


「昨日メールが来た。梨沙から」


「え?」


「私はメール苗字で登録してるから。名前を書けてたからなりすましの可能性は低い」


「生きてる。少なくとも弧暮は」


綾坂はまた黙り込む。


「....もう伝えることはない。あと銀座と石橋は私の知り合いとしか言いようがない」


「私は帰る。あいつらは忙しいからしばらくは来ないだろう。来たとしても通報すれば帰る」


「.....わかった。ありがとう」


「............プリントここに置いとく。無茶するなよ」


綾坂は帰って行った。


落ち着いてから晴川は鍵をかけに行き、また部屋まで戻った。





「着いたー!」


そこは少し広めのコンビニだった。食料や日用品もまぁまぁの数が置いてある。


2人は持ってきた袋に詰め込み始めた。ここに来るまで相変わらず人はいなかった。


「全部は持ってかないでね!」


「え?なんで?」


「もしここにきた子がいたら困るじゃん!根間が見つけてくれたらいいけど食料がなかったら一人で飢え死んじゃう!」


「確かに.....」


弧暮もたまたま根間に見つけてもらえただけで、そのまま殺されていたかもしれない。逃げ延びれたとしても世界について何もわからず餓死していたかもしれない。


「もうちょい入れたら出よう。黒点も赤点も近くにはないけどあんまり長居したくないし」


「はーい」


弧暮はお菓子の棚に来た。


「ポテチにグミと...あ、ジュース忘れてた」


10分後、袋が一杯になったところで2人は店を出た。


「重いね。結構」


弧暮は両手でしっかり支えないと持てないぐらいの量を持っている。


「ジュース入れたからじゃない?そうだ!慣れてもらいたいから変身して帰ろう!」


「へ?」


菱川は弧暮のポケットからスマホを取り出し変身ボタンを押す。


弧暮の全身に包帯のドレスが現れ、手には大きい箒が現れる。


「そういえば『魔法少女』って重さん言ってたけどスマホに書いてあったっけ?」


「いや、私が決めたの。女の子が変身してドレスっぽい服着るのなんてまんまそうじゃん?」


「そうなのかなぁ....」


「まぁまぁいいじゃん!箒に乗って乗って!」


弧暮は菱川に言われた通りに箒にまたがる。


「そのままゆ〜っくりふわ〜っと上がる感じ、ふわ〜っと、ふわ〜っと」


「ふわーふわー、おっ?浮いた?」


「2センチぐらい...」


「ダメじゃねーか!」


「ビミョーに浮いてるか浮いてないかギリギリみたいな感じ...飛ぶのに向いてないのかな?なんか他にできない?」


弧暮は腕を振ってみる。すると1メートルほど腕の包帯が伸び、ある程度動かせる。


「腕の包帯はちょっと伸びるし動かせる。以上」


「ショボっ」


「ひどっ」


「力はどんぐらい?向こうの街路樹締め付けて見てよ」


弧暮は包帯を街路樹に巻き付け強く引っ張る。

だが木はびくともせず逆に包帯に木の尖った部分が刺さり痛い。


「いだダダダダダ!」


「大丈夫?というか痛覚あるんだ...」


2人は普通に歩き出した。


「その包帯で物持てる?」


「やってみる」


包帯を荷物に巻き付け、持ち上げる。少しだけ持つ力はあるようだった。


「それやってて疲れる?」


「いや...全然」


「じゃあ荷物持ち専用の力だね」


「しょぼッ」


「自分で言うのか...」


菱川はふとスマホを開く。


「ちょっと〜、こっから東に140メートルぐらい離れてるとこに赤点があるんだよね」


「それってやばい?」


「まぁ大丈夫だろうけど...根間がいたら大丈夫だけど私達だけだと心配だから急ごう。普通に行けば大丈夫だけどね」


2人は早く帰ろうと駆け出す。そのとき。


「は?」

「え?」


弧暮の目の前に小型の怪物が現れる。

最初遭遇した化物以上に速く、一目で別格と理解できる。


(なんでこいつ...赤点......?)


