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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第6章 うさぎさんと、あたおかな挑戦者達
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番外編(2) 白き少女と未知の遭遇 その1

今日はステシアことスーちゃんが並大陸にくるまでに遭遇したあることの話です。

先週は2日、新しい話を書けなかったのでこれはそのお詫びです。2話連続で出す予定ですので皆様よんでくださいまし。


【小銭稼ぎってとても大変だと常々実感します】


 どうも存在感の薄いステシアです。

 あれから中大陸を空を飛んで抜け、近くに浮かぶ大きな大陸、大大陸へとやってきました。


「……ふぇ中大陸とは規模がまるで違いますね。機構な建物も向こうにたくさん見えますけど」


 空を飛ぶ私の目の前にうつるのは、そびえ立つ大きな山が数か所。1つ1つがとても大きく見え、グリモアの大教会がたくさん立ち並ぶくらいのスケールでした。

 その先に待ち受けるのは、近代化が進んでいるであろう機械的な街が向こうに続いています。


「……あ、でもこの大陸にある、街やダンジョンの入場条件は、Sランク以上の冒険者が2人以上でしたね。……さてどうしたものか」


 飛びながら先々のことを考えながら作戦を練ります。

 あ、そういえばお母さんから『困った時にはこれを読みなさい』と手渡された手帳がありましたね。


「……忘れるところでした。……落ちないように……わわ。……おっといけないもう少しで落ちるところでした」


 肩にかけている、バッグからお母さんにもらった手帳を拾い上げようとすると不意に下の海底に落としてしまうところでした。……間一髪固定魔法を使いそれを手に取り難を逃れることができました。


「……さて、こういうときは……えぇと」


 手帳を広げて、ページを捲り始めます。

 この手帳には母曰く、冒険に役立つヒントがたくさん書かれているんだとか。……少々小馬鹿にされているような気もならなくないですが……果たして。


「……お、ありました」


 ページをめくり続けるとあることが書かれてある一覧を見つけました。


『教えてお母さんの旅の心得! その798』


 いやどれだけ書いているんですか。今見ているページだけでも十分な厚みありますけど……というかこの本あと何ページあるんですかお母さん⁉

 頭の中でにこにこしながら、『スーちゃん』と呼びかける母の顔が浮かんできました。


「……ダメですダメです」


 思いふけたことを忘れようと1度、頭を横にプルプルと払い。

 今1度、続きを読み始めます。


『お得な情報。旅に行き詰まったら道草にどこかの森に行った方がいいかもしれないわよ。ダンジョンは基本的に推奨ランクやら色々必要だけど、森や洞窟、草原あたりは対象外。そこなら誰でも通り抜け手段として通ることができるわ。もしかしたらレアなアイテムが転がっているかも?』


「……あの本当ですかそれ? まあ学校でダンジョンあたりならどこでも入れるとか習いましたから恐らく事実でしょうね。とりあえずその近くの森に行ってみましょうかね」


☾ ☾ ☾


~迷いの森道~


 降り立った場所は、霧の深そうな森でした。

 視野が狭く、辺りの情報がなかなか掴めません。


「……うぅ……場所が悪いですね。仕方ありませんミエルヤ!」


 一振り。

 手に持つ杖を使い、呪文を唱えると周りの霧が徐々に薄れていき、向こうの岸まで森の中が見えるようになりました。


「……これでよし」


 隔てりある道を進んで先へと歩きます。

 先ほど使ったのはダンジョンや森にて、気候を消す魔法です。本来は暗いダンジョンにてよく用いられるのが殆どですよ。

 真っ暗なダンジョンで使えばあら不思議、先ほど暗かった道が明るみのあるダンジョンへと様変わりしているじゃないですか。……みたいなとにかく汎用性の高い魔法です。


「……おっと2手に分かれていますね」


 しばらく歩いているとそこで立ち止まりました。

 二手に分かれている道。矢印もなにもないので手がかりなしでどちらかの道を進まなければなりません。


「……………………? なんですかこれ」


 思い悩んでいると、右側の道に『こっち→』と書かれたメッセージが。

 子供のいたずらでしょうか? ……こういうのよくやりましたよ昔。絵で色んな物描いたことがあります。……一時期錬金術も勉強したことありましたけど…………慣れたときには手をつけなくなりましたが。


