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Level.35 骨のリヴァイアサン

Level.35 骨のリヴァイアサン

ジルビドからノアリーをグランドクエストに招集したいとの話を持ちかけられたその日、レイニーはお昼を少し過ぎた時間に森を訪れた。いつもの特訓の場所…森の小屋の近くの開けた場所でノアリーは人間の女の子の姿でレイニーを待っていた。

「遅いぞ、レイニー!って誰じゃ?その隣の男は。」

「ノアリー、遅くなってごめんね、ちょっと話を聞いてくれるかな?」

「?なんじゃ?」

 レイニーはまず来るのが遅くなってしまったことを謝罪してからノアリーにジルビドの紹介をしてグランドクエストに一緒に出て戦ってくれないかと言う話をした。するとノアリーはケロッとした顔で"良いぞ"と返事をした。

「えっ!?ノアリー、いいの?」

「我は魔物や人間とは違う、聖獣という括りの生き物じゃ。魔物側に付くことはないし、この世界を魔物に乗っ取られるのも釈じゃから。レイニーにはご飯の恩もある。力になれるなら我の力を貸すとしよう。」

「ノアリーくん、ありがとう!」

 ノアリーが人界側の陣営に協力してくれることが決まり、ジルビドとハルストは冒険者ギルドに帰って行った。その後レイニーとノアリーはサンドイッチを一緒に頬張りながら、先ほどのグランドクエストのことについて話した。

「ノアリーは魔神のことどれくらい知ってるの?」

「我の知ってるいる限りでは…、魔神は自然豊かな人界を羨み魔物どもを操ってこの世界もろとも自分の支配下に置きたいと言った感じじゃの。魔神というだけあって、その力は神に匹敵するほどだ。明日のスケルトンマスターとの戦いは魔神を退ける絶好の機会じゃ。レイニー、今日まで特訓してきた成果を明日、披露できると良いな。」

「そうなんだね…、頑張る!」

 レイニーはサンドイッチを持ってむきっと力瘤を作ってみせると、ノアリーは"その意気じゃ"と嬉しそうに笑ってくれた。

 ――――――

 グランドクエスト当日。朝食をしっかりと食べたレイニーはザルじいに見送られ、街の広場にやってきた。広場の入り口にはリトとノアリーが待っていてくれた。リトにはピーゲルの森で魔法攻撃の特訓をしていたことや、ノアリーのことも既に報告済みであった。そのため、レイニーとリトはノアリーを他の冒険者から絡まれるのを警戒して話しかけられないようにガードしつつ、グランドクエストが始まる時間まで待機することにした。

 そして午前9時。広場の入り口付近にお立ち台が設置されるとその上にピーゲルの冒険者ギルド、ギルド長のジルビドが乗り、声高らかに宣言した。

「皆、今回はグランドクエストに参加してくれてどうもありがとう!これよりグランドクエストを開始する!魔界に向かうための転移魔法陣は冒険者ギルドで用意させてもらった。準備ができた者から転移魔法陣に入ってもらい、魔界で全員が揃うまで待機してほしい。それでは皆、勝とう!」

「おおーっ!」

 ジルビドの演説が終わると、今回のグランドクエストで集まった200人前後と思われる冒険者たちがゾロゾロと広場に設置された転移魔法陣の元へ移動し始めた。レイニーとリトとノアリーは人が減ってきた終盤の方で転移魔法陣の元に向かった。レイニーが名前を告げると参加者名簿に印を付けていたシルビーが顔を上げた。

「レイニーちゃん、無事に帰ってきてね。」

「はい!」

 シルビーから激励を貰い、レイニーは転移魔法陣により、魔界へと向かった。初めての魔界はどこか空気が重く、空が夕焼けから夜に変わる時のような幻想的だが不気味な感じもするそんな世界だった。レイニーがキョロキョロとしていると、次に転移魔法陣で飛んできたリトとノアリーと合流すると、一番最後に転移魔法陣を使ってきたジルビドがやってきて、直ぐに後方支援部隊の設置を開始した。その間にスケルトンマスター率いるスケルトン軍団の様子をノアリーに見てきて欲しいと、ジルビドに頼まれて、ノアリーはその場で体を光で包み、女の子の姿からドラゴンに変身すると、バサっと翼をはためかせてスケルトン軍団がいるであろう方角に飛んでいった。冒険者からは"どうしてドラゴンが!?"とか"ドラゴンが俺たちの陣営に!?"などと驚きの声が上がって少々ざわついたが、レイニーたちは苦笑いでその場を乗り切るしかなかった。

 それからスケルトン軍団の様子を見にいっていたノアリーからの報告で転移魔法陣でやってきた地点から北西に5kmのところにスケルトン軍団を確認したとの情報を得たジルビドは後方支援部隊で前線からの情報を整理し、前線で戦う冒険者たちの指揮をするため、後方支援部隊に残り、指示を出すことになっていた。前線の指揮はジルビドの補佐官のハルストが担うことになった。ジルビドからの指示でレイニーたちはスケルトン軍団がいる北西に向かって走り始めた。

 200人前後が一気に走り出して、魔界を駆け抜けていくと、2km地点あたりで前に白い骸骨たちのスケルトン軍団を辞任することができた。一旦移動をやめてスケルトン軍団まで残り1kmを切ったところでハルストが魔法使いたちに遠距離攻撃の準備に入らせた。スケルトンたちが続々とレイニーたちが待つ地点まで残り500mというところで、ハルストが叫んだ。

「攻撃開始!!」

「うおー!!!!」

 ハルストの合図と共に魔法使いたちの遠距離魔法攻撃を繰り出すとスケルトン軍団の前衛はすぐに壊滅状態になった。

 骸骨であるスケルトンであるだけあって、光魔法には弱いらしく、魔法使いたちが繰り出す魔法で次々とスケルトンたちは光の粒子となって四散していった。そんな攻撃を横目で見つつ、レイニーはリトと共にスケルトン軍団に近付いて槍などの武器での攻撃を始めた。

 カラカラと骨を鳴らして攻めてくるホラーのようなスケルトンにレイニーは内心悲鳴をあげていたが、ここで怯んでいてはスケルトンマスターなど倒せないと自分に鞭打ち、次から次へと襲いかかってくるスケルトンを槍で突き、少しだけの魔力を纏った武器で倒していった。

 前衛にいるスケルトンたちは簡素な防具を身につけているか、はたまた何も装備していない初級のスケルトンたちが占めており、レイニーがスケルトンたちの奥の方を見ると、重装備を纏っている上級スケルトンもいることから、スケルトンマスターに近付けば近付くほど、強いスケルトンたちが現れることに気付いたレイニーはリトと視線を交わし、頷きあった。スケルトンたちの攻撃を避けながらレイニーは武器に魔力を込め始めた。キュリアと共にオーガと戦った時よりも魔力操作が上手くなり、レイニーはすぐに魔力切れを起こさないギリギリのラインで雷の槍を発動させた。それと同時にリトも双蒼牙狼という青い狼のような炎を双剣に宿して繰り出すことで広範囲に炎の攻撃をすることができる魔法攻撃を出した。レイニーの雷の槍は初級スケルトンたちを次々と薙ぎ倒し、数百メートルも突き進んでようやく止まった。初級スケルトンはレイニーの雷の槍とリトの双蒼牙狼で全滅し、中級スケルトンを2分割するほどの攻撃力を見せつけた。

 そんな状況もスケルトン軍団の親玉、スケルトンマスターにも報告が上がってきていた。魔神が復活していない今、魔神軍四天王が1人のこのスケルトンマスター様が成果を上げなければ、魔神様に示しがつかないとスケルトンマスターは怒りで震えた。だが、スケルトンマスターにも秘策があった。だが、今この状況でそれを出してしまうと、自軍にも被害が及んでしまうため、スケルトンマスターはこの秘策はまだ取っておこうと考えた。そんなことを思っていると、人界の冒険者軍が上級スケルトンたちがいるところまで攻めてきたので、スケルトンマスターは不思議に思った。なぜここまで進行が早いのかと。そして、従者のスケルトンからの報告で金髪の女冒険者と銀髪の男の冒険者がどうも前線でスケルトンたちを一気に倒したのだと聞いた。そこでスケルトンマスターは従者のスケルトンに2人を分断させ、分断させて先で殺せと命じた。スケルトンマスターの出した伝令はすぐにスケルトンたちに知れ渡り、前線で武器を振るうレイニーとリトに集中攻撃をした。流石に2人を何百ものスケルトンたちが襲いかかってくるとよろけてしまい、その隙にレイニーとリトは上級スケルトンの打撃武器でホームランよろしく、遠くに吹き飛ばされてしまった。

 レイニーは空中で体勢を整えて、地面に激突する前に槍を地面に突き刺してなんとか着地をした。だが、先ほどまでいたスケルトン軍団との戦いの最前線から離れてしまったので、レイニーは早く戻らなければと思っていると、レイニーの足元の地面から骨が次々と現れ、ある一つの骨格へと変わった。そうここでレイニーを仕留めるためにスケルトンマスターが秘策である海の魔物、リヴァイアサンのスケルトンを繰り出してきたのだった。

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