無職ってマジで?
「ま、魔王ってどういう事ですか!?」
「ちょちょちょ待て待て、そんな大声で••••••!」
「魔王だって!?」
「今魔王って言ったか?」
ほらすぐ注目の的だ。これは、どうしようか。逃げるしかない気がするぞ。
「失礼しましたぁ!!!」
「ま、待て!!」
おいおいおかしいだろ、なんで俺冒険者に追われてるんだ。
そもそも魔王なんて一般の冒険者程度が勝てる相手じゃないだろ。頭おかしいのかコイツら。
「ストーーップ!!」
「な、なんだ!? 諦めたのか?」
「それじゃあ、バイバイ!」
「待て!? なんて速さだ。もう見えねえぞ!?」
ステータスが高くて助かった。
ステータスってのは身体能力も上がるんだな。素早さが上がってたおかげで足も速くなってたぜ。
「今のが足が速いって次元なのかはおいておいて。登録しないと出来ないものは無理だな」
それから、色々な職を探してみたものの、1時間で指名手配書が国中にばら撒かれ、職なんて探すどころじゃなくなってしまった。
「この国の人間有能すぎない!? なんで1時間で俺の認知度が国全体まだ広がってるんだ!?」
しかし、こうなったら魔王領に帰るしか。
でも魔王領は一度捨てた身。どうしたもんかな。
「よし、魔王領に戻ろう!」
この世界がゲームに忠実なら、確か魔王領には魔族すら寄り付かない、とんでもなく危険な森があったはず。
名前は忘れた。設定として出てくるだけで、実際にストーリーで行くこともないからな。
そして、森に入ったが。
「なんだ、森だな」
いや森なんだけど、あまりにも森だ。危険って言うから何かあるのかと思ったら、何もない本当にただの森。
「グルルル••••••」
「あっ」
とか言ってたらなんかめちゃくちゃデカいクマさん出て来たけど!? いやこんなモンスターゲームに出てたか!?
「よし、逃げよう」
もちろん全速力でな。俺はスローライフが楽しみたいんだ!
あれ待てよ、スローライフ楽しむのに、この森って向いてなくね?
「やべえ、やらかしたー!!!」
「グルル、ガーウ!」
「なんでお前真後ろに着いてんだバカやろー!!」
このクマめちゃくちゃ速いぞ。マズイ、森の出口分からなくなったぞ。これじゃ、ずっとこの森で生活することになる。それだけは避けたい。
「俺のスピードを舐めてくれるなよ!!」
そうして全速力で逃げること5分。
「グガァァァ!!」
「お前しつこいんだよ!!」
全然逃げきれてなかった。いやこいつ、しつこすぎるんだよ。なんでこのスピードに着いて来れてるんだ。というかスタミナ多すぎだろ。
あれ? 待てよ?
俺魔王で勇者くらいしか、張り合える敵なんて居ないはずなのに。
「なんだ俺逃げてるんだ?」