表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第7章 うさぎさん達、外海旅行に赴きます
95/275

77話 うさぎさん達、村の手助けしてみる その1

【困っている人いたら手助けしよう。あ決してお礼のアイテムが欲しいとかそういうわけじゃないから!】


 チルデアに一泊して日を跨いだ私達。

 このまま。

 何事もないのなら行き先へと向かうはずだが。


 そう何事もなければ。

 だがそう簡単に私達を先には進ませてくれないリアルってそういうものだろ?


「はぁどうしたもんかなあ」


 頭をカキカキしながら部屋を一瞥。

 錯乱した汚らしい部屋が目の前に広がる。

 衣類がところどころまき散らされ私は少々気が立つ。


 足下になにかある。

 白いTパン。


【愛理はスーちゃんのパンツを手に入れた!】


「ちょっま!」


【疑いのかけられた百合ロリの称号を手に入れた!】


 いらねえよ!

 なんだよ、疑いのかけられた百合ロリって。

 変な称号つけんな。


「……ふぇ」

「あ」


 目をこすりながら、スーちゃんが目を覚ます。

 まずいですよこれは。

 とTパンを持つ私を見て、意識を取り戻すと。


「…………」


 しかめた顔でこちらを見つめる。

 鋭い目つきがまた怖い。

 なに、その『殺すぞコラ!』みたいな顔。やめてくれない。


「す、スーちゃん? お、おはよう」

「…………愛理さん、なにやっているんですか私のパンツなんて持ち歩いて。……はぁなるほどこの惨状はそういうわけですか、まさかそんな趣味があったとは」


 周りを見渡して状況を把握した彼女は、さらに深刻そうな顔で私を見つめてきた。やめろ私はまだ死にたくないんじゃ弁明する余地を……あ、だめですか、だめなんですね分かります明らかに聞くかボケ! って顔している。……いつになくスーちゃんの顔が非常に怖いです。

 まるで門限を破ったときにおかんがみせる怖い顔のように。


 勘違いにほどがあると思うのだが、ここで1つみんなに忠告。

 私はそんなに説得力はないので、話して訳を作るなんぞ無駄な抵抗だ。

 だが謝るのは大事だよね。

 こうなったら言い訳を。


「いや誤解! 私は変態じゃないから本当です信じて下さい!」


「…………」


「な、なんでもするから」


 みんなここは空気読んで鉄板の『ん?』とか言わないようにしてくれよな。ムードぶち壊しになりかねんし。


「…………はい」


「へ?」


 手の平を差し出してくるスーちゃん。

 はて何か。

 ツラを貸せ的なあれかな。

 私戦いは得意だけど、喧嘩は得意じゃないからね。


「……返して下さい」

「なんと?」


 ワンモアプリーズ。

 聞き間違えかも知れないので復唱を求む。


「……ですからパンツ返してください。でないと読者さん達のあそこが限界突破してしまうかも知れませんから」


 いやいやそう言う問題ぃぃぃぃぃぃぃぃい!? R18のタグ付けるべきな発言をする彼女。ギリギリセーフな表現でみんなには伝わっているはず。大丈夫だよ、問題ないって。

 今朝起きたその一環は、私が彼女のパンツを返上することにより汚名は剥奪された。

 そして、他の2人も起きたのでみんなで状況整理。


「なるほど。それにしても嫌ですね荒らしは」


 荒しって聞くと某界隈の集まりを連想するが……いやそっちじゃない単純な荒しだろこれは。


「そうよね、寝ている間に何があったのかしら」

「2人はスリ……何か盗まれてない?」


 部屋が荒らされているということは、大抵金目当てのアホがスリに来たとかだろう。

 近代社会だと重罪に囚われるがここは異世界。

 自己管理が腑抜けなヤツはこういう被害に遭う。

 と私達はアホなのか?

 気にしたら負けだから深く追求はしないでおく。


「いいえ、ありません先ほど袋確認しましたが何1つ盗まれていませんでした」

「私もよ、金はおろか何も盗まれていなかったわ……多分そこに散らばってるのは宿にある予備用の衣服じゃないかしら?」


 そういえば貸し出し用の服があるとか言ってたっけな宿主さんが。

 私達はある程度資金は持ってきたし、それを奪いに来たのならまだ分かるが。

 でもなんで。


「……私のカバンの中にあるパンツが1つ盗まれていました。……愛理さんは違いますよね? さてどうしたものか」


 一瞬私の方に目がいったように見えたが、もうチャラにしようぜスーちゃん。

 ってガチで盗まれていたんかい! 愛理さん驚きよ!?


