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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第7章 うさぎさん達、外海旅行に赴きます
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78話 うさぎさん達、村の手助けしてみる その2

【変態しばきの討伐に行ってなう】


 村を出てから数分。


 言われたとおりの道のりを進んで行くと、それらしき目立つほこらが見えてきた。

 岩壁にぽつり空いた大きな穴が1つあり、いかにも魔物のすみかだという雰囲気が漂いさせつつ。

 目の前の入り口で足を止めた。


「本当にここにいるんかね? 序盤の弱いボスが住み着いているような場所だけど」

「……村人さん曰くここで間違いないみたいですね。とりあえず愛理さん足を止めず先を急ぎましょう」


 顔に書いてあるぞ。「いいからはよせえ!」と。

 スーちゃんがそんな粗暴な言い方するわけないと分かっているよ。いやもし私のような荒々しい言い方でもしてみろよ。タグにキャラ崩壊注意ってつけないといけなくなるから。


 どうやらここがその変な名前を持つ。

 ロリ魔神とかいうモンスターのすみかみたいだ。

 怪しいにおいは微塵も感じないが用心した方がよさそうだな。もしかしたら油断していると隙あり! と不意を突かれることも視野に入れないといけないからね慎重は大事。

 それはそうとだからなんだよその変な名前はさ。


「そのロリ魔人ってやつ本当にこんなところにいるの? 私てっきり城かどこかにいるのかなぁって」


「……いますよきっと。情報が確かなので確信は持った方がいいかもですミヤリーさん。あと棺桶になったら今回は私とことんスルーしていきますのでそこのところよろしくです」

「そ、そんなぁ!? 私はついにスーちゃんの重荷になったというの? これだとまた私の長い棺桶生活が!」

「なわけあるかいな。……ほらミヤリー今日さっき言ってなかったけどスーちゃんパンツ取られて気が立ってるから」


 いつになく過信するスーちゃん。

 ははーんと納得するミヤリーは珍しくしかめる顔をしたスーちゃんに面食らったような顔をしていた。まるで彼女は危険信号の赤を発するようにそれ以上多弁は述べまいと。


 余程パンツの恨みが強いらしい。

 パンツごときでなに真に受けているのだと水を差したくなるが、彼女のしゃくに障りそうになるので控えておく。フラグ立てて迂闊に下らないこと言ったらこっちが殺されそうだ。


「ミヤリーさん、誰だって怒るときは怒るんですよ。私だって食事取られたら非常に怒ります。……めっちゃ怒ります。甚だしくおこります」


 シホさんの基準ってそこ!? 同情することはできるけどあれ怒るんだ。


「でもさ、こんなところにへんてこモンスターいるの? 全然そのようには見えないけど」


 奥から漂うのは静寂。

 微かに外から入っていく風の音が中から聞こえてくるが、モンスターの足音1つさえ響いてこない。

 手下と窺える敵は現れず、空気を読んで風がヒューと吹いてきた。はい過疎乙。


 なんかぼっち系のモンスターなのかな。

 それなら私達が有利で相手が不利。ハンデを付けた方がいいのではこの状況。俺TUEEEE系みたいに乱暴に無双するといった一環のテンプレ処方は何回も言っているけど私は好かない。自ら躍り出てタイマンしてもいい気が……あ、でもスーちゃん怒りそうだしやめとくか。少女の怒りに触れてはならないこれ確信。


 いるかいないかは入った後で明白。そういうのは自分の目で確かめろと誰かが言っていた気がする。ゲームで例えれば最初からボスの名前と行動パターンが分かっているとか、そんなんじゃ絶対面白みがない。


 とりま自分達の目で現状を把握するのが一番だ。


「……いますって! ですから愛理さんそうやって棒立ちしないでくださいよ」


 無気力な様子で腕を組んでいると、スーちゃんが何か言ってくる。

 何に増長しているかは理解しているつもりだが、人って辱め受けるとこうも顔が変わるものなんだね。アニメとかでよくある特定のもので人格が変わったりする系のキャラもいるけど彼女はその亜種か分からん。


 うーんこの。

 彼女も真剣な様子だし、こちらもそれに応えて取り組むべきか。


「まあまあスーさん、パンツは必ず取り返すとして早く中に入りましょう」

「……それもそうですね善は急げですね」


 ナイスカバーだぜシホさん。

 とシホさんの言葉もあり、そのほこらの中へと足を運んだ。


☾ ☾ ☾


 ほこらの中。

 ほこらというより、内部は少々小さめの洞窟だった。

 RPG初心者が、最初に訪れる街の住民から頼まれていくことになる初心者用ダンジョン一言で表すとね。

 壁際には数本のランプはつけてあり、暗い洞窟内を明るく照らしていた。


「静かなところね、こんな場所にそのロリ魔神っていうモンスター本当にいるのかしら」


 それさっき私が言ったセリフ。

 大事なことなので2回言いました的な事をこのお方言っていますが、まだ確信ないのお前さぁ。


「どれほどの相手かはしらないけど、油断しない方がいいかもよ」


 一応忠告。

 なにかとこいつは色々やらかし兼ねないので注意を促しておく。

 だっていつもヘマばっかだし、今回も出オチで死んでいくようなそんなパターン遠慮してもらいたい。


「大丈夫だって。ところで愛理」


 こいつ姑息な手として逃げて話題を転換しやがって。私そんな子に育てた覚えないぞ! なんて思ったり。

 何やら質問が飛んでくるようだが話を変えるくらいそれほど重要な内容……なんだよね? そう思って良いんだよね!?


