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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第6章 うさぎさんと、あたおかな挑戦者達

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57話 うさぎさんとミヤリーの修行 その1

反則(チート)反則(チート)でも、使い方次第では許容範囲になる諸刃の剣】


 街のすぐ近くにある森。

 私とミヤリーはレベリングのため、向かった。

 森といってもとても深いし、道に迷いそうで少し不安。

 クエストでよく訪れる場所ではあるけど、ミヤリーと一緒にいくのは初めてだ。


「いい? ミヤリー何度も言うけどさ闇雲に突っ込まないでよね」

「わ、分かっているわよ! んでどっちに行けばいいわけ?」


 率先して前に出ている彼女は、分かれ道で一旦立ち止まる。本当に分かっているのかと少々不安気味。だっていつもフラグ立てるもんこいつ。HPが必ず1残る便利なアイテムがあるとはいえ、過信し過ぎもよくない。がミヤリーの場合はそんなこと眼中にはないようでいままでの冒険中、度々棺桶入りを果たしている。せめて少しぐらいは周りを注意深く見てほしいものだこれは私に切実な気持ち。


 それにしても、闇雲に探索するのもどうかと思うし、目印になる物の1つぐらいあればいいのにな。こういう場所に潜ると大抵専用のマップがデフォルトで表示されていたりするが。

 うーん地図が欲しいな。

 迷っていてもしょうがないと考えた私は。仕方ない気持ちを抱えながら一声をあげた。


「ラビットパーカーチェンジ」

「? 愛理?」


 いちいち口にしないといけないのが、やっぱ面倒くさい。でも逆によくマンガでありそうな長々とした厨二くさい詠唱を唱えるよりかはまだマシ多分ね。

 ノーマルラビットパーカーへと変身し、地図の機能を加えるべく。


……頭で念じる。

 とりま、よくゲームにある地図のナビ機能。

 オープンワールド系の円状のモニターが表示されて。


 できれば目を閉じたら確認できるようにしたいな。

 と頭の中で考える。

 すると、体が瞬く間に光り、ウインドウ画面が表示される。


【ラビット・ナビ【共】を習得。 説明:念じることで地図を表示できる。目を閉じている場合も念じれば自分・仲間(青)・敵(赤)・物体及びトラップの床(灰色)・生物の現在位置を確認可能】


 おぉ。

 これだからこのノーマルラビットパーカーはいい。

 いざという時のノーマルパーカーやっぱ汎用性高くて草。人によってはそれずるじゃねと思う方もいるかもしれないがそこは自重してもらいたい。


 なんでもかんでもチート頼りはよくない。

 こういうチート系はいざという時に使った方が、多少面白みがあって良い。

 え、そんな大して差はねえだろうって? 気にしたら負けって事でそれでお願いします。


 目を閉じてマップを確認する。

 四角いブロック状の空間が表示され、そこに青い点が2つ。

 どうやらこれが私とミヤリーらしい。


 さらにマップを確認。

 念じてスワイプするイメージをしてマップを前に。

 すると分かれ道の先のマップ情報が書き込まれる。


 右に行くと行き止まりで、なにやら障害物がいくつもあるっぽい。

 規則性があまりないので、恐らく中ぐらいの大きさをした岩だとにらんだ。

 宝箱の1つも落ちておらず、完全に外れ部屋という感じだった。


 となると問題の左側。

 その先を進むと湾曲した道から始まり、そこからいくつもの道が何通りも見える。

 ズームして念じて縮小。すると、蛇腹な道が先を見渡す度確認できた。

 ふむ。道は長いですな。


「あ、ごめんミヤリー取り乱したね」

「目なんか瞑ってどうしたの? 具合でも悪いの?」


 目を見開き話を続けようとすると。

 ミヤリーが愁眉を開こうとせずなにやら不安な様子を見せていた。

 その顔は。冗談抜きの真剣な眼差しで、ガチな対応だった。

 ミヤリー、そんな目で見ないでって。私は健全者だから。心身的な具合は別として何もないからね?

 こいつはバカではあるが、いざという時はちゃんと心配してくれる優しい心の持ち主みたい。


「あんがと、でも大丈夫だから。ちょいとこの状況を打開するための策を講じていたところだよ」

「ほ、ほんと? で、どっち行けばいいの?」


 うーんこの。

 物分かりがいいのか、それとも悪いのか。愛理さんだいぶ彼女の性格がよく分からなくなってきましたよ?

 あれか。ミヤリー実は多重人格説。

 んなアホな。まあ人って一瞬で変わるとも言うし、彼女もその部類にはいるのか? 表裏ミヤリーが入れ替わりながら戦う作品とか作れそうだなそれなら。

 そんな下らない妄想話はこのくらいにしておいて。


「左」


 指さして、進む方向を促す。


「よし、それじゃ進むわよ!」


 と軍隊行進するように進むミヤリー。

 まあ彼女は少しお荷物な感じではあるが、やるときはやる心の広いやつ。

 そう解釈しておく。


 私がそのように浮かれ、進んでいると。

 ガタ。

 彼女の足が、進む道に落ちていた小石にぶつかる。


「あ」


 彼女は、 バランスを崩して勢いよく転んでストンと、うつ伏せ状態になる。


「あいたたた……どうやら即死までにはいたらなかったようね」


ミヤリー HP1/415


 転んだだけでこのダメージ。

 あたおか。

 そうはならんやろと言わんばかりの減り具合。

 なに、君縛りプレイでもしているの? 動画でよくある『〇〇のままでゲームを攻略してみた』あんなやつかな。


 前に、RTAやTASの動画でそういうの見たけどさ。

 ミヤリーその道は非常に険しいぞ。

 だってそれは人間を超えた玄人が足を踏める領域だぜ? ただでさえバカなミヤリーがそんな縛りプレイなんてできるわけなかろう。


 ミヤリーは強打した頭の部分を、手で揺すって痛みを和らいでみせる。

 はぁ。こいつ戦士じゃなくてお笑い芸人目指した方がいいのに。

 そう染み染みに思いふける私。


「あのさ、愛理。なにちらちら私見てんの?」

「……あ、いや、そろそろお前の転職先を考えないとなぁって」

「がぁ! だから狙っているわけじゃないから!! 偶然よ偶然! だからねそんなことしないでお願いよ!!」


 いきなり飛びついて、欲しいものをおねだりする子供のように私の袖を引っ張ってくる。

 ……こうされるお父さんって苦労するんだろうな。

 改めて子育てする両親の気持ちを理解した私なのであった。



☾ ☾ ☾



【誰だってかっこよく決めたい時ってあるやん? なので伝家の宝刀は最後まで取っておく】


 進む最中(さなか)


 ミヤリー レベル17

 HP 415

 魔力 72

 攻撃 50

 防御 17

 素早さ 45 


 地味に魔力が高くて草。

 数値がかけ離れているHPはさておき、レベルと同数値の防御ってなんでなの?

 こいつ絶対あれだ。


 ドーピング系めっちゃ振らないといけないキャラだ。

 ゲームによっては、入手が極めて困難なドーピング系アイテム。

 果たしてこの世界の入手難易度はどれくらいなのだろう。


 いっそチートバグや、裏技系でアイテムを無限増殖させたり。

 乱数調整で上がる数値を尋常じゃない数値にして。私のパーティの中で、唯一シホさんに次いで2番手の主力キャラに仕立て上げたいものだ。


 そうすれば汚名返上。

 最強のミヤリーさんの完成ですねはい。

 なんか3分クッキングみたいな解説挟んじゃったけど無理だよねこれは。


 よしゲーム名は『ミヤリー最強飼育日記』という名前でゲームエンジン使って作ろうか。

 ……って私は狂政みたいに、プログラミングできる人間じゃなかったわごめん。

 でもこういうのは、妹が好物なエサだったりする。


 あいつ今頃何やっているんだろう。ま、そんなこともう私には関係ない話だ。

 さて話を戻そう。

 とりあえず、1つでもいいから彼女の主力となる技を会得させたいのだが果たしてどうか。


「スーちゃんから蘇生薬はいくつも持ってきているから、心配はご無用だよ。……でもだからといって死にに行くような真似すんなよお前」

「わ、わかってるから。それに私だってこのまま足手まといっていうのも達が悪い。良い機会だからここで一気にレベルあげるわ」


 自分で自覚あったんか。

 え、じゃ今までのくだりは一体。

 そうやるなら、もっと早めにレベル上げとけよ出ないとこっちが困る。


「……あっと愛理なんか敵がぞっと出てきたわよ。……ってこれはウィッチじゃない」


 杖を所持する長いローブを着たモンスター。

 二足歩行でこちらへと3匹現れる。


【ウィッチ 説明:魔法を使う長いローブを着たモンスター。杖から放たれる魔法をメインに攻撃する。】


 こういうモンスターって大抵物理が苦手なやつ。

 だから私の攻撃なら一発だろう。

 と私が前にでようとすると。


「おっと待った愛理」


 おいしいところを持っていかせまいと、ミヤリーが横から手の平を私の間にいれる。


「ふっふ。そうはさせないわよ。あんただけいつもずるいわよ少しは私に活躍させて頂戴」


 甘ちゃんが。

 どうせまた尻尾巻いてにげるか、棺桶送りのどっちかだろ。


 実質ミヤリーの戦闘=負けイベントみたいなものだし、彼女の勝ち筋はこれっぽっちもない。

 この世界がゲームなら一旦街に戻り、こいつを酒場に預けてラスボス倒すまで放置したい気分だけどね。

 というかフラグの臭いがまたプンプンするよこれ。

 けど、闘争本能を彼女が、こうして燃やしているわけだしここは妥協してやるか。


「あぁ分かったよ。なら行ってこい。……あでも無理そうだったら引き下がれよ」

「それはどうも忠告ありがとう。 じゃあ狩らせて……もらうわよ!」


 警告を聞いた彼女は(はやぶさ)のごとく、両手に携えた剣で敵に斬りかかる。

 いつもとは思えない速さで、畳み掛けるその速さは数メートル先にいる敵を一瞬にして捕らえた。しかめ顔の彼女から放たれるのは一寸の2連撃に渡る斬撃。


「あまい!」


 敵が杖から魔法を放つ間で、彼女は一足先に剣でその3匹のウィッチをなぎ払った。……前に転げ落ちるウィッチは再び立って体制を立て直す。


「……」

「……」

「……」 


 様子を伺う3匹。

 彼女の動きをなにやら観察しているのか。

 間もなくミヤリーの猛攻は続く。1斬り、また1斬りと。

 魔法で応戦する3匹は、呼吸を合わせ杖から魔法を。


 少し引き下がるミヤリー。

 とその時。ミヤリーは剣を交差させるように持ち、力を蓄え始める。

 なにやら闇のオーラを身に(まと)いながら、周りに立つ木々を激しく揺らした。


「これでも食らいなさい……漆黒の黒炎斬(ヘルメアスブラゾード)!」


 なに!? その中二病心くすぐるようなネーミング。

 我ながらかっこいい彼女の必殺技?(仮確定)はさておき。

 攻撃の対象とした3匹のウィッチの魔法より先に。


 彼女の技が黒い旋風を発生させながらウィッチ達を包み込む。

 木霊する黒い斬撃。

 気がついた頃には、放った箇所から黒炎がパチパチと音を鳴らしていた。

 殲滅か。ミヤリーは私の方へ駆け寄りニヤリと笑い。


「ほら! これで少しは信頼してくれたかしら? 戦う敵が今まで強すぎて放てる機会がなかなか作れなかったけど……少しは見直してくれた?」


 ドヤ顔をしたのちにウィンク。

 うん、確かに凄いなミヤリーの技。

 今まで隠していたのは何故かと、問うのはひとまず置いておき。


 パチパチと拍手を送っておく。

 照れながら、恥ずかしい素振りをみせる彼女。


「いやあ、魔力が足りなくて今まで使えなかったのよ。合間で拾った魔力をあげる瓶を使ってようやく使えるようになったけど、はあ長かった長かった」


 隠れながら努力してたんだな。

 少しは関心した。……うんほんと少しはね。


「じゃあ愛理。先に進んで更に強さを極めるわよ!」

「ほいほい」


 無碍に対応する私をかえりみず、ミヤリーは私と共に森の探索を続けるのだった。

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