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Level.42 "星屑の海洋石"と"天海の琥珀"

Level.42 "星屑の海洋石"と"天海の琥珀"

日が落ち、暗くなってきた鉱山への道をレイニーは歩いていた。"星屑の海洋石"が採れるという湖までは坑道を通るといいとラッシュの武器屋の店主から聞いたので、レイニーはその坑道までの道のりを進んでいた。

 しばらくすると、明るく照らされた坑道の入り口が見えたので、そこから入って行くと、どこからかまだ仕事をしているであろう、カツンカツンという鉱石を掘り起こす音が響いて来た。レイニーはその音を頼りに前に進んでいると、屈強な鉱山の男たちに出会うことができた。

「おや、嬢ちゃん。今からラッシュの鉱山に登るのかい?」

「はい。"星屑の海洋石"と"天海の琥珀"を手に入れたいので!」

「おお、その2つなら、確かにこの先の湖で採れるぞ!"星屑の海洋石"は魔力に反応すると聞く。採るときは参考にしてくれよ!"天海の琥珀"は流れ星の中に入っているから、これを使うといい。」

「これは…?」

「簡易ピッケルだ。丈夫だし、扱いが初めてだろう嬢ちゃんにも使えると思うぜ!いい鉱石が見つかるといいな!じゃ、俺は仕事に戻るよ。」

「何から何までありがとうございました!頑張って見つけてきます!」

 レイニーは鉱山の男から、簡易ピッケルをもらい、鉱石の情報までゲットすることができた。レイニーはお礼を言うと、坑道の中を突き進んでいった。幸い、湖までの道しるべが坑道の中にあったため、迷うことはなく、坑道の先で出口を見つけることができた。

「出口だ!」

 レイニーが走って出口に向かって行くと、既に外は夜の帳が落ちていて、星たちが瞬く夜になっていた。これなら、"星屑の海洋石"も採ることができるだろう!と思い、レイニーは湖を目指した。

 湖は坑道を出てから直ぐの場所にあったので、レイニーは湖の底が淡く光っているのに気が付いた。

「あれが"星屑の海洋石"かな…?でも、湖の中なんてどうやって採りに行けば…?」

 レイニーは湖のほとりで、"うーん"と考えた。すると、近くにボートが置いてあったので、レイニーはこれだ!と思って、そのボートを借りて、水底が淡く光っている地点まで、ボートを漕いで向かった。少しぎこちなかったけれど、なんとか光っている地点まで来たはいいものの、レイニーは水底に沈んでいる鉱石をどうやってとればいいのか分からなかった。

「ど、どうしよう…。あっ!さっきの男の人が"星屑の海洋石"は魔力に反応するって言ってた…。もしかしたら…。」

 レイニーはぴちゃんと湖に手を突っ込み、手に僅かな雷属性の魔力を込め始めた。ぱちっという軽い静電気が起こると、電気は水の中ということもあり、少し広範囲に広がった。レイニーが湖の水の中で魔力を放ったことで、レイニーの手にコツンと何か硬いものが当たる感触があった。レイニーはそれを掴むと、ばしゃっと水から引き揚げた。それは夜の星空のような紺色に白い斑点がついている鉱石だった。

「もしかして、これが"星屑の海洋石"かな!よかったー、案外簡単に採れた!」

 レイニーはその鉱石を持って、湖のほとりまで戻ろうと思ったが、先ほどのレイニーの電撃によって、湖の中で泳いでいた魚たちが痺れてぴくぴくしている状態で打ちあがっていたので、申し訳なく思って、その魚たちを鉱山の男たちにでも振舞ってあげようかなと思い、魚たちを獲ってきたのだった。こうしてレイニーの新しい武器の材料の1つ目の"星屑の海洋石"を手に入れることができたのであった。

 ――――――

 再び坑道を通ってラッシュの街に帰ると、夜になったこともあり、街では仕事終わりの鉱山の男たちが酒場で盛り上がっているところだった。レイニーは"星屑の海洋石"を採った時に副産物で手に入れた魚を持って、酒場を訪れた。酒場の人に魚を捌きたいんだが、調理場を貸してもらえないだろうかと頼むと、最初は断られると思ったが、レイニーがあの喫茶レインの料理人のレイニーだと知るや否や"どうぞ、使ってください!"と言われたので、その変わり様にレイニーは苦笑いしつつも"お借りします"と言って厨房に入った。

 魚の捌き方がザルじいに前に教えてもらったことがあるので、レイニーはそれを思い出しながら、湖でとれた魚たちを捌いて料理を作っていった。

 刺身は当然、煮つけやフライなども作って、酒場の人達に手伝ってもらって、盛り上がっている鉱山の男たちの元に運んでもらうと、レイニーに気付いた、坑道で出会った男性がレイニーを指差した。

「あっ、嬢ちゃん、夕方に出会った!」

「覚えててくれてよかったです。あの後無事に"星屑の海洋石"を手に入れることができました!情報とか簡易ピッケルとかありがとうございました!湖で獲れた魚を使って料理を作ったので、是非食べてください!」

 レイニーがそういって、お造りや煮つけを酒場のテーブルに運ぶと、鉱山の男たちはじゅるいりとよだれを垂らしていた。

「こ、これ、嬢ちゃんが作ったのかい?」

「はい!私こう見えてピーゲルのという街で飲食店をやってまして。」

「ピーゲル…あっ、最近話題の喫茶レインとかいう…?」

「そうです!知っててもらえて嬉しいです!そこで料理人をやってます!料理たちの味は保証しますので、冷めないうちに食べてください!」

「嬢ちゃんがそんなすごい子だなんて思わなかったぜ!ありがたく、頂くよ!」

 そういって鉱山の男たちは我さきにと、刺身のお造りや煮つけ、フライに手を伸ばして、パクリと食べた。すると、次の瞬間。

「なんだこれ、めちゃくちゃ美味いぞ!この甘辛い煮つけのタレが美味い!」

「フライ?ってやつもサクサクしてて美味いぞ!」

 と大興奮で料理を食べてくれた。鉱山の男たちは自分たちだけその料理を食べるのも悪いと思ったのか、酒場の隣の席で魚料理を羨ましそうに見ていた旅人までもを巻き込んで、皆で魚料理を食べ尽くしたのであった。

 ――――――

 酒場で魚料理を振舞った後、レイニーは食器の片付けも自ら買って出て、皿洗いをすると、日の出まであと2時間程度となったことに気付いた。

「もうすぐ日の出か…。このまま"天海の琥珀"も採りに行っちゃおうかな…。」

 酒場の人に挨拶をして、出ると空が次第に明るんできたので、早いところ鉱山に行こうと思い、レイニーは"天海の琥珀"が手に入るというラッシュの街から北東部の山、フログレッグ山に登り始めた。フログレッグ山は初心者にもやさしく、登山道が整備されており、登りやすかった。レイニーはあっという間に頂上に到達し、まだ明朝の流れ星が落ちていないか頂上部分を探した。

 だが、まだ流れ星が落ちてきていないようで、どこを探しても"天海の琥珀"のような鉱石を見つけることができずにいた。

 そんなとき、レイニーが天を仰ぐように落胆していると、朝焼けに染まる空からキラリと何かが光るのを見つけた。その光は少しずつレイニーのいるところに近付いてきているようで、レイニーはもしかして…!と思いつつ、その場にいるのは危ないと判断して、少し登山道を下って。頂上から離れると、いくつかの流れ星がコロンコロンと頂上に落ちてきたので、その流れ星が止むのを待ってから、レイニーは再び頂上に登った。

 そこにあったのは朝焼けの空を閉じ込めたような水色とオレンジに染まった鉱石がコロコロと落ちていた。

「これが"天海の琥珀"かな…?琥珀っぽい色もしてるし、そうだよね!」

 とレイニーはその場に落ちていた"天海の琥珀"を数個手に持つと、上機嫌でフログレッグ山を下りたのだった。

 レイニーはそれからテレポート結晶で、ピーゲルの街に帰ってくると、時刻はザルじいも起きてきている時間だろうと思った。

「ただいまー。」

「おや、レイニー。おかえり。そしておはよう。朝帰りとは珍しいの。」

「それが武器の素材を集めるのに、寝てなくて…。これからちょっと寝てくるね…。」

「ほっほっ、そうじゃったか。ゆっくり寝てきなさい。」

 ザルじいと朝の挨拶を交わしてから、部屋に行くと、レイニーは昨日から一睡もせずに、夜には"星屑の海洋石"を採りに、朝方には"天海の琥珀"を採りに行ったので、眠気が今になって襲い掛かってきたので、その眠気には逆らわず、防具を外すと着替えるのもはばかれ、レイニーはベッドに倒れ込むと、ぐっすりと眠ったのだった。

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