 ムと口を結んでいるがガチ目な話でお願い……じゃなかったら1ラビット・パンチの刑。

 頼むからどうでもいい内容はよせよな。


「ロリってどういう意味なの」

「え、そこから!?」


 反射的にぴくりと反応してしまう。

 まあ異世界人にとっては、スラング等の言葉なんて一生疎遠的な存在だもんな。

 なぐr……いやなんか空気が重いやーめた。

 というか名付け親は誰だ、狂政かどこかのだれかか!?

 うむあまり検討がつかない。


「ロリっていうのは幼い子を指す言葉だよ、そだね私達でいうスーちゃんみたいな」


 ふいっと。

 シホさんとミヤリーの視線が一斉にスーちゃんへと向けられる。


「……なんですかまじまじと見て」


 恥ずかしそうに胸を覆い隠し、顔を紅潮させるスーちゃん。

 見ないで。

 的なやつだこれ。


「なるほど、スーさんみたいな体格をした人のことをロリっていうんですか。また1つ勉強になりましたね」

「じゃあスーちゃんこれからロリって言ってもいい?」


 はあ。

 これは教えて良かったのだろうか。

 というかミヤリー軽々しくロリって言葉を連呼すんな。アンチが湧いても私知らないよ。


「2人共これだけは忠告しておくけど、あまりスーちゃんみたいな子にロリ呼ばわりするのはあまりよろしくないよ」


 そう言うと2人は顔を見合わせ再び向き直るとしばらく黙りこんだ。こそこそ蚊の鳴くような声で微量な声量で。

 奥へと進んでいるとモンスターと遭遇した。


【カッチンマン 説明;硬い岩のモンスター。転がってくるので要注意】


 円形ボール状のモンスターが姿を現す。

 数は3匹ほど。

 一見たいして強くは見えないが。


「よし来いや」


 身構えて攻撃態勢を取る。

 そのカッチンマンはゴロゴロと転がってきて、こちらへと向かってくる。

 これは楽勝だなと粋がった私は、手の平を前に差し出して相手を受け止めようとした。


 が。


「ぐぶっ!」


 凄い反動によって隅の壁へと飛ばされた。

 物理法則無視してないかこいつら。

 力はこちらが勝っているはずなのに、それを無力と化するような圧力。舐めプしようと片手で止めようとしたら引力に押されるってなんなん?

 私の方を見て仲間達は。


「大丈夫ですか? 愛理さん」

「勢いよく飛んだわね、今どれくらい飛んだ?」

「……ミヤリーさん、口を開く暇があったら戦いましょうよ。アクリア!」


 スーちゃんはそういいながら、中くらいの水玉を作りカッチンマンの方へと発射。

 鉄砲玉のように飛んでいったその水玉は一瞬にして、カッチンマンの体を射貫き粉々に破壊して倒す。

 おぉやるねぇスーちゃん。


 これが水の魔法か。

 随分前は洪水の魔法使っていたけど、あれとは違う別種かな。

 ひょっとするとあちらは、応用魔法の類いかもしれないけど。


 私も応戦しようと立ち上がり。

 しかし不覚にも立ち上がる時に地を思いっきり蹴り、ブーツの効力が働いてしまう。


 ゴン!


 天井に頭を強く強打してしまった。

 すぐさま再び下へと落ち。


「いてて、加減間違えた」


 私としたことが、ブーツの力を無駄に使ってしまった。

 まだ使い慣れていないせいか無意識に使ってしまった。移動魔法なら天井に頭ぶつけてノーダメというのに……これ結構響くいや超響くわこれ。

 こういうのって移動魔法を洞窟で使うとよくなるけど、まさか自分自身で体験することになるとは。


「あの大丈夫ですか? 代わりに私が戦いましょうか?」


 シホさんのさり気ない心遣いは非常にありがたいのだが。


「それには及ばないよシホさん、大丈夫だから」


 再び立ち上がって、今度はちゃんと体制を立て直せた。

 仕切り直して。


「さてと余計なラグがあったけど残り2匹、まとめて蹴散らしてやろう」


 決してフラグを言っているわけではない。

 スーちゃんだけに、いいところばかり持っていかせるのもどうかと。

 両手の拳に力を込めダッシュ。目前にいるカッチンマンを標的に力のこもった拳を2匹に向かって同時攻撃。


「ダブル・ラビットパンチ!」


 上方と下方にパンチを放つと、カッチンマンはそちらの方向へと飛んでいき自然消滅。

 ドロップはなにもなし。

 あれだけ苦労させておいて何もなしかーい! せめて石ころの1つぐらい落としてくれよ。


「ふう、雑魚とはいえ侮れない相手だな」


 仲間の方へと向かって合流。


「……あっさりと片付けましたね。そういうのを瞬殺と言えばいいのでしょうか」


 スーちゃんどストレートな言葉言うねぇ。

 放った拳を下におろし軽くリラックス。案外固かったので甲の部分はやけどしたように痛いんですがそれは。

 


「奥へと進みましょう。まだ微かに何体かのモンスターの気配がしますのでみなさんご用心を……バタン」


 シホさんが空腹で倒れる。あ、そうだったねシホさんそういうキャラでしたね。


「すみません、愛理さんまた私としたことが! ……おにぎりありましたっけ?」

「はいはい。愛理さんが今作りましたよっと」


 空腹で倒れたシホさんにおにぎりを投げ食べさせてあげる私。パクパクと彼女の大きな口によって大きなおにぎりは次第に彼女の体の中へ吸収されていき、小時間のスタミナ源として補給される。


「目指すはロリ魔神のいる最深部ね」

「……私の特大魔法をぶつけてあげますよ」


 やる気満々な仲間達をよそ見に敵の住まう洞窟の中を突き進み、慎重ながらも疎らな通りを歩く私達うさぎさん一行なのであった。

 ロリかブタか知らないけどぶひひwとか言っているんかね相手は。

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