平和という安息と代償
パル達を監視していたカオス教の集団は魔王ゼルスを封印する事に成功はしたが倒すことまではしなかった。一応の成功はしたカオス教の集団は二手に分かれて行動を始めた。二手に分かれた集団の一つはそのままアルカット神殿に戻って次に備えようとした。もう一つは王都アナタリアにいるベリオレットに今までの事を報告する集団に分かれて行動を開始した。報告に行く集団は魔王城から何日もかけて王都アナタリアに辿り着いた。
アルカット神殿に送った指示が届くまでにパル達を追っていた人間達が戻って来た事を知ったベリオレットはその人間達に謁見の間で会う事にした。謁見の間で報告する為に戻って来た人間達に会い報告を受けた。受けた報告は魔王ゼルスを封印したという報告だった。その報告を受けたベリオレットは心の中で『しまった・・・・・・魔王ゼルスが封印されてしまってはパル達を倒す事が出来ない』と思ってしまった。ベリオレットはしばらく考えた後に王様としてパル達を英雄として迎える事にした。
パル達は魔王ゼルスが突然フードを被った集団に封印されたことに違和感と衝撃を覚えていたが魔王が封印された以上魔王城にいても意味がないと思って勇敢な王が待っている王都アナタリアまで帰る事にした。帰り道の町で魔王討伐の話は広がっていき人々は喜びの声と笑顔に満ち溢れていた。空は魔王の暗黒のオーラを吹き飛ばしたような晴天になっていた。魔王討伐の報は人々によって国全体に広まっていきパル達は帰り道で人々に英雄と呼ばれて讃えられていた。歓喜の声は雨のようにパル達に降り注いだ。パル達は何日もかけてようやく勇敢な王が待つ王都アナタリアに戻ってきた。
城の中に入ると城の中でもみんなの歓喜の声が溢れていた。城の中でしばらくゆっくりとしながら謁見の間へと向かった。謁見の間に行くと兵士から王が会うから謁見の間に入ってくれと言われて謁見の間へと入った。謁見の間に入ると王が居て二度目の謁見になった。パル達は謁見の間で王から労いの言葉を受けてパル以外のツクレード、オルドラ、リメリアは喜んでいたがパルは王が時より見せた不敵な笑みが気になっていた。この不敵な笑みを見た事があった。最初の謁見の時に見たあの不敵な笑みだった。王との謁見が終わり玉座の間を出て行った。
タリスタは封印された魔王ゼルスの前で立ち尽くしていた。フードを被ったカオス教の集団も魔王ゼルスを封印した後そのまま去っていき四人組も魔王城を去って行きパル達も去って行った。誰もいなくなった静けさが残る魔王城でただ封印された魔王ゼルスとタリスタが寂しく残っていた。タリスタは昔のサタスンが逃してくれたあの時から成長していたはずだった。だがあの時から変わっていなかった。只、自分の無力さを押しつぶされそうになっていた。しばらくゼルスとタリスタの時が経ってある異変にタリスタは気づいた。封印された魔王ゼルスから微かに音がしていてタリスタはその音の正体を探していた。すると封印されている魔王ゼルスの鼓動が微かに聞こえていた。タリスタは封印が完全なものではない事を知ると封印を解く方法を見つける為に魔王城を後にした。タリスタが去った魔王城ではある人間が・・・・・・