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Level.57 作戦

Level.57 作戦

みんなでハンバーガーを食べた後、レイニーたちは相手の出方を窺っている停戦状態であるメデューサ軍に打ち勝つための作戦会議をすることになった。

 メデューサ軍と戦っていたキュリアとレイクスの話によると、メデューサ軍団の石化魔法が厄介でなかなか前に進むことができず、メデューサ軍の総大将ヒュドラの元まで進むことすら出来ずにいたのだという。

「キュリアさんの氷魔法とレイクスさんの遠距離からの攻撃を持ってしてもメデューサ軍は手強いということですか…。」

「だが、これからは光属性の魔法が使えるハルストをメデューサ軍に対抗するために前線に行かせることができる。ハルストには悪いが頼るしか…。」

「ジルビド様、私は大丈夫です。ぜひ前線でメデューサたちの動きを止めて見せます。」

唯一光属性の魔法を扱うことのできるハルストを前線に行かせることに少し罪悪感があるであろう、ジルビドがハルストに対して眉を下げてそう言うと今まで黙っていたクルエラが口を開いた。

「ドラゴンのノアリー殿の力も借りよう。」

「ノアリーの力…ですか?」

「ああ。ヒュドラの元まで近づけないなら、私らの方から出向けばいいのだ。ノアリー殿の力で数名運んでもらい、上空からメデューサ軍の中枢へと向かう。」

「それならヒュドラのとこへも一直線だな!ずっと後方支援部隊で待機を喰らってたノアリーもこれで大活躍じゃねぇか!」

 クルエラの作戦にライクスが豪快に笑ってそう言った。ノアリーは偵察で力を発揮して貰ったし、いざという時のために後方支援部隊の護衛として待機をクルエラから命じられてモヤモヤとした表情で待機を受け入れていたのだった。

「では、その作戦で行こう。作戦の決行は朝8時。それまで皆んなはゆっくり休んでくれ。」

「はい!」

 レイニーたちは作戦会議をしていた司令部のテントから出ると夜になっても星の見えない魔界の空を見上げてから仮眠用のベッドが並べられている休息のテントに向かった。

 そして、朝6時までいつものベッドよりも硬いベッドで寝付きが悪かったが、少しの間眠ることができたのであった。

 朝6時になりレイニーが体を起こすとリトも体を起こして目が覚めたようだった。

「おはよう、レイニー。」

「おはよ、リト。よく眠れた?」

「まぁ、冒険者やってて長いからこういう硬いベッドには慣れてるからな。それなりに眠れたよ。」

「いいなぁ。私は慣れなくて寝付きが悪かったよ…。」

「ははは、最初はそういうもんだよ。さ、朝ごはんを貰いに行こう。」

「うん。」

 レイニーたちが仮眠用のテントから出ると魔界の空が少しだけ明るくなっていた。そんな空を見てから支給班の用意してくれた朝ごはんをもらっててんとのそばで朝ごはんを食べているとライクスレイクス兄妹も起きてきたようで朝ごはんのトレーを持っていた。

「私たちも一緒にいいかしら?」

「はい、どうぞ!」

 レイクスがレイニーの隣、ライクスがリトの隣に腰を下ろしてテントのそばで4人で食事していると、リトが盛大なため息を吐いた。

「リト…、言いたいことは分かるけど、食事中に盛大なため息を吐かないでちょうだい。」

「だってさぁ、レイニー…。昨日のふかふかのパンで作ったハンバーガーを食べた後だとこのカチコチのパンと塩辛いスープを食べると溜息も吐きたくなるだろ?」

「支給班が作ってくれた料理に文句は言わないの。カチコチでもスープに浸せば食べれるでしょ?」

「うう…、愛しのハンバーガー…。」

 レイニーとリトのやり取りを聞いていたライクスレイクスも苦笑いをしてカチコチのパンと塩辛いスープをなんとか完食したのだった。

 その後レイニーは後方支援部隊のテントの中でも武器のメンテナンスをしてくれる鍛治師のいるテントを訪れた。

「すみませーん。」

「お、今度はお嬢さんの武器かい?」

「はい。昨日少し酷使させてしまったかと思って…、研磨をお願いします。」

 テントにそろーっと入ると頭にタオルを巻いている鍛治師のおじさんが簡易的な炉の前で作業をしていたので、声をかけると振り向いて炉から離れてカウンターの前に来た。

「この武器なんですけど。」

 レイニーはカウンターに雷光の槍を置くと鍛治師のおじさんは武器を持ち上げて刃先の部分をくまなくチェックした。

「この武器は結構な耐久性を持っているようだから、少し使いすぎたくらいじゃ折れないだろうよ。研磨をしておくから少ししたら戻ってきてくれ。」

「分かりました。よろしくお願いします。」

 レイニーは雷光の槍を鍛治師のおじさんに預けてテントを出た。

 そして後方支援部隊の救護班のテントに向かうとダークエルフの少女の様子を窺いに行った。

「レイニーさん。まだこの子は昏睡状態で目を覚ましていません…。」

「そうですか…。最善の治療よろしくお願いします。」

「エルフは我々人界側の者です。魔界に連れてこられて苦しかったでしょうに…。人界の森に返してあげられるよう、私がしっかり見ておきますから。」

「はい。お願いします。」

 レイニーはダークエルフの少女の額にかかった前髪をそっと撫でてから救護班のテントを出た。そのタイミングで鍛治師のテントに戻るとレイニーの雷光の槍のメンテナンスが終わった頃のようだった。

「お嬢さん、ナイスタイミングだ。今この槍のメンテナンスが終わったところだよ。この槍は凄いな…、耐久性もさることながら切れ味が抜群のようだな。どんな素材を使って作られたか分かるかい?」

「私が星屑の海洋石と天海の琥珀と雷竜の鱗を取ってきてそれを元に特注で作ってもらいました。」

「ほう、それでこの耐久性…。素晴らしいものを見させてもらったよ。私はここで武器を研ぐことしか出来ないが、お嬢さんたち冒険者が頑張ってくれるのを祈ってるよ。」

「はい!絶対魔神軍に勝ってみせます!」

 レイニーは鍛治師のおじさんにお礼にお金を払ってからテントを出ると、作戦決行の時間が迫ってきていた。レイニーが司令部のテントの近くまで行くと今回の作戦のキーマンであるノアリーとハルストが待機していた。

「遅くなりました!」

「いや、時間通りだ、レイニー殿。」

 レイニーが小走りでノアリーの元に訪れるとクルエラが司令部のテントから出てきた。

「レイニー殿とハルスト殿には先行してメデューサ軍を内側から倒すことに尽力してくれ。私たちもすぐにメデューサたちを滅ぼしてヒュドラの元へと向かおう。

「分かりました。合流するまで持ち堪えてみせます!それでは!」

 レイニーとハルストはドラゴンの姿になったノアリーの背中に乗るとノアリーの"行くぞ!"と言う声と共にふわりと巨体が浮き、メデューサ軍の上空へと向かったのだった。

 ノアリーはメデューサたちに気付かれないよう、後方支援部隊のテントから飛び立ってからかなりの高度まで上昇していた。風を切って進むノアリーが下の状況を見てレイニーたちに声をかけた。

「ほれ!もうメデューサ軍の中心まで来たぞ!」

 レイニーがそーっと下を覗くと1万いた兵力が減ってはいるがいまだにうじゃうじゃといるメデューサの軍勢にレイニーはこれからその中心に向かうのだと思うと身が引き締まる思いだった。そして隣にいるハルストと顔を見合わせて頷き合うと揃ってノアリーの背中から空にダイブした。

 ひゅおおという風切音が耳に響いて周りの音が取りづらく、目を開けてあるのもやっとな状況だが、レイニーとハルストはメデューサ軍の中心に向かってレイニーは雷の鉄槌、ハルストは光属性の魔法攻撃、ライトニングアローでメデューサ軍に攻撃を仕掛けた。

 ハルストの魔法攻撃ライトニングアローは光を放つ片手剣で空に弓の形の線を引きそれを弓として片手剣を矢として引き絞り広範囲に光の矢の雨を降らせるものだった。

 レイニーはハルストが初めて見せた広範囲の魔法攻撃にびっくりした。それでも、光の矢の雨を浴びても生き残ったメデューサたちを屠るためにレイニーは上空からのダイビングで得た落下のスピードを上乗せして雷の鉄槌をメデューサたちの脳天にぶつけた。バリバリバリ!!!という落雷の音と共にメデューサの頭をカチ割り、そして地面に広範囲で電撃が走り次々とメデューサたちは感電し光の粒子となって四散して行った。

 メデューサたちが"奇襲!奇襲!"と騒いでいる間に地上になんとか着地したハルストとレイニーが石化魔法を使われる前に次々とメデューサの懐に入って研磨されたての切れ味抜群の槍でメデューサたちを串刺しにしていった。

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