魔王を辞めるってマジで?
「魔王を辞める? 何を言ってるんだお前」
「だから、そのままだって。俺は魔王を辞めます! だって、俺魔王なんてやりたくないし? それに別に戦う気もないし?」
というか俺が魔王をしたところで、この国をまとめ上げられるわけないし。外政どころか内政すら出来ない自信がある。
一応ステータスをチラッと見た感じ、魔王なので当然かなり強い。
でもそれと戦うかどうかは別だ。俺は、グータラスローライフを満喫したい!
「ま、そういうことだ! 良かったな、これで魔王を討伐する必要も無くなった!」
「確かに、それもそうだな」
「あの、俺が言うのも変だが、そんなすぐ受け入れるものか?」
「魔王を辞めるんだろう? なら、俺がお前と戦う必要も無くなったし、魔王の脅威がないなら終わりだろ?」
「お前••••••バカだな」
「どの口が言ってるんだ」
「確かに、辞めると言ったのは俺の方だが、こんなにすぐ受け入れるものか?」
「え、うん」
なんだコイツ。さっきまでめちゃくちゃ疑ってきてたくせに、変なとこ純粋だな。
「よし、それじゃあ俺はただの一般人として生きていくから、この城とかは好きにしてもいいぞ! それじゃあな!」
こうして、俺は魔王を辞めた! いや、ステータス的にはまだ魔王のままらしいんだけど。
そして今はブルゴス王国に居る。ここで一般人Cとして暮らすのが俺のやる事だ。
なんでAじゃなくてCなのかって?
だって、Aって実は意外と目立つじゃん。俺はマジで全然目立たないCくらいでいいんだ!
「さて、これからどうしたものか」
勢いで辞めて来たものの、そういえばプランを考えていなかったな。
うーん、一般的な職だと、農民あたりなんだろうが、そんな重労働は俺のスローライフにふさわしくない! 却下!
「よし、冒険者になろう」
冒険者なら自由だからな。モンスターの討伐だとか、薬草採集だとか、面倒ではあるけど、自分のペースで自由に出来る分俺に向いてるはずだ。
「失礼しまーすっ!」
「冒険者ギルドをようこそ」
「冒険者になりたいんですが!」
「新規登録ですね。それではお名前をご記入下さい」
名前!? そういえば、名前ってなんだ!?
確かゲームでは、魔王の名前は魔王だった。魔王の名前なんて作中で出てなかったぞ。どうしよう。
「えっと、名前のご記入を••••••」
ど、ど、どうしよう。えーっと、えーと。名前名前。よし思いついた。
「レナード••••••っと」
「レナード様ですね。それではステータスを確認させて頂きます。この装置に手をかざしてください」
ステータス!? 俺のステータスって絶対異常に高いよね!? 称号も見えちゃうし、マズイぞ!?
「レ、レナード様?」
「いやなんでもない。わかった••••••!」
ここは一か八か!
「えっ? 称号、魔王••••••?」
ですよねー。あ、これ、終わった。