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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第6章 うさぎさんと、あたおかな挑戦者達
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60話 うさぎさんと、ぞっとするあたおかもの

※今回はオチがあります

【ドッキリは策を講じて仕掛けるべき】


 おはようみんな。

 昨日はミヤリーが最後にやらかしちゃったけど、大目に見てそこは。

 というか昨日シホさんが作ってくれたカレー美味しかったなあ。


 食卓へと赴いて椅子に腰かける。

 でも起きてから1つ気になったことがある。

 なんか体に違和感が。

 ウィンドウを表示させようとしても、でないし一体何があったというんだ。


 また新手のバグかあるいは。

 すると足音が複数聞こえてくる。

 その扉を開け現れたのは。


「おはようございます」

「おはようございます」

「おはようございます」


 木霊するように連なる声が響いてくる。

 うそやん。

 いったいこれはどういう状況か。全く訳がわからないよ。

 あぁごめん取り乱した。ちゃんと説明するわ。

 今私の目の前にはとんでもない背景が映っている。


 しかもあたおかな状況が。

 なんと。

 私の目の前には。

 3人のシホさんが現れたのだ。


「あ、あの?」


 目を細めて声を落とす。

 いやどういう状況やねん。私昨日変な物食べたのかな?

 全くそんなのは記憶になく、目の前に現れた3人のシホさんが私を凝視。


「どうしたんですか? そんな驚いたような顔をして」

「そうですよ、あぁきっと昨日の疲れがまだ残っているんですよきっと」

「なるほど、なら今日は美味しいものを用意させてあげる必要がありますね」


 劇団ひとり。

 なんだろう、1人漫才しているのに心底沸いてくるこの違和感は。

 ……他の2人はどこに。


「ねえシホさん達、もう2人は何処にいった? ミヤリーとスーちゃんは」


 すると瞠目しながら彼女達は答えてきた。

 うん、何さその顔は。

 しゃがむシホさんAは。


「何言っているんですか愛理さん? この世界に私以外の人なんているわけじゃないですか」


 は?

 どういうことなの。

 ちょっと話がついていけない。


「この世界では"シホクローン計画"が一般化して、全ての人々は全て私になったはずですが」


 料理するシホさんC。

 なにシホクローン計画って。

 いつからそんな計画が立ったのさ。


「まあまあかたいことはいいですから、さあ今私(C)が作っているあれを食べて元気になってくださいね」


 シホさんCの方を振り向くとそこには。

 天井に今でもつきそうな、大きなおにぎりの姿がそこにあった。

 そのおにぎりがドンと置かれると、シホさん達は一斉に合掌の号令をして。


 手元に置いてあるおにぎりをパクパクと頬張り始める。

 こんなでけえおにぎりをどう食べろと。

 結局その朝、そのデカいおにぎりを食べる羽目になった。

 だが、食後に気がついたのだが反復度はおろか。


 空腹すら感じないんだが。

 今この世界で何がおこっているんだと、頭を悩まされる時間が私を苦しませるのだった。


【シホさん増えすぎな件 一体どうなっていやがるんだ!!】


 外を出て。街を回ることにしたのだが。

 シホさんの言う意味がよく分かった。


 いつもの店の建ち並ぶ通り。

 そこにはたくさんのシホさんが私の目の前を歩いていた。


「い、一体なにがおきとるんじゃああああああ!!」


 思わず一声。

 すると、警官っぽいシホさんが、ホイッスルを吹きながらこちらへと向かってきて。 というか案外似合っているねその格好。現代によくある普通の女警察の服装をしているが、めちゃくちゃエr……かわいらしい見た目をしている。

 なぜに警官? というかホイッスルとかいう、現代物さらっとなんで召喚してんのさ。……でも女警察の服はいいぞぉコスプレの代表格でもあるしね。


「愛理さん! 今あなたは私達を酷い目で見ましたね! あなたを"シホ嫌らし目違反"で逮捕します!」


 手錠に捕まれ逮捕される私。なんだその違反行為的なものは。私六法とかよく分からんけど、授業でそんな法あるとか聞いたことないよそれ。……妹でも多分そんなのないって答えが返ってくるに違いない。……なるほどわからん。

 ってこんなところで捕まってたまるか! 馬鹿力で束縛された手錠を破壊し逃走。


「こら、待ちなさい愛理さん!」

「もう1人の私だめです。無駄に体力を使っては。お腹空いちゃいます!」

「……それもそうですね。なら今回は見逃しておきますか」


 とまた一芝居打ったシホさん達から逃げることに成功しその場をあとにした。

 今更気がついたことがあるんだが、見知らぬ紫白のラビットパーカー着ているんだけどこれ何かな。

 なんか、なんも力感じないけど。


 まあいいや今はこれで。

 この街どうなったんだろう。出し抜けにSFによくあるクローン計画が執行されちゃっているけどマジでイミフ。走れ回れる範囲の路地、細道を伝いシホさんに見つからないように距離を置こうとした。慌ただしいシホさん達の足音を聞きながら私はそこから遠のく。なんだろうこのくだらないだけど妙に感じる緊張感は。体は既に状況を飲み込めずフリーズかなんかしているかもしれない。

 

……それから色んな場所へと赴いたものの、誰1人とてシホさん以外の人物を見ることはなかった。

 だからさ。何が起こってるんだよ。

 一旦家へと帰還し、仲間達からの誘いでクエストを受けモンスター狩りにシホさん達とある洞窟に訪れていた。


「うごおおおおおおおおお!」


 目の前に現れたのは、二足歩行のおにぎりモンスター。

 巨大なおにぎりに手足がついた、なんとも言えないよく分からないモンスターに出会う。

 今回はこの。


 腹ぺこ魔神、オニギリンというモンスターの討伐を受けたわけだが。

 なんだよこれまんまおにぎりじゃねえか。

 図鑑も不在だし、どうしたのだからいつもみたいに解説してくれよ。

 と頭で念じても出てこないしまじでイミフ。


 仕方なしに殴ってみるか。

 シホさん達の前に立って拳を前にして身構える。

 (そういえばこのパーカーなにができるんだ? 能力もなにも分からないけどどうしろと)


 とりあえず、拳に力を込めて『食べ物にでもなっちゃえ』と願う。

 すると、拳がオニギリンに触れた瞬間。

 オニギリンの体は次第に小さくなっていき、ただのおにぎりになった。


「や、やりました! これで私達の世界は平和になりました」

「そうですね、これで誰も私達を邪魔する人はいません」

「そうとなれば愛理さん今日は宴です!」


 やっぱりなんかおかしいよこの世界。急にモンスター倒しただけで魔王倒して世界救った的な流れになっているけどじゅ、順を追ってよだから!

 本当にこれ現実か。まじであたおか。※急な展開で申し訳ありませんこの辺はご想像でお任せお願いします。


 だが考える余地は私にはなかった。凄まじい怪力によって彼女達に担がれ、街へと帰ると。

 そこはパレードの景色ができあがっていた。

 紙くずが宙を舞い私達を歓迎し。


「愛理! 愛理! 愛理!」

「愛理! 愛理! 愛理!」

「愛理! 愛理! 愛理!」


 なんかコールされているしめっちゃ恥ずかしいんだけど!

 そのまま玉座かよく分からない場所へと連れていかれると。


「ふふよく来ましたわね愛理さんふふ」


 少し目立ちたがり屋っぽいシホさんが、王様の席へと座っていた。頬杖をつきながら仰々しい態度を取る彼女は心の底でなにやら企んでいる雰囲気を漂わせていた。

 なんか臭う。一言で表せば真のラスボスや黒幕な感じがね。こいつはくせぇ黒幕感がプンプンするぜぇ。


「歓迎しよう! よくぞ悪の元凶オニギリンを倒してくれた! さあ喝采を!」


 一拍おいて。


「と思っていたのか! この玉座にいたシホ王は私が乗り移った。……私は反シホ社会に住むもう1人のシホ……闇シホですわ!」


 もうなにがなんだか。まさかの憑依していた設定ですか。……ってシホさんって善悪が混在しているの? 今のこの街は。

 悪いシホさんの登場。マンガやヒーローものでよくあるようなダーク系のキャラ立ちなのかね。

……仮に私にもそんなキャラとかいたら……考えたくもない。……ダーク・ラビットパーカーみたいな。※二度すみません。夢の中のできごとなのでここもご想像でお願いします。


 ていうかちょっとシホさんあなたこういうキャラじゃないでしょ。なんか妙に顔がねじ曲がって顔芸起こしているけど。

 するとシホさんCが前に出て。


「悪い世界の私。それはよくないですよ。みんな一緒に平和な世界を築き上げる……それが本来のあるべき姿じゃないんですか?」

「なんですって? それが私達のあるべき姿? …………私は何処で道を誤ったのかしら。ならもう悪さはやめる。……だから今は和解の証として」


 烈戦になると思いきや出会って数秒後……謎の和解。新記録だぞこれRTAさんもびっくり。

 ってなに? どうした急に。私の方にわわっわわわわ!


!?

 急に私に詰め寄るシホさん達。

 そして周りにいるたくさんのシホさんに持ち上げられ、そのままわっしょいわっしょいをさせられる。

 周囲からは喝采と共に聞こえてくるシホさん達の声が。


「わっしょい!」

「わっしょい!」

「わっしょい!」


 あぁでもこれでもなんかいいかも。もう考えるのだるくなったし、もういいや。

 シホさんが何人いようが全然悪い気はしない。むしろ面白い甲斐があっていいんじゃねと。

 そのまま目を瞑り視界が暗転。

 ここでEDか!? ……泣くべきか泣いていいのこれは!?





 THE END(留年になったので異世界生活することにしました -完-)


「って愛理さん、いつまで変な夢見ているんですか。まだ最終章にも突入していないじゃないですか。いい加減目を覚まして本編進めましょうよ」


 反響しながら聞こえてきたのは、シホさんの声。メタな発言を聞いて「え、なにそれ」と思いふけていると意識が遠くなっていき。




☾ ☾ ☾




【悪夢から目覚めるうさぎさん、そして本当の1日始まります←えっ夢オチだったん?(ネタバレ)】


「「なわけあるかああああああああああああ!!」」


 急に聞こえてきたのは、ミヤリーの声。

 ふと今1度、目を開けると。こちらを見下ろすシホさんの姿があった。


「おはようございます愛理さん! 先ほどからなんかうなされていたので私が起こしに来たんですが……悪い夢でもみていたんですか?」


 あ、あの。

 いやいいです。


「試しに起こしてあげようと、耳元でおにぎり! おにぎり! って呟いたんですが」


 あんたかあああああああああああああい!


「い、いや、なんでもない。……それよりもさっきの声はなに? ミヤリーの声が聞こえたんですけど」

「あぁ……。スーさんが彼女の今朝の朝食メインである食べ物を取ろうと、ミヤリーさんの皿から取っていたのですが、スーさんが色々と誤魔化してそれで喧嘩になっていたんです」


 どうでもいい案件だった。


「と、とりあえず下に降りて2人を説得しよう」

「は、はい!」


 先ほど私に起きたできごとは、全て夢だったらしい。

 俗に言う夢オチ。でもとても目を伏せたくなるような、バグった夢だったなあ。

 なんだよ"シホクローン計画"って。


「と、ところでさ、シホさんシホクローン計画ってなに?」

「……何言ってるんですか愛理さんなんですかそれ。言っている意味よく分かりませんけど疲れすぎて変な夢でもみたんじゃないですか?」


 と論破されてしまう私。それでようやくあの夢で起きた出来事は本当に夢だったんだと再認識しくすんと笑った。

 すると歩いている最中にウインドウが現れ。

? 今度はなんだ。……ぱ、パーカー?


【ドリームラビットパーカー 説明:夢の中で出現する紫白の色調をしたラビットパーカー。着ていると思いがけないことが夢の中で起きる】


 その一文が現れた。あっ。

 察し。元凶はお前か! 急なネタばらしきたけど元凶はお主か。原理云々に首は突っ込まないけど、どこかおかしいと思ったらパーカーの影響だったとは! ゆ、夢ぐらい良い夢を次はおなしゃす。

 一言言わせてくれ。




 夢オチなんて最低だあああああああああああああああ!

少し今日は早いですがこんばんは。

はい案の定夢オチです。

自分もプレビューで何回かみたのですが、いや夢オチかよってなりました。

今回登場したフォームはドリームラビットパーカーです。

今後再登場させる予定は未定ですが、もしかしたら再登場もあったりなかったり(どっちやねん)

量産型のシホさん、思えばなんか恐ろしそうですね。あ、明日はちゃんとした話に戻るのでご安心を。

ではみなさん今日はここで失礼させて頂きます。評価ブックマーク等はお任せするのでよろしくです。ではでは。

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