いまり
第30話です!
重久と根間は薬を確保しに行くことにした。
弧暮は他の少女達が世話をする。
用意してある薬で足りるかは分からない。どんな病気かすら不明な今は熱冷ましで対応するしかない。
「根間、もう行ける?」
「うん、早く行こう」
根間は変身して箒に乗る。重久もその後ろに座る。
目的地は最寄りの薬局。周辺に赤点、黒点の怪物がいるため討伐していかねばならない。
「根間、見えた」
前方に3体の黒点。根間は杖を向ける。
先から赤い光が放たれ跡形もなく消し去った。
「次、奥の方」
同じように倒していく。あっという間に周囲の黒点は全滅した。
根間は辺りを見渡す。少し見覚えのある光景のように思ったがよく思い出せない。
「これで黒は全員?」
「あぁ、もう終わ...」
突然斬撃が襲いかかる。
根間は回避して地に降りる。
相手は小型だが両手がミキサーの刃のようになっている。
全身は黒い鎧で覆われており
「キッゲ.......グ.....」
一瞬で距離を詰められる。だが斬撃が発生するより先に根間は光を放った。
相手は後方に下がるもすぐに飛んでくる。光によるダメージはほとんど無いようだった。
(....根間の光が効かない? スマホにも反応が無かった相手、まさか)
重久の攻撃で放たれた斬撃は全て落とされる。
だが飛び上がり斬撃を放つ。今度は落とせない。
根間は当たる直前に箒を出して一瞬のうちに向かってくる斬撃から逃れた。
重久により相手は地面に押しつけられる。動けないまま少しずつ力が強くなり鎧の隙間から血が垂れる。
「ガウ.....アァ!」
肩の鎧が剥がれ落ち、中から刃が現れる。
数十発の斬撃が飛び、出てきた刃は消滅した。
重久は動きながら攻撃を続けられない。避けるため攻撃をやめてしまいその隙に根間の方に行かれる。
根間の光はほとんど効かない。少し吹っ飛ばす程度でダメージにもならない。
斬撃が頬を掠める。杖を向けたときにはもう2度目の斬撃が飛んできていた。
「ごめんっ!」
重久は根間に重力を発生させ体勢を低くさせ、攻撃から逃れさせた。
根間は体勢を立て直して光を打ち込んだ。
『銀座、今こっち来れる?』
九里から電話がかかって来た。運転中だったため助手席の石橋が代わりに出る。
『なんだ』
『石橋?じゃあいいや、後でかけて』
電話はすぐに切られた。
「なんだったんだ」
「九里の行動に理由を求めんなよ、頭おかしくなる」
「そうか....晴川から何かわかったのか?」
「突然だな。まぁぼちぼち」
「.....そうか」
晴川の件は一旦未鉢達で留めておくことにした。
このことがバレてしまえば彼女が酷い目に合いかねないと遼屋が銀座に頼んだことが理由だ。
(晴川はこっちだけで持っときたいよな〜...)
鎧が剥がれた所が吹き飛び、怪物は倒れた。
重久は息を整え、怪物に歩み寄ると、ビー玉くらいのサイズの玉が落ちていることに気づいた。
血濡れだったそれを拾い上げる。
おそらく怪物が持っていたのだろう。
適当にそこらへ投げようとすると。
『やめろ阿呆!投げるでない!』
どこからか声が聞こえる。頭上だ。だが誰もいない。
辺りを見回すが根間以外誰もいない。怪物は死んでいる。
『目が腐っとるんかベタ頭!』
ビー玉だ。ビー玉から声がしている。
「きもっ!何これ...」
重久は驚いて落としてしまう。
地面に軽い音を鳴らして落ちた。
『痛い!もっと丁重に扱えベタ頭!』
「うるさい!というかなんでベタ頭って呼ぶんだよ!」
根間も休んでいたが起き上がって重久の元に向かう。謎のビー玉に話しかける重久を引いた目で見た。
「重久....頭打ったの...?」
「待って根間!違う!悪いのはこのゴミだから!」
『誰がゴミじゃい!話にならん!ルイスでもいいから誰でも呼んでこい!』
「....るうす?」
根間は首を傾げる。重久も同じく不思議そうな目で見る。
『ルウスじゃよ、あの黒シルクハットの.....そこの美しい方。今ここどこじゃ』
「僕達もどこか分からないんだよ」
『お前じゃないベタ頭、横のじゃ。だがそうか...そうじゃな...』
「何かあったの?」
『あれはそう...妾が皆と共に世界を変えるためこう...なんというか色々しておったんじゃ...』
「ビー玉も厨二病になるんだな」
『口を慎めベタ頭』
ビー玉は少しだけコロコロ動いている。
だが突然何かを感じ取ったかのようにピタリと動きを止めた。
『向こうから懐かしい気配がする。運べ』
「向こうって...僕らの拠点だけど...」
『はよう送れ!』
ビー玉は少し跳ねる。根間は罠を疑いつつも箒の端に括り付けておいて向かう事にした。
重久は当初の目的通り薬を持ち帰るため残った。
「なにがあるの?向こうに」
『2つのものが混ざる感じじゃ。妾の仲間達は皆そうじゃった....気がしなくもない』
「そんなアバウトなんだ...」
『そんな事よりもっとはようしてくれ』
「ん」
根間は箒の速度を上げた。
石橋
26歳
好きな食べ物 梨
嫌いな食べ物 固いもの
趣味 インコと遊ぶ
実は
家で3匹のインコを飼っている。
名前は
さぶすけ
ノノちゃん
権座部浪