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こんとん

結構ミスとかあるかも知れません。

初心者なので温かい目で見守ってくれたら嬉しいです。

弧暮梨沙は市立風雲高校の1年だ。

成績はまぁまぁ。運動は壊滅的である。

一時間目の体育を終え、皆教室に入ってゆく。


「あぁ〜いだぁ〜誰がだずげでー」


長距離走1周目で盛大にコケた弧暮は絆創膏だらけの足を机に乗せてスマホを弄っている。


「行儀悪いよ〜梨沙」


そんな弧暮を注意したのは弧暮の幼馴染、晴川楓花である。


「行儀悪いって楓花こそ髪また染めてきてんじゃん」


晴川は派手な青い髪だ。何度注意されても髪染めをやめない姿勢は教員の頭を悩ませている。

2人が喋っていると誰かが弧暮のスマホを取り上げた。


「学校でスマホ禁止。あと髪の色戻してこいと言いましたよね?晴川?」


弧暮のスマホを取り上げたのは生徒会長の綾坂アリスだ。一年でありながらその優秀さで会長の座を得た。


「あ、アリっさん!返してくださいよ!」


弧暮が手を伸ばすと綾坂はスマホを高く持ち上げた。


「アリっさんと呼ぶな。あとこのスマホはしばらく預かっておくぞ」


「え〜?やです〜」


「うるさい没収」


綾坂のサイドテールを晴川は持ち上げる。


「アリっさんも銀髪じゃん」


「これは地毛だからいいんだ。君は元から青だったのかね?晴川」


「はい!」


「嘘つくんじゃない」


綾坂は弧暮のスマホを持って自分の席に戻った。


「あーあ、予備のスマホあるからいいけどロックかけてないんだよな〜」


「アホなの?というかなんで予備があるんだよ」


「アリっさん対策。というか授業始まるよ!帰った帰った!」


晴川は自分の席に戻って行った。


2時間目は国語だ。弧暮は教室の最後尾のさらに角に座っているので基本他の生徒から手元が見えない。


(授業つまんないな〜)


弧暮はこっそりスマホを見ている。そこに流れてきた一件のニュースに目が止まる。


(行方不明者全国で急増....1週間で32人の未成年の女子が失踪....なんだこれ)


(行方不明者全員がスマホと共に忽然と姿を消す...家の中や学校。失踪の瞬間を見たと証言する人もいる...)


(失踪前の行動としてスマホに見覚えのないアプリがはいっ.....)



「おい弧暮!聞いてんのか!」

「ひゃわっ!?」


椅子を傾けていた弧暮は驚いて倒れてしまう。みんなの笑い者だ。


「弧暮。せめてスマホは触るな」

「ひゃい...すいません」


こうして2時間目の授業は終わった。


休み時間になると、晴川がまた弧暮に絡んでくる。


「アホかね君は」

「そうらしい」


綾坂は生徒会の仕事でしばらく席を空けている。スマホを使うチャンスだ。


「ねぇねぇ楓花。これ知ってる?」


弧暮はニュースを見せる。


「行方不明者急増?知ってるも何もうちの学年でも話題になってるよ。


「え、うちの学年も?」


「そう。去年で207人。今年はもう去年を上回るペースで消えてる」


「そんなに……」


晴川は弧暮のスマホをいじっている。そしてある記事を弧暮に見せた。


『行方不明者の共通点は全員同じアプリがスマホに入っていたこと』


「これ、私も見た」


「存在しないアプリなんだって。なんか胡散臭いけど被害も実際に出てるらしいしな〜」


「実際行方不明になってる人達はどんな感じなの?」


「それがさ、親が警察に捜索願いを出していたらしいんだけど……」


「見つかってない?」


晴川は頷いた。

チャイムが鳴る。一旦話を終わりにしてそれぞれ授業の準備を始めた。

放課後まで時間が過ぎていき、別の話をしたりする中ですっかり弧暮はその話を忘れていた。


「アリっさん!携帯返して!」


帰ろうとする綾坂を捕まえてスマホを返すよう要求する。

綾坂は少し申し訳なさそうにスマホを鞄から取り出し弧暮に渡して帰って行った。


「は〜やっと帰れる〜じゃあね楓花」


「うん、ばいばい梨沙」


弧暮も帰路につく。


「明日も体育あるよな〜だる」


歩きスマホをする中でスマホから微かに音が聞こえてきた。


「ん?何の音だろ?」


弧暮は耳を近づけるが何か機械音のような音がする。だんだんはっきりと聞こえてくる。


『オシマショウ』

「え?」

『オシマショウ』

「誰なの?」

弧暮は辺りを見回す。しかし誰もいない。これは明らかに誰かいる。人の声だ。だがこの携帯は動画も通話もしていない。なのに音がする。声がする。


『オシマショウ』

(何なの?これ……)

弧暮はスマホを耳に近づける。

『オシマショウ』

(怖)


『オシマショウ オシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウオシマショウ』


突然画面が勝手にスワイプしていく。そして一つしかアプリの入っていない画面に辿り着くと画面いっぱいに『オシマショウ』の文字が表示される。


『オシマショウ』


「ひっ!?」

真っ黒のアプリの周りを『オシマショウ』の文字が囲む。入れた覚えのないアプリだ。

「何これ...まさかこれが....だとするとまずいんじゃ..」


「危ねぇぞ!」


スマホに集中していた弧暮は横から迫ってくる車に気づかなかった。


車に右足が轢かれて潰れる。

「うっ!?ああぁぁぁぁぁ!!?」

激痛が走る。見れば足が潰れていた。痛みで手が震え、アプリを押してしまう。全身を轢き潰されようとした瞬間、弧暮の体は包帯のようなものに巻かれて消えた。



「っ!?うえっ!なんだここ……」


弧暮が目を覚ますと轢かれた横断歩道の真ん中にいた。だが車の姿がない。さらに人影もない。動物もいない。建物が綺麗な姿でそのまま残っている。


「どこだよここ……ってか足‼︎」


弧暮の足には轢かれた部位に包帯が巻き付けられている。血が滲み剥がそうと思っても全くびくともしないぐらい強く巻かれている。


手にはスマホが握られている。そして『オシマショウ』の字は消えていた。黒いアプリ以外全てのデータが消えていた。また。バッテリー残量が80%に上がっていたが、上限が80%になってしまっていた。


「何これ...」


アプリは開いてしまっていた。それは地図のようなもので黒い点と赤い点がいくつか表示されている。自分がいる場所は黄色くなっている。


また『変身』と書かれたボタンが右上にあった。


「何だよこれ....あれ?黒点動いて....こっちに近づいてる?」


だんだん近づいてくる。ついに黒点は目の前の曲がり角の奥まできた。


「うわぁぁぁぁ!?!?」


弧暮はスマホを握りしめたまま後ろへ下がっていく。


曲がり角から真っ黒のコートに包まれ、本来顔のある位置から大量の手が生えた化け物が姿を現し、弧暮の姿を捉えた。そして向かってきた。


「うあぁぁぁ!?」


弧暮はスマホを握り締めたまま逃げ出す。

だが行った先にも黒点が見える。そして何より足が痛い。包帯が巻かれている足は少し動かすだけでかなりの痛みがくる。


もともと体力がないこともあり簡単に追い詰められてしまう。


「ひっ!」


手の一本に首を掴まれる。そして力を入れられる。

首が絞められていきもうだめだと思った瞬間、目の前の化け物に光が放たれ消滅する。そして目の前には赤いドレスに赤い宝石が付いた杖を持った美少女が立っている。


「怪我はない?」


「え?」


「新しく来た子ね。よろしく」


「ちょ....は?誰ですか!?というか何処なんですかここ!???」


「説明は後でするわ。ついて来て」


少女は弧暮の手を優しく握った。

年齢はおそらく13〜15ぐらいだろう。

しばらく歩いていくとショッピングセンターに着いた。夕方なら人の多いであろう場所なのに人の気配が周りに感じられない。


「ここは?」


「私達が使ってる施設。食料が多かったりいろんな設備があるから使いやすく改装しながら暮らしてるの」


入り口は正面からではなく後ろの扉からだ。

中は開放的な空間が広がっていた。


「広いですね」


「商品を飾ってた棚とかをどかしたら結構な広さになるの。あとこれ、疲れてるでしょ?」


弧暮は冷えたジュースを渡された。


「あ、あざっす……」

「じゃあついてきて」


2人は階段を上がり、2階にある部屋に入った。

そこには数人の少女がいた。

皆同世代か少し下ぐらいだろう。


「ここは……?」


「新しく来た子が来たらまずは顔合わせってことでここに集まってもらってるの。あなたたちも自己紹介して」


そうすると何人かが弧暮の方を見る。


「えー......弧暮梨沙です!16歳です!」

とりあえず自己紹介をする。

「僕は重久咲樹17歳。よろしくね弧暮ちゃん」

次に自己紹介をしたのはダボっとしたTシャツを着た少女だ。目の下にはくまが少しある。


「次は私ですね!私は菱川碧音です!」16歳です!」

次に自己紹介した少女は茶色い髪でサイドテールにしている。背は150センチくらいだろう。


「次、私..........白金雪華です...」

片目に包帯が巻かれている。弧暮の足と同じだ。

「最後は私、根間透」

弧暮を救った少女は根間と名乗った。


「みんな、今日から新しくこの世界にきた娘よ。色々教えてあげて」


「じゃあ僕が」


重久は弧暮の元にきた。


「スマホ出して」


弧暮は握っていたスマホを重久に渡した。


「この黒点と赤点はヤバいやつだから近寄っちゃダメ。特に赤点が近づいてきたら何処でもいいから建物の中に避難して。あとこの『変身』ってのは〜えいっ!」


重久はボタンを押した。次の瞬間弧暮の全身を包帯が多い、包帯でできたドレスを身に纏う。


「うわっ!?なにこれ!」


「それが君の……ちょっと変だけど『魔法少女』」


「変身ボタンで簡単に切り替えれるよ。あとずっとそのままはダメだよ」


「え?なんで?」


「変身は体力を使うから。ずっとそのままだと死んじゃう」


「死ぬ!?」


「うん。だから『変身解除』って押せば元に戻る」


弧暮は自分のスマホを起動して『変身解除』のボタンを押した。するとドレスが消えて元の制服姿になる。

「アプリに関する説明終わり。あと施設だけど2階にそれぞれの部屋あるから余りから好きな部屋選んでね。服は向こうの衣料品が置いてあるところから好きなの使っていいよ。風呂はシャワーしかないけど...」


「ちょっといい?重さん」


「重さん....?でどうしたの?」


「戻る方法はないの?元の世界に」


「無理」

「即答...」


弧暮は聞き間違いかと思った。

だが重久の表情は真剣そのもので嘘をつくような感じではなかった。


「ここはね、本当に異世界なんだよ。僕達はもう帰ることはできない」


そう聞くと足元が崩れ落ちていくような気持ちになった。現実味がなく夢かと思いたくなる。だけどさっきあった出来事は全て本物だ。スマホを起動すればちゃんとアプリがあるし、この服も変身もそうだ。そしてあの化け物に殺される寸前だったのも現実だ。


「今はまだだけど元の世界に戻る方法があるかもしれない」


菱川が口を開いた。


「そうなの?」


「うん、それを私達で探してる。今は生活するので精一杯だけど」


「とりあえず今日はこのくらいにして、ご飯にしましょ!」


根間が口を挟む。弧暮が疲れてきてるのを感じたようだ。


「そうだね。今日は僕が作るよ」


「え?重さん作れるの?」


「まあね、料理は得意なんだ」


「へぇ〜意外だね」


「そう?結構酷いこと言われた気がするけど...とりあえず座ってていいよ」


重久が台所で料理をする。その間に他の少女達はテーブルを囲んだ。テーブルの上には人数分の皿とコップがある。

弧暮は胸ポケットからもう一台のスマホを取り出して弄っている。


「ねぇねぇ、そのスマホ見て楽しい?あの変なアプリしか入ってないじゃん」


菱川に話しかけられる。


「いやこれ予備の方。というか電波繋がるんだねここ」


「え?」


「ん?どうしたのヒッシー」

「みんな!弧暮スマホもう一台持ってる!ちゃんと外に通じてる!」


「電気屋のと違って壊れてない!もしかしたらこれで.....」


皆が弧暮のスマホに集まってくる。


「わーっ!待って待って!楓花にLINEだけ送らせて!」







「弧暮?こんな時間にどうしたんんだろ?」


晴川は自室で勉強していた。スマホの通知に気づいて開く。


「え?なにこれ?」

そこに書かれていたのは

『変なとこ来ちゃった』という内容だった。


「いやいや、ないよね〜あはは……」


だが晴川は弧暮が噓をつくような人間でないことを知っている。いやついてもすぐバレるだろう。


「もしかしてホント……?」


とりあえず既読をつけて様子を見ることにした。するとすぐに返信が来た。


『楓花助けて!』


「えぇ!?」


思わず声を出してしまった。

すると向こうも察したのかさらにメッセージが送られてきた。


(とりあえずどうすればいいの!?)


あたふたしていると突然スマホが暗転した。充電切れではない。電源ボタンを押しても反応がない。


「ちょっと楓花!どうしたの!?」


晴川は母の声に気づくことなく、パニックに陥っていた。

しばらくするとスマホから雑音が聞こえてくる。


『オシマショウ』

「え?電話?」

『オシマショウ』

どうでしたか?感想とかよろしくお願いします。

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