「……ないよりはマシですかね」


 ここは逆に考えるとします。そう騙されたと思って進んじゃえと。

 自分のそんな意のままに右の道に進み。


「ぎゃああああああああ!」

「………………」


 端の方に巨大な熊のモンスターが立っていました。……案の定私の存在には気づいていません。

 本当なら特大の魔法を使いあの断末魔さんを葬りたいのですが……ここは穏便に済ませようと。


 魔法陣を足元に生成させ呪文を唱えます。……すると真上から2つの違う魔法陣が現れそこからモンスターが出てきます。

 人型悪魔モンスターのサタンと、大きな棍棒を携えたギガンテスです。

 はい召喚魔法です。一時的に操る的な魔法なので騒ぎを大きくしたくない私にとってはこの状況はとても好都合。ここは2人に手伝ってもらいましょう。


「……あ、すみません、急に呼び出したりして。あの……お邪魔でしたか?」


「う? ……」

「あが? ……」


 2人は見つめ合いながら、再び私の方に顔を向けて。

 親指を立ててきました。どうやら全然おkみたいです。


「なら、あそこにいる目障りな熊モンスターを倒してきてくれませんか? うるさくて歩けたものじゃないですから」


 指指す方向……。熊のいる方向へと指を指しました。


 すると。

 2体のモンスターはその熊モンスターに近づいて。サタンが軽く指で肩を突き熊をこちらへと振り向くように誘導させます。


「うご?」


 首を傾げながら、2体の方へと向く熊。すると。


「ぐごおおおおおおおおおお!?」

「…………ふ」


 サタンは鼻で笑うと、後ろに控えていたギガンテスが頭部を棍棒で殴ります。


「ごごごご!??」


 その打撃によって、頭を強打すると、頭を抱えるようにしてその場に倒れました。

 サタンは熊を数秒の猶予も与えず、力ずくで片腕を使い巨大の熊を持ち上げて。


「……豪快ですねやり方が。そこまでやれとは……まあいいでしょう」


 少し慈悲な気持ちも感じましたが、いまさら引き返すのもよくなさそうでしたのでそのまま続行させました。

 するとサタンは熊をボールの様に巨体を転がし、そのまま不可抗力な熊に向かって。


「………………!」


 口を開き中から禍々しい巨大な混沌の炎を吐き出します。漆黒に煌めく暗黒の炎が熊を包み込みます。

 それは数秒も経たずで光が収まる頃に私が、熊の方を見てみると。


「………………え? 少しやり過ぎなのでは?」


 そこには灰となった熊? だった跡の物が残っていました。これはよい子には見せられない何かを感じさせます。

 骨の断片みたいな物が埋もれていますけど……気のせいということにしておきましょう。


「……あ、ありがとうございました。いいですよもう帰って」


 魔法陣を再度出現させ、2匹を元の場所へと返してあげます。

 サタンとギガンテスは嬉しそうにまた読んでくれよなと手を振ってくれます。


「………………」


 綻ぶ顔つきで私も軽く手を振ってあげます。

 何ででしょうか。何回かもう使っているのですが、いつも躊躇いなく私の言うことをちゃんと聞いてくれるんですよ彼らは。……好かれているんでしょうかね。


 先へと進むとまた下にメッセージが。


『ごめん! 間違えたええと左』

「…………」


 左側の道を進んで、更に奥へと進みます。


『やっぱり真ん中だったかな?』

「…………あ、あの」


 この書き主の顔が1度見てみたい物です。……うろ覚えもいいところです。

 それから同じパターンの繰り返しで、何度も何度も道に書かれたメッセージを頼りに先へと進みました。……計15回くらい。


『もう大丈夫! もう大丈夫! 今度こそこっちの道で大丈夫だから‼《環境依存文字》』

「……さすがに疲れてきましたよ。……でも今更引き返すのも苦行に感じますし……あともうちょっとだけ粘ってみますか」


 時間は既に昼下がり。

 お腹もだいぶ空いてきましたが……こうなるとは思わなかったので、今食料不足。つまり何もないです。

 はあお腹いっぱいなれるようなご飯食べたいなと慮る私。

 先ほどより小歩でそんなことを思いながら道を歩んでいると。


「? ここは?」


 すると少し開けた緑地へと出ました。中心辺りに洋風の煙突の立った家が聳え立っており、レンガの塀の先にある家に。

『魔法卿の家』

 と書かれた看板が。

 横にある張り紙には『助手絶賛募集中! 一緒に魔法を使ってみませんか!』と可愛らしい女の子の絵が描かれたポスターが。バイトの募集紙でしょうか。他の街のギルドにもこういうバイト募集の張り紙はありましたけど…………。


「でもこんな女の子の書かれた募集紙なんて初めて見ましたよ。胡散臭いです引き返しましょうか……………………ね?」


 と私が来た道を帰ろうと、後ろを振り返りました。……その拍子に閉まっていたドアがカランと開いて、中から背丈が低いお爺さんがこちらを向き。


(……見えていませんよね? でもこちらを。 ……あぁでもなんでこちらをまじまじと見ているんですか)


 するとこちらと視線が合うと、お爺さんは口を開いて言いました。


「お主」

「………………え?」


 思わない展開。あたかも見えているように私に語りかけてきます。

……はいその背の低めなお爺さんは私が"見えている"そんな様子でした。

 その場から1歩も動かず視線は一直線……私の方に向けられていました。よもや見えているのでは?


「お主魔法使いかのぉ? ちょいとすまぬが手伝って欲しいことがあるんじゃが……いいかのぉ?」


 そのお爺さんは突拍子もなく、私にお手伝いをするように言ってきました。

 通りがかりで出会ったばかりの見知らぬ高齢の魔法使いさんですが、かれからは高い魔力を感じ取れました。

 このお爺さんは一体何者なのでしょうか。

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