「……とりあえず聞き込みしますよ」


 朝の朝食の後。

 聞き込みに村中を駆け回ることにした。


【ネットサーフィンの情報が必ずしも正しいとは限らない、でもくまなく探し続けるのが得策だろ?】


「ありがとうございました~また来てねぇ」


 と宿主のお姉さんに一言告げるとスーちゃんが。


「……あの宿主さんちょっといいですか?」


 返事がない。


「……あの宿主さん」


 その方向には誰もいない様子。

 だめだ。スーちゃんの影が薄いセンサーが働いてしまって、主さん感知してくれないぞ。


「……あの宿主さん!」


 仕方なしに大声を出したスーちゃん。

 すると「おっ」という反応をして、ようやく彼女の存在に気がついた主さんはスーちゃんの方を見つめる。


「あぁ君いたんだ。全然気がつかなかったごめん」


 するとスーちゃんが先ほどの質問をする。口をガタガタ震わせる動作は非常に可愛らしかった。頑張れスーちゃん初めてのおつかいみたいだけど頑張れ。


「……最近ここで妙なこと起きていません? 朝目覚めたらパンツが1つ盗まれていたんですけど」


 横に立つ私を睨み付ける。

 だからもうそれいいでしょ。いつまでも逆恨みしないでくれよ、うんまさか私このあと死ぬのか? バッドエンドのフラグ立っちゃった的な?


「妙なことねえ」


 考え出す宿主のお姉さん。


「そういえば」

「……な、何か思い当たることでも?」


 数秒足らず。

 なにやら思い当たることに気がついたお姉さんはスーちゃんに答えてくれた。


「そういえば、最近あなたみたいな幼女の衣服や下着を盗むモンスターが現れたらしくてね、ここに住む子供達は非常に困っているのよ」


 変態じゃん。すみませーんここに変態がいまーす! 察呼べ察を!


【だから異世界に察はいませんってば!】


 分かっとるわい!


「確かそのモンスターの名前は……」


 ごくり。


 一斉に息を呑んで覚悟する。

 どんなモンスターなのかと、あるいはどのような凄い名を持つモンスターだろうと。


 しかしまあ。

 その期待は次の発した言葉により、かき消された。


「"ロリ魔神"っていうブタのモンスターだったはず」


 数秒の沈黙。

 返す言葉の見当たらない私達は、無言で扉の前まで行って目礼し外を出た。

 宿主さんに変な目で見られてなかったかな?

 でも今はそんな個人的な思想に浸っている場合ではない。


 最優先はスーちゃんの言う通り聞き込みだろう。

 宿屋を出て数分間に及ぶ聞き込みを行った。

 だが肝心な手がかりとなる情報は中々出回っていないせいか。


 村のみんなに聞いても首を縦ではなく横に振っていた。

 あまり情報源(ソース)元少ないのかな。


 すると。

 村を歩く村人さん達に話しかけ続けていると、耳寄りな情報がようやく回ってきた。


「あぁあれか。ウチの娘も被害あってな最近困っているんだよどうしたものか」

「それで住んでいるところどこか分かります? そのロリ魔神っていうモンスター」


 名前からロリって名前付いているだけで、もうおわっているような気がする。

 ロリとブタとかベストマッチではなくミスマッチ。

 悪い意味で変態領域の名前じゃね。


 うげ。

 想像しただけなのに、吐き気してきたじゃねえか畜生め。リバースしそうやばい。


「聞いたことがある、この村の先に小さなほこらがあり、そこに身を潜めているらしいが。……君達まさか倒しに行く気かい? やめとけそんな格好じゃ」


 だからパーカージロジロみながら自己偏見言うなし。

 うさぎ舐めんなよ。こう見えてもめっちゃ強いんだからな。

 その気になれば、悪い噂になっているロリ魔神っていうモンスターもグーパンで倒せるからな。

 多分。


「みんな困っているようだからちょっとしばいてくるつもり。……こう見えても私達強いからさ」


 すると後ろからシホさんが出てきて胸を張って言う。


「私からもお願いします。彼女可愛いだけじゃないんです、とても強いんですよ」


 可愛いって。まあ確かにそうだけどさ。変なこと言うなよ。

 少々照れくさくなるから自重してくれると助かるなシホさん。

 ツンデレじゃないからな言っておくけど。


「そ、そうなのか? 見かけによらず強いんだなあんた?」


 全然期待してない様子ですよこの村人さん!?

 そんなに不安!? 別に新手の詐欺集団だとか人柄の悪い人間じゃないよ私達。


「愛理はね、デカい岩だって粉々に破壊するくらいの力を持っているのよ! 見くびらないで頂戴村人さん!」


 お前はマウント取っているのか、それとも私を前面にアピールしているのどっちだ。

 どちらか1つに絞られそうな言葉を選別しやがれミヤリー。生え際にあるアホ毛引っ張ってやろうか?


「ふむ、力を持った冒険者だってことは理解したよ、ではすまないけど頼まれてくれるか? ヤツを倒すのを」


 私達は頷いて快くそのモンスターの討伐を受けた。

 乗りかかった船だしね、ここで尻尾を巻いて逃げるようであれば私は単なるチキン野郎になってしまう。

 「はいざーこ☆ざーこ!」と言われるのも自分として達が悪い。むしろこれ逃げたら負けなのではと思っている。

 そのロリ魔神を倒しに村人さんの頼みを引き受け、言われたほこらへと私達は向かうのだった。

 ブタかなんか知らんけど今日は丸焼きにでもしようかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