化物は弧暮に拳を放つ。弧暮の箒は叩き折られ、消滅した。


「ギャアッ!やばいヤバイヤバイ‼︎」


弧暮はギリギリで繰り出された蹴りを避ける。だが体制が崩れ腹に拳を叩き込まれる。


「オゲっ...ううギャァ」


さらに服の包帯を握られ、腕に何発も殴りを入れられる。


「っかっ........こんにゃろ!」


弧暮は包帯を伸ばし首に巻きつける。締め殺そうとするも包帯の力が足りずダメージを与えられない。


菱川が自身のスマホを押し、変身する。

鎧のスカートに服を纏い、腕には狙撃用のクロスボウが取り付けられる。


「おっらぁ!」


矢が放たれる。足に深く突き刺さり怪物は弧暮から離れる。


「大丈夫⁉︎」


「何とか.......はぁ.....はぁ...あぁ....」


バッテリーは残り34%。かなり限界が来ている。


「私が何とかするから下がってて...」

(ヤバい....油断してた....何とかしないと弧暮が....)


化物は駆け出す。菱川はまた矢を放つ。だが矢は避けられもう片方の手を先に掴まれて鎧もろとも握り潰される。


「うがっぁ.....」


菱川はまた近距離から首を狙って矢を放つ。化物は腕を離して後ろへ飛んで逃げる。


(あいつは結構脆い。その代わりアホみたいに素早い)


「弧暮、私が引きつけるから逃げて」


返事はない。


「弧暮?ちょっと?」


弧暮はいなかった。


怪物はまた距離を詰める。

そしていなくなった弧暮に気を取られている菱川に不意打ちを入れる。


「あぁもう!弧暮どこ行った⁉︎」


菱川はギリギリで防御して押し合いになるが怪物の押しが突然軽くなる。


怪物の体に包帯が巻かれ上に持ち上げられる。


「ごめんヒッシー!囮にした!」


弧暮は隠れて化物の動きが止まるのを待っていた。

化物が菱川に気を取られているうちに弧暮は隠れて背後に周った。


「おりゃぁ!」


包帯で巻き付け振り回し、地面に叩きつける。包帯は破らせない。攻撃動作をさせない。


数十回叩きつけ弱らせたところで菱川の前に差し出す。


「トドメお願い!ヒッシー!」


菱川は頭にクロスボウを突き付ける。


鈍い音と共に矢が頭を貫き、化物は死んだ。


「ハァッ....ハァッ....」


2人とも変身を解く。


「囮にするならそう言ってよ...」


「ごめん.......必死で...」


荷物を抱えてまた歩き出す。他の黒点が集まらないように怪我の痛みを我慢して帰った。



「おかえり〜....どしたん?」


帰ると机で本を読んでいた重久が出迎えた。


「やばかった.....やばかった........」


「重さん〜〜大変だったんだよ〜」


弧暮が重久に抱きつく。重久は弧暮の頭を撫でてやる。


「怪我したから消毒出して。あと根間どこ行ったの?白金も」


「白金は部屋にいるよ。根間は遠くの方に見回りに行ってる」


重久は弧暮を引っぺがし棚を漁り消毒液を引っ張り出す。


「膿んだら悪いからちゃんと治すよ」


「やめてやめて染みる染みる!」


弧暮は染みてジタバタしている。殴られて擦りむいたお腹が特に染みるらしい。


菱川も消毒を済ませ、冷蔵庫に持ってきた食料を詰め込み始めた。






根間は遠くまで来ていた。箒の性能とセンスがいいので速く遠くまで行ける。


「誰かいますかーーー?怪我した人いないですかーーー?」


持ってきたメガホンで呼びかけるが返事はない。また別のところで呼びかける。


「誰かい...」


爆音と共に銃弾が耳を掠める。


杖を構えて警戒を強める。


「マジで人いるんですねココ。安心しまシタ」


箒に跨って飛ぶ少女。銃を持っている。


「大丈夫?私はみか....」


また銃が放たれる。今度は完璧に避ける。



「味方とか敵とか関係ありマセン!」


「私を縛る法もナイ!コロシあいましょう!」

どうでしたか?

感想を書いていってくれたら嬉しいです。

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