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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第6章 うさぎさんと、あたおかな挑戦者達
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68話 うさぎさん、試行錯誤なう

【ものは試し、使えるかどうかは後で考えよう】


 今日はやることがなく、呑気に街外(ちょうがい)の草原へと足を運んでいた。

 他のみんなは、疲労のせいか家でお留守番。

 私達はそんなに年齢が開いていないはずなのに、なぜそう年寄り染みた悪習がでるのか。

 まあずっと家に引きこもっていた私が言えた筋じゃないけど。


「ええと。なになに」


 近くにある木で一休み。

 レポートは小まめにしておかないとだめだと、某ゲームが教えてくれたが今休んでいるのにはちゃんとした根拠がある。

 この間私が習得した、ラビット・フュージョン。


 どうやらこれは、パーカー1組しかできないらしい。

 つまり、ノマアサを使っている時に。

 別のラビットパーカー同士を、フュージョンさせるということはできないらしい。


 もしそうする場合は、1度分離させてから使うそういった仕様みたいだ。

 なにかしらあるんだと大方察しはついていたが。いちいち解除しないといけないとかめんどくさ。仕様かなんか知らんけど手間かかるねぇ。

 大方のことを再確認した私は腕を伸ばして。


「さて、概要は確認できたし少し歩くか」


 背筋を伸ばしてスタンドアップ。

 気晴らしに外周でも徘徊しようか。なんの当てもないが時間潰しに行ける範囲内で体でも慣らそうかな。


「うんしょっと」


 小歩きで草原を散策。

 風に吹かれ草木が激しく揺動している。いつぞやの宇宙人さんも今日はおいでにならない。いい加減懲りたのかな。つうかもう来んな。


「この世界にきてから色々あったけど、見飽きるような感じじゃなかったな。……あたおかなヤツらばかりだけどそれが人……モンスターの個性というか」


 独白にふけてみる。

 誰もいないので率直な感想を。正直、最初はこんな世界うんざりだとなりはしたものの。


 なんだかんだで知らない間、だいぶ馴染んだ。

 日々、インフレが急加速するこの世界で次私達を待ち構えるものは一体。

 強さの基準がよく分からないけどそこは自重しとこっと。


「めんどくせえことに、巻き込まれないことを願わんばかりだけど無理ぽだよね」


 そんなの避けられないに決まっている。

 多分これからもクソみたいなモンスターは山ほど出てくるぞ? 例えば、体にフィールドを展開するやつが現れたり。

 ロボットの世界じゃないんだからそれはないか。でも、ここはそんな常識通用しないしありえそう。


 すると。

 目の前に1匹のスライムが。

 ぴょこぴょこと飛び跳ねながら、遠くにいるこちらへ向かってくるが。


「おっそ」


 スライムの動きが止まって見えるほどに鈍足で、見ているだけで眠気がしてきた。


「あ、そうだ」


 唐突に。

 そういえばこの間マジシャンっぽいモンスターから、帽子を入手したな。

 スーちゃんの援護もあり倒したけどあの帽子を使うと果たしてどんなパーカーができるか。……ちょいと作ってみるか? 作っていいんだな仲宮愛理?

 では今日は、その帽子を使用して新しいラビットパーカーを作ることにする。


 スライム君には、その(にえ)になってもらうとして。

 じゃあさっそく。

 パーカー生成にて、始めに能力を使いノーマルラビットパーカーを生成し。それを素材としてモンスターの帽子を第2の素材として合成。

 目映い光が発生し、一瞬視界が真っ白に。


 再度。

 パーカー一覧(いちらん)を確認してみると、そこには新しいパーカーが。

 フードの部分は青みが強い青をしており、服の部分は白が基調としたデザインだった。


「名前は……ミラクル・ラビットパーカーか」


【ミラクル・ラビットパーカー 説明:超能力が得意なパーカー。テレポーテーションや念力を使った力を扱える。数人に分身してトリッキーな戦術も取れる】


 ほう。

 なら、私が実質3人になるじゃん。


 ……。

 分身。

 クローン。

 うぅ頭が。(トラウマがフラッシュバック)


 まずは能力だそれを見よう。




ミラクル・ラビットパーカー 補正 素早さ+35% 攻撃+15%

【固】超能力が扱える。(念じて物を浮かせたり、飛んできた物を空間を作り出して止める事ができる)

【固】分身能力。数人に散けて分身できる※使用中はラビットパーカーチェンジはできない。

【固】技 ラビット・ゼログラビティホール:無重力空間を発生させ、敵をその中へと引きずり込んで粉々にする。




 技強すぎね?

 要はアレでしょブラックホール的な。


 ではさっそく。

 ミラクル・ラビットパーカーにチェンジして、分身能力を使う。

 名前はそうだな、ラビット・イリュージョンとでも命名しておこう。


 とりあえず3人になるよう念じる。

 すると私の分身が2つ現れて全速力でスライムの方へ疾走。 速さも異常であり、残像でも見ているかのような凄まじい速さであった。


「はええなおい」


 速攻で終わらせたいので、テレポーテーションを使ってみる。

 ラビットテレポーテーションっと。3人の私が消えるように姿を暗まし、一瞬にしてスライムのいる位置へと移動する。


 あっさりだったな。

 3人で念じるかのように、近くにあった木数本を念力でスライムの方へと運ぶ。

 私達はその木を、スライムに目がけて飛ばし狙い撃つ。スライムは小さな体を上手く利用し避け攻撃を回避。


 ちっ。

 すばやっしこい奴め。

 ならばと3人で相槌を打ち、拍子を合わせて手の平から無重力空間のワームホールを作り出す。

 それをスライムに目がけて放つと。


「ラビット・ゼログラビティホール!」


 避けようとするスライムを容赦なく、異次元へと吸い込みそのまま異空間へと消えた。

 画面が表示され、入手したアイテムが表示された。


【スライムの水滴を入手した】


 どうやら粉々に砕いたとしても、アイテムは自動的にバッグへと転送される仕組みらしい。

 よかった。いくら強くても、素材が入手できなかったらなんの意味もないよね。

 分身を解除させて再び1人に。


「めっちゃ汎用性高そう。ミヤリーのしつけように使ったら便利そうだな」


 あいつがなにかやらかしたら、このパーカーで痛みつけるのも得策かもしれない。


「うおおおおおおおおおお!」


 横側から巨大なモンスターが1匹こちらへと接近。

 敵さん警戒心なさすぎじゃ。というか5秒だけ待て。……聞いちゃいねえよこのモンスター。


「よっと」


 巨大な棍棒を、振り落としてきたので反射的に回避する。

 図体はデカいが知能はたいしたことなさそうな感じ。おかげで大きさ関係なしにすんなりと避けられる。


「ったくあぶねえな! 空気読めよ」


 私の声も届かないのか、狂人のようにひたすら私に振り回す暴君。

 しつこいので私は1回舌打ちをして。


「……っ。しつけえなこれでも食らえ!」


 ラビット・グラビティホールを使って攻撃。

 巨大な体を異空間がそのモンスターを、異音を立てながら飲み込む。飲まれていくモンスターは苦しそうなうなり声をあげ、次第にその声質がなくなるとアイテムを入手したというメッセージが。


【獣の皮を入手した】


 討伐アイテムが無限バッグへと転送された。

 なんだこの技チートじゃん。反則級だしつまらん。


 こうなるなら、もうちょっと遊んでから使うべきだった。

 別に敵をディスっているわけじゃないけど、少々やり過ぎ感があるから使うのは控えたいなぁなんて。

 え、お前が言うなって?


……。


 そこは言わない約束いいね?

 こうして、その日の午前中はことごとくモンスターが私の実験台となり数百体狩られた。

 戦地の後には能力を使いまくった、痕跡のクレーターがいくつも。


「あちゃー。人類には早すぎたかこの力」


 我ながら恐れ震えている自分が怖い。

 なにこの力。私賠償金とか請求されたりしないよね? ここの法律イマイチよく分からないけど異世界だし気にしなくてもオフコースでしょ? しらんけど。


 その穴は。

 街の観光名所にされたということはそれから後の話である。

 ていうか観光名所になったんかい!!

こんばんはです。

終末になりましたがいかがお過ごしでしょうかみなさん。

昨日に引き継いで雨が降っていますが、今年は悪天候が長続きしますよね。

洗濯干しに色々と不便が発生し、雨に追いやられる日が立て続けになりますが長いですね今年の梅雨は。

さて本題。

今回は超能力が得意なラビットパーカー

ミラクル・ラビットパーカーの登場です。

マジシャンかイリュージョンにするか迷いましたが、奇跡の方がしくってくるのでこちらにしてみました。

基本的にどんな敵も耐性無視で粉砕できますあの技は。

ただ彼女はヌルゲーになることを躊躇いつつ、最後の最後に使おうと決めた描写が今回ありますけど、彼女はそういうキャラですはい。

チートもほどほどにするのもいい塩梅なのかも。

今週はこれで最後ですが、来週また書こうと思います。

来週は2話、番外編を書いて新章に移りたいと考えております。

ではみなさん今週もありがとうございました。

ブックマーク等はお任せしますので、今後も応援のほどよろしくお願いしますではでは。

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