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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第6章 うさぎさんと、あたおかな挑戦者達
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47話 うさぎさん達と、図に乗る侵略者 その2

【デカくなりゃいいってもんじゃねえだろ!】


 巨大化。

 アニメ、ゲーム、漫画等で度々主要キャラがよく使う体を文字通り大きくさせる強力な能力。

 時に、小さくなった敵を踏み潰したり、ある時は敵を一旦門面なんかにしたり……。


 とにかく強力。

 弱い者虐めできます。いやよくねえだろ。

 そんな危険な境地に私は今、立っていた。


「どおおおおだああああああ!! 愛理いいいいいいいいい! 天才マウント様の力に驚いて声も出せないか!?」


 自分が強くなったからと言って、イキがっているナメップ星人さんが1人。

 巨大化した体の下にいる私を、見下ろし自慢するかのように高々に声を上げた。

 うるせえよ。


 教師が、体育の時に使う拡声器よりもでかい音。

 一瞬鼓膜が破れそうになったが……これはパーカーの能力が仇になったせいか?

 ちょいと手加減しすぎた感が否めない。


 しかし、そんなものは過ぎ去ったことのできごと。

 今更思いふけっていても、時間の無駄になるだけ。

 遠くから、大きな石に隠れるようじっと私を見守る私の仲間。


 じー。


 とまた私を観戦しつつ。

 前回も言ったけどこっち見んなよ。

 え、なら後ろ振り向かなければいいじゃんって? ……それもそうか。

 ということで、ギリシャ神話に出てくるオルフェウスの話みたいに、後ろを振り向かず戦うことにする。


 すると、瞬く間に体が発光。

 お、これは。

 石の方を見ると。


「……ファイトです」


 bのポーズ。

 身を乗り出してひょこっと顔を出したのはスーちゃんだった。

 どうやら、何かしらの魔法を私にかけてくれたらしい。

 影が薄かろうと、こういうことができる彼女は気前が非常にいい。


「大丈夫なんですかスーさん? 敵に悟られでもしたらどうするんですか?」


 いや大丈夫だろ。

 だってあのナメップ星人なんだぞ。

 如何にも『自分はバカです』と言う口調しているから、まともに隠れる3人の存在に気づきもしなさそうだけど。


「大丈夫よシホ。きっとまたあのナメップ星人とかいう異星人をボコってくれるわよ」


 いつになく、自ら自爆特攻しないミヤリー。

 彼女っぽくない一面だが、これも日々私がしつけし続けた当然の結果か。

 というかさらっと私が、なんでも倒してくれるみたいな言い回しやめろや。


 決めた。

 あいつには、この上ない辛さを明日でも経験させることにしよう。

 丁度、過労しそうなクエストがあった気がするし。

 前を向き、マウントの方へ視点を切り替え。


「あ、ごめんなんか珍しそうな虫が見えたもんでつい目逸らしちゃったよ」


 下らない言い訳を述べる。

 咄嗟に思いついた愛理さんの藉口(しゃこう)である。

 こんな小学生が思いつきそうな発想で、誤魔化すことができるか?


「なに!? 何処だその虫は」


 怒りを買い、襲われるかと思ったが私の言った偏見はどうも間違っていなかった模様。

 え、バカなのアホなの? 食いついちゃったよこの人。

 ……宇宙人を人っていうのもなんか変だけどさ……あっちからみて私も宇宙人なので人では…………。


 ダメだ。

 勉学ダメダメな愛理さんには、そんな気難しそうな考えはからっきしだめです。

 ……とーだいせいの知恵でもお借りしたいものだ。

 今更思う。勉強ってやっぱ大事なんだなと。


(おい仲宮! またサボって家でゲームなんかしやがって!! 少しは勉強しねえか!)

(はい、先生サーセン。先生とサーセンってなんか似たような響きに聞こえません?w)


 やば。

 んなこと考えていたら私の嫌いな愛理キラーこと、担任のクソ教師(自称)を思い出したじゃねえか。


☾ ☾ ☾


【適当にほざいておけば、なんとかなるかもしれない】


 気を取り直して。


「向こうの茂みに200ミリ越えのヘラクレスオオカブトがいたよ」


 はい、当然嘘です。

 この世界にカブトムシいるかはわからないけど、頼む通ってくれ。


「なぬ、カブ……なんだって? ……まあいいこの地球に住む貴重種かなにかなのだろう? ……高値で売れそうだしこの天才である俺様の知恵ならこんなの造作もないわ!」


 と胸を張りながら私が指さした、茂みの方に首をひとひねり。

 真に受けすぎじゃね。

 天才=ある意味バカという意味で。別の意味合いで彼はバカ。

 そのように捉えていいだろう。

 マジで低脳すぎて草。少しは疑念持つことを覚えようよ。


「ふいっと」


 よそ見しているマウントの背後に瞬間移動。

 拳から放たれる弾丸のような攻撃。一発毎、剛速球に飛んでくる拳がマウントの体に直撃する。


 ドドドドドド。


 もうこれMG(マシンガン)だろ。

 よし命名しようガトリング・ラビットパンチと。

 では改めまして。


「ガトリング・ラビットパンチ」


 相変わらずの棒読み。

 ほらそこ、反応うっすとか言わないの。

 私はこういう人間です。


「うぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!」


 諸に命中。

 一撃が重いその拳の数々はマウントを地に這いつくばらさせた。

 地面には巨大なクレーターができ、穴からは煙が上がった。

 マウントは、やや横に倒れながら痛々しそうに体を動かして。

 ……なんかどこかのアニメでみたようなワンシーン。


 あれだ。油断して死亡フラグを言った武闘着を着た男が、敵による捨て身の爆発で巻き込まれて死ぬアレ。

……ったくマウント無茶しちゃってさ。

 1度、言ってみたかったので言ってみた(検証動画的に)


「いたた……何しやがる! 危うく病院送りになるところだったじゃねえか」


 病院あるのかナメップ星。

 まあ文明が進んでいるところだし、ないこともないよね。


「さっき不意打ちしてきたくせに。そのセリフはおかしいんじゃない? はいざまあ」

「ば、バカにしやがってこれでも食らいやがれ! カァ!!」


 起き上がったマウントから放たれる巨大な怪光線。

 辺り一面を焼き付くことができそうなその光が私の体ごと包もうとする。……これで倒せるとか思っているのだろうか。

 まあ偉そうに、常優勢に立ちたいと思っている異星人だ。

 自分が強いと証明する強力な一撃(笑)と解釈しよう。

 悠々と、片手を前に突き出して攻撃を受け止め。


「う゛ぁう゛ぁう゛ぃ!? でぃまでょっだが!? ごどばばげじどぅびでぃだでぇ!!(な、なに!? 血迷ったか!? このまま消し炭になれッ!!)」


 日本語でおK。

 いや宇宙人だからここは宇宙人語でおKと言うべきか。

 宇宙人語ってなんだよ。


「はいはいちゃんと喋ろうねっと!」


 また。

 多少のエネルギーをもらいつつ、余分な吸収したエネルギーは倍にして打ち返した。

 巨大な迫り来る光をみてマウントは、周囲を走り回って逃げ惑う。


「ぎゃあああああああ!! なんだよこのうさぎはあああああああああ!! エネルギー吸収するとか反則だろ!!」

「あ、ごめん加減ミスったわ」

「ミスったじゃねええよ! か、神様どうかこの俺を助けてくれえええええ」


 その神様に私あったことあるんだけど。

 ……光線を諸に食らったマウントは、体を焦がしてカタカタと体を震えさせていた。

 幸い死んではいない。

 ()()()()()()にいたぶっただけ。


 ……なんか涙目になっているし、なにこれ背徳感ってやつなのかな。

 私別に悪いことしてないと思うんだけど。


 漸次。

 巨大となった体は元に戻っていき、元の人間サイズに戻ったマウントに近づいた私は話しかけた。


「……その懲りた? 私そろそろ腹減ったから早くこんなクソみたいな戦い終わらせたいんだけど。悪いけどさ地球人にも"都合"ってもんがあるからいい加減空気読んで欲しいなぁ」


 胸ぐらを掴んで堂々と、拳をマウントの方に向けて。

 もしこれでも図に乗るようだったら、私が完膚無きまでにフルボッコにしてやろう。痛い目をみないと分からない系のやつだったらそうする。……宇宙人さんよ悪いことは言わない私を舐めない方が身のためだぞ? ……おや体がバイブレーションみたいに震えだしてね。


「ひいいいいいいいいいいい!! ど、どうか命だけはお助けを!!」


 ぽいっと。

 掴んだ手を離して。


「へ?」

「あぁ! いいよマウントさん!」


 普段私がやらない、無理な笑顔で顔を作る。

 自分で言うのもあれだが、キモ過ぎて吐き気がしてきた。

 もう数秒の辛抱。耐えろ私。


「その代わり…… 一言いい?」

「え…………」

「うさぎ舐めんなよクソ宇宙人がああああああああ!!」


 剣幕のこもった声。

 溜まりに溜まったストレスのパンチを解き放った。

 力を落とさず放った私の拳は、戦意消失したマウントの顔に顔芸を作るかのごとし、顔面が変形。そのまま掠める風のようにUFO側へと激突。

 双方は強大な引力に引かれるがまま、遠い宇宙の彼方へと飛ばされ消えていき蒼穹に星が煌めいた。


☾ ☾ ☾


【それでもうちのとあるメンバーは、期待を裏切らないいいのか悪いのかワケワカメ】


「ふう、おわったおわった」

「や、やった! ……留異世(りゅういせ)完!」


 隠れていた3人は、私の方に駆け出し真っ先に手を掴んでくるシホさん。

 勝手に終わらすな。

 ただでさえpvがあまり伸びないからと言って、まだ終わらないからねシホさん?

 って私達なんの話しているんだ。


 ともあれ、まだラスボスも倒して…………つうか倒す気ないけど、気が向いた時にでも退治しにいけばいいでしょ?(軽視)

 どこかで聞いた某人気漫画のような名台詞。

 あぁ知っている。擬音の主張がやたらと激しいあの漫画。


「その言っていること分からないけど、声援ありがとう」

「……防御の魔法かけておきましたけど、使うまでもありませんでしたね」

「? あれ防御底上げの魔法だったのスーちゃん?」


 こくり。

 ミヤリーの言葉に頷き返すスーちゃん。

 かわいいなおい。

 ……絵がないのであれだけど、きっとこれはオタクが「ブヒーッ!!」とか言いそうな異常なかわいさだぞ!


「……でも無事でよかったですよ。私はてっきり愛理さんが押しつぶされてしまわないか心配で」


 私ってそんなに柔じゃないんだけどな。

 スーちゃんって結構過保護なタイプの女の子かな。

 まあいいかわいいしそこは許そう。


「流石ですね。圧巻のパンチでしたよ ……私がいなくても大丈夫でしたね」

「ええとそれは、どういう」


 真面な返答は返ってこないんじゃ……。


「? もし愛理さんがピンチだったら駆け出して瞬殺するつもりでしたが」


……シホさん恐ろしい子。

 少しは平和的に…………ねぇ? ナメップ星人にとっての宿敵はもしかしたら彼女なのかもしれない。

 彼女なら瞬殺ゲー、RTAなどの多彩なる技の数々を繰り出せそうだが戦わせなくて正解だったかなこれは。


「と、とりあえずさ、みんな帰ろうギルド行ってメシでも」


 話を切る。

 これ以上話していたら私の気がおかしくなりそうだと思ったからだ。

 いやマジで。

 シホさんなら色々とんでもない話を吹っかけて来そうだからね。良くも悪くも。

 そうして、仲良くギルドへと向かうと。


 バタン。

 ? あれれー。

 もう嫌な予感しかしない。アレですよねきっと。

 親の声よりも聞いた転倒音。

 後ろを振り返るとそこには。


「ちょっとシホ!?」

「……シホさん大丈夫です?」

「マジかよ」


 またしても、シホさんが空腹で倒れた。

 というか、狂政の恩恵果たしてあれは意味あったのか。

 前と差ほど、変わらない様に見えるけど。


「空腹でまたお腹が……すみませんお二方。ギルドまで運んでもらえると助かります」

「ち、ちくしょおおおおおお!」

「ま、またぁなのおおお?」

「……お、重い」


 3人でシホさんを抱えつつギルドへと足を運ぶのだった。

こんばんはです。

みなさん熱中症対策大丈夫でしょうか?

私は耐性がそこそこあるので平気なのですが。

まあ愛理並に神耐性があるわけではないのでかかるときはマジでかかるかも。おぉ怖い怖い。

さて今回はブラフの弟が襲来したわけですが、案の定愛理の圧巻の勝利です。

彼女はすぐには戦いを終わらせず、ゲームを楽しむ言わばマイペースキャラなので、すぐに勝とうとはしません。作者の個人的な描写なのもありますが、そちらの方が多少見応えがあるかなと個人的な偏見ですがそこは工夫しているつもりです。

次回もクソみたいな挑戦者達がまた愛理達に勝負を仕掛けてくるかも。

そんな敵に対してうさぎさん達はどう戦うのか。

さて次回もまたお願いします。ではでは。

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