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略奪されし理想郷
■■■■年■月、人類は戦わずして敗北を期した。まさに一瞬の出来事だった。宙から降りてきた7つの大きな鉄の塊はアメリカ、イギリス、ロシア、イラン、オーストラリア、中国、日本、これら7ヶ国の首都を消滅させた。これは比喩ではなく、首都のあった場所は実際に白紙化した。
7つの首都は消失し人々は統制を失った。我々人類にはこの脅威に抵抗する術がない、ただ服従する道のみが残された。
■■■■年■月、首都が消失し人類が被支配種族としての道を選択したあの日から数年が経った。我々人類は選択を誤った。もうこの世界の何処にも自由はない。自律型軍用機が至るところに配備され、人々は働く必要がなくなった。全てが半径1m以内で完結し惰性を貪るようになった。多くの人間が幸福であると誤認している。
我々は知性体としての好奇心の探求を禁じられ、知的生命体としての存在意義を失った。研究者の多くが自律型軍用機によって連行された。おそらくは反乱分子とみなされたのだろう。この星ではもう知性を持つことは許されない。[とある手記より抜粋]