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第29話です
「晴川ちゃんおはよー」
「生きとったんかお前」
「大丈夫か?」
久しぶりの学校。教室に入ると一斉に注目の的となった。
生徒達は晴川を心配するものや、何があったのか興味津々のものばかりだった。
「おっす」
机に座ると隣の席から声をかけられる。
絵釜だ。
「梨沙やばいって聞いて心配してたんだぞー?大丈夫かい?」
「うん、ありがと」
ふと窓際の席に目をやる。本来弧暮がいたはずのそこにはプリントが山積みになっていた。
「ノートいる?休んでたときの写したいでしょ」
「貸して貸して」
ノートを手渡される。右手の人差し指には包帯が巻かれていた。
「大丈夫?指」
「これ?昨日部活中にやっちゃったんだ。転んで突き指だからヘーキヘーキ」
絵釜は手をひらひらさせている。
担任が入ってきて朝のホームルームが始まった。
「今日は突然だけど転校生がきます。入ってきて」
教室がざわつく。入って来たのは...
「燐道茜です。よろしくお願いします」
(えっ)
教卓からギリギリ顔が出るぐらいの身長。マスクをつけていて背中には大きな鞄を背負っている。
燐道だった。
「向こうの席座って〜」
晴川の斜め後ろの席に来る。晴川はこっそり話しかける。
「なんでうちの学校にいるの...」
「未鉢と銀座の手配だ」
「晴川!ちゃんと話聞いてるか!?」
「は...はい」
担任に釘を刺されて前を向く。
授業が始まった。1時間目は古文だ。
(そういえば燐道ってどのくらい勉強できるんだろ)
そう思っている矢先燐道が当てられる。
燐道は答えない。教師も困惑する。
「あのー、燐道さん?」
「分からん」
燐道は口に団子を放り込む。
「あのー、なんで授業中に団子を?」
「仕方ないだろう、私はこれがないとダメだ」
燐道はクラス中からヤバいやつを見る目を向けられたが、気にせず食べ進めた。
授業が終わり、晴川は燐道を連れて廊下に出た。
「常識って知ってる?」
「なんだ突然」
「授業中食べるのはダメでしょ...未鉢さんとかなんも言わないの?」
「あいつは固いこと言わん」
「えぇ...というかどうして来たの?」
「さっきも言っただろう。狙われているのはお前だ。私はお前を守りながら白面を見つける」
白面は乙女とか言っていたが体型の分かりずらい白装束を着ていたため一応性別不明。
この学校に潜み晴川について知っている人物だ。
考えているとそこに綾坂が現れた。
「晴川、学校来て大丈夫なのか」
「アリス...大丈夫、もう良くなったから」
綾坂は少し微笑んで晴川の頬をつねった。
「髪の色」
「いいじゃん! 別にもういいじゃん!」
「だめだ!しかも休んでる間少し白く染めただろ!」
「え」
晴川はドキッとした。九里に言われた白髪がかなり目立つのだろう。
「お前は私と来い! 呼び出しだ」
しょんぼりしていると燐道を連れて綾坂は戻って行った。
「弧暮?」
食事のために集まったとき、突然弧暮は倒れた。
根間が駆け寄る。頭に手を置くと熱があった。
「何これ...熱が...」
根間は手を離した。とんでもない熱さだ。
弧暮は息が荒くなる。
「熱冷まし持ってきて!早く!」
根間の指示で和多と菱川はすぐに医療箱を持って来た。重久は弧暮の熱を測る。
「はぁ!? 43度...?」
弧暮の顔色が悪くなっていく。とりあえず氷を当てて薬を飲ませた。
「なんで突然...」
弧暮をベッドまで運び寝かせる。
少し落ち着いたもののまだ苦しそうな様子だった。
「ガンマ? どうした」
暗い部屋の中、ガンマはどこかを指さしている。
指の先が白い肌から紫色に染まり、ボロボロと崩れていく。
「....そこまでするのか?」
「わ......たしの........と...........も....だち........」
「こ.......のまま............だと........」
「少し、影響が出ているな....まぁ好きにするといい」
崩れ落ちた破片が、異世界の地面に零れ落ちた。
地面から手が出てくる。
土を押し除けなんとか地上に出る。
「......ハ?」
銀座
24歳
好きな食べ物 たこ焼き
嫌いな食べ物 芋
趣味 ドライブ
実は 基本車は貸し出しだが銀座は自腹で買ったものを使っている
血の匂いがついたのが最近の悩み