クマと喧嘩ってマジで?
「うおーー!!! 逃げてばかりだと思うなよ!」
「ガ、ガウ?」
「見てみろこの魔王の圧倒的なオーラを!」
ビューン!
ってこいつ逃げた。てか逃げ足速ぁ!? 俺の圧倒的な力を感じ取ったんだな。
今こそやり返すチャンス! 散々人を追いかけまわしやがって。
「おい待てこらぁ!!」
「グゥゥ!」
「な、なんだ!? 急に振り返って。やるつもりか!?」
「グガァ!!」
こいつ自暴自棄にでもなったのか!? これはあれか!? 自分より強い相手に追い詰められた時、死をも恐れずに全力で抵抗する。ってやつか?
「ちょちょちょ、待て待て待て! ごめんごめんごめん!!」
「ガァァ!!」
「なんでまた俺が追いかけられてるんだよぉ!」
そうして何回か攻守交代をしつつ鬼ごっこを楽しんだ。そして俺たちは。
「いやあ、疲れたな?」
「わふ!」
仲良くなった。
てか、クマってわふ! とか言うんだな。懐かれると、少し可愛いものがある。
「よし、クマきち!」
「ガウ!」
「ここに俺たちの家を建てるぞ!」
「?」
「何言ってんだこいつ。みたいな顔をするな。俺は本気だぞ」
魔王というのは非常に都合の良い生き物なのでな。魔法で家を建てるくらい造作もないのだよ。
「ガ、ガウガウ。ガウ!」
「え? 家を建てるスペースはどうするのか? 環境破壊は良くないって?
お前、クマなのにだいぶ人間的な考え方をするんだな。だが安心してくれ、環境破壊はしないさ。ただ自分達が暮らすスペースを開拓するだけだ」
ん? なんかサラッと流れて行ったけど、なんで俺こいつが言ってる事理解出来たんだ?
はっ!? さてはこれも、魔王の力!?
「••••••?」
そうして、家を建てる事にした俺たちは、周辺更地にした。
「ガ、ガウ••••••」
「環境保護団体の人間に怒られそうって?
大丈夫だ、この世界に環境保護団体なんていう現代的な団体は居ない」
「わふ!」
「お、納得したか。それじゃあ家を建てるぞ」
「なあ、クマきち」
「?」
「ここら辺を更地にする方法ってわかるか?」
「うー、ガウ!」
「爆発魔法!?
なんだ名案じゃないか!」
「わふ!」
「それじゃあいくぞ! エクスプロージョン!」
ドカーーーーン!!
「うわぁ!? やばい! 強すぎた!?」
はっ! クマきちは!?
「クマきち!!」
「••••••」
「クマきち。そんな、俺のせいで••••••なんで、こんな」
「ガウ!」
「勝手に殺すなって感じの顔だな。まあ無事なら良いや」
「ガウ!?」
「よーし、良い感じに更地になったぞ」
「わふわふ!!」
「少しは心配しろって? 悪い悪い、生きてるしまあ大丈夫かなって!」