46話 うさぎさん達と、図に乗る侵略者 その1
【ケンカは迷惑にならないところでやった方がいいだろう】
そんなこんなで。
またしても4人で街の外へと出向いたわけだが。
「あ」
一目で確認できたのは巨大なUFO。
昨日やってきたナメップ星人が乗ってきた物と似ている。
ミヤリーに呼ばれて、一目散に駆けつけたけど今度は一体何用か。
「昨日に続いて一体何? 懲りずにまた無駄な争いをしにきたんじゃないでしょうね」
「……よくわかりませんが入れ違いか何かなのでは?」
「なるへそ」
確かにそうも捉えることができるな。
だが、何故そんな無益な戦いを挑もうとするのか。
なんだあれか。
俗に聞くどMとかそんな部類? 宇宙人も色々といるんだね。この星に来るということは何か目的があって侵略しにきているかもしれない。
映画でよくあるパターンの、地球を侵略して自分の故郷にすることや、現在住んでいる星が寿命を迎えているので、侵略しにきますた……的なノリで人類に宣戦布告してきたりとジャンルは様々だが、君達はどっち派だい?
「ぼさっとしないでほら扉開いたわよ?」
考えに耽る私にお構いなしで、ミヤリーが袖を引っ張ってきてUFO側を指差した。
……いつの間にかハッチ開いているし。
まさか時間飛ばしか何かのス●●ド能力か? と少々予想した。
いや、単に私が気づいてなかっただけで、私の感覚的にそのように感じた……いわゆる錯覚。
さて、今日の挑戦者の顔とご対面と行こうか。
中から出てきたのは。
「おぅおぅ! 生意気な地球人め!」
なんか開口一番。
変なこと言う、うるせえヤツが飛び出してきたぞ?
見た目は昨日のブラフと同じ風貌だが、性格は全くの別人だった。
昨日のブラフは最初から舐めプしているような感じだったけど、こっちはケンカ売ってくるような不良なイメージ。
するとニヤッと笑い、語りだす。
きめぇ。
どうせ変なことを言い出す気だこれ。
「俺は、ナメップ星人のマウント! 貴様が昨日倒したナメップ星人の弟だ! ……お前よくもよくも……」
いかにも噴火しそうな火山のような様子をその顔に見せつける。
激を飛ばしそうな人差し指が、私側へと向けられ。
なんか目の敵にされている!? どう言うこと。
お姉さんに分かりやすいように順追って説明して! お願いします。
「兄貴はな、全治1ヶ月の入院になったんだぞ! 貴様の拳でそうなったとな! 話は兄貴から聞いているぞクソみたいなうさぎに殴られて帰ってきたとな!」
はい、どうもクソうさぎです。
現時点の状況をご説明します。ブラフの弟と名乗るマウントとか言うナメップ星人に目の敵にされているのですが、どうしたらいいのでしょう?
調整中。
心の中で一芝居して、適当な答えを思い浮かべ。
てか。全治1ヶ月って。それもう重症レベルじゃね。
やられた兄貴の仇を打とうと、こうして弟が勝負を仕掛けてきたってことか。
そこまで、怒ることなのかな。
私にも一応妹いるけど、ソイツとは馬が合わなくて別居で暮らすことになったし、正直怒りを買う気持ちがすまんけど理解できぬ。
歯を剥き出して、すっげえマジギレ状態。
はぁ連戦きついっすわ。学校の部活による朝練並に億劫。因みに私は部活は1度も入ったことないので、単なるエアプ発言として捉えてよね。比喩的な物言いでこのように考えているだけ。
「あぁあの馬鹿の弟さん? 悪いねぇお兄さんをあんなにフルボッコにしちゃってさ。つい弱いもんだから追い返してあげたよ」
「ふん。まあいい。愛理だったか? 兄貴を倒したからって調子乗ると痛い目に遭うぞ!」
「で? その根拠は」
「俺は天才だアアアアア! ナメップ星人の中でも戦闘に長けたエリート。貴様がどんなトリックを使ったかは知らんが2度も通用すると思うなよ」
はあ舐めプするやつの次は、マウントを取ろうとしているあほが湧いてきた。
こいつらの執着心なんかすごい。
トリックってなんぞや、種も仕掛けもないぞこの服は。能力云々は除くけれども。
「どんなことするか知らないけどさ、相手になってあげるよ」
「1対1のタイマンだ。先に参った方が負けだぞ」
「真剣勝負ねぇ。いいよ受けてあげる。……みんな下がってて」
「了解です。愛理さんお気をつけて」
シホさんが一言。
無事を祈るかのような言葉を告げると、スーちゃんとミヤリーを腕で押すように引き下がる。
きがつけば仲間の3人は完全に観客と化して。
やめろ、人前で見られるのちょー恥ずいわ!
「ジー」
「ジー」
「ジー」
だからこっちみんな。
一同による視線を浴びながら、命取りの戦いではなく。下らないくそったれな宇宙人との戦いに臨むのだった。
☾ ☾ ☾
【真剣勝負はちゃんと受けないと友達失くす……かも】
「どこを見ているうさぎよ! マウント様の渾身の一撃を食いやがれ!」
よそ見をしていたらマウントの豪速球パンチが飛んできて、私の頬に見事にヒット。
……そのまま私は受け流し、相手の顔を見る。
「せめてカウントぐらいとれよ! いってえじゃねえか」
実際大したことはないんだが、これはあまりにも卑怯だな。
格ゲーでも戦いが始まる前は、画面上を走り回りながら時間潰しするぞ。
不意打ちとかクソガキじゃないんだからやめなさいって。
と言うわけで、返しのカウンターパンチを軽く腹部に叩き込む。
瞬時。
私の解き放った高速の拳が、マウントの腹部に直撃。
「ぐべごぼう!」
腹を抱えたまま、辛うじて立ち尽くすがなんかめっちゃキツそう。
ゼェゼェと息を切らして、再び姿勢を直すと次の攻撃に備えて身構えた。……息ハァハァなっているけど降参するなら今のうちだぜ?
「ま、まぐれだろ!? さっきのは。 たまたま強風が当たっただけだ!」
変な言い訳を。
明らか手応えある音したし、そんなの言い訳にならんと思うんだが。
「こうなったら……たあああああああ」
やけくそ攻撃来ましたわ。
猛然としたマウントの、間髪入れずに放つパンチが幾度も繰り出される。反射的にその攻撃をかわしてまたかわす。敵の攻撃は宇宙人ということもあり、非常に素早い動きをしていた。
避けながら測定っと。
【パンチの速度測定……約0.5秒】
はええなおい。
でもそんな速度のパンチを余裕で交わせる私って。
パーカーの性能が高いこともあるけれど、0.5秒か。それよりも速いとか十分に化け物スペックじゃない?
なんか某有名バトル漫画の、戦闘シーンに加入しているかのような気分だぞこれは。
「な、なぜだどうしてこの高速パンチをかわせるのだ!? 一応宇宙一速い高速パンチなんだぞこれは」
「知らんがな」
宇宙一とは言い過ぎるにも程があるが。
本当は強い……というわけらしいこのナメップ星人のマウントさん。
おっと先ほどより、息切れが激しくなってきているぞ?
何もうおしまいかい?
「ぜえぜぇ。 あ、当たらない」
膝をついて、手を伸ばすマウント。
相当堪えているようだが、まさかのこれ運動音痴かな。
「続けるの? 私は後1時間くらいなら付き合ってあげる」
自分がナメプしているのではないかと自覚する。はぁなにやってんだか私。いつもなら敵を徹底的に完膚無きまで叩き潰すけど、少々手加減して増長した私は敵を見下す欲情が発動したみたいだ。わりぃどうやら私の方が強かったようだね変な宇宙人さん。
彼の元へと近づいてその場で中腰。
独特な体臭が気になるところだが、そこは控えておくとして。
「ま、まだだ! 俺は自分をまだ敗者だと認めていない」
なんかどこかのライバルが言いそうなセリフだな。
……えぇとあれはロボットアニメだったような。
まあ私まだその頃生まれていないんで、リアタイ視聴者ではありません。
決してエアプではないけれど、DVDで小さい頃見てた記憶がある。
すると、再び立ち上がり引き下がって。
お、やる気だな。
精出ますねマウントさん。
「たあああアアアアア!」
「ファ!?」
マウントは急に強大なオーラを身にまとい。
「な、なんですかあれ。ナメップ星人さんが」
「……巨大化できるんですね」
徐々に体を大きくしていき、全長30メートルはあるであろう体へと変身する。
「デカすぎたんこぶ」
「ふーはっはは! 驚いたか! これがスーパーナメップ星人だ! 能力は変身前と比べて10倍。いくら強いお前でもこれだと太刀打ちできまい」
巨大モンスターとの戦闘フラグ。
やたらとこの世界で多いような。
これはまた物騒な、しかも相手は調子に乗るアホだし。
嫌々ながらも、私はもう少しだけこいつと遊んでやることにした。
ってかクソみたいなやつばっかだな。この異世界及び宇宙に住むこのナメップ星人も。
頑張れうさぎさん。諦めるのはまだ早い。
逆転の一手を……打つ必要はないのだが少し余興を楽しむ愛理。
戦いの果ては希望かはたまた絶望(ネタ的な意味で)か。
マウントとの果てしない戦いは次回へと続く。
つうかうるさいよナレーション。勝手に私の心の声に加入しないでよ。
というわけでコイツとの戦い、次回もまたするからみんなこんなクソうさぎだけどよろしくね。
さてどうなることやら。
トゥービーコンティニュー。
こんばんは暑いですね。
さて今晩も頑張って書かせてもらいました。
毎回巨大モンスターばかり登場させていますが、全部迫力を増さようかなという作者の意向です。
実はブラフの弟さんが今度は敵討ちに地球侵略にきた……そんなお話です。
この後もまた違うナメップ星人がきたりこなかったりで。まあちょいとしたサブイベントと考えてもらえれば何よりです。
明日愛理は一体どうなることやら。
熱戦を極めるような戦い……まあそうはならないと思いますがスパッと書かせてもらおうと思いますです。
では皆さんまた明日お願いしますそれでは。




