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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第5章 うさぎさん達、力を付けに行きます!
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番外編 うさぎさん達、色々試行錯誤する その1

ゴリマッチョ君戦闘後の話となります。

【人はみな、眠っている時好きな夢を見たいと思うことあるじゃん?】


 気を失い数分いや数時間……たったわけだが(分からないけど)、みんなは果たして大丈夫だろうか。

 あの巨大なモンスター、ゴリマッチョ君。

 名前は如何にも馬鹿にしているようなネーミングだが、力は確かなものだった。


 倒したと思ったら最後の最後で攻撃をもろに食らってしまい、そのままシホさん達にあとを任せる形で私はそのまま気を失った。我ながら情けないけれども。

 今でも心の中で反省している。

 いつも仲間には、最善の注意を払いながら油断するなの言葉をかけているが、その言っている本人が油断してどうするんだって話だけど。


……はい、染み染み反省しております。

 本当です信じて下さい。

 とそんな話はさておき。


 気になる事が一点。

 なんだここは。

 空は暗く覆われており、雲1つとて見えやしない。まさかのここはあの世か? 私がドジッてしまったせいでガチの死亡フラグがたったとか。……いやいやにわかには信じ難い。

 でもこういう場所異世界物でよくあるでしょ。異世界フラグが立った直後最初に召喚される場所、なんかそういうのによく似ているというか。


 私はそんな場所にぽつんと1人、椅子に腰掛けている。試しにイスを上下に動かして時間つぶそっと。私が家でよくやっていたやつ。……ありゃいたって頑丈でなかなか動いてくれない。ちぇつまんないのやーめた。

 向かえの机には、誰も座っていない椅子が1脚。……誰の席だあれ。

 まあ、夢の中だからどうでもいいが、早く目覚めないかと時間を持て余していると。


 天より反響する声が。


「よくぞきた愛理よ」


 年老いた老人の声。

 周りを見渡すが、それらしき人物はどこにも見当たらず。

 どこにいるの? 全然姿が見えないんだけど。チキンかと疑いたくなるレベル。

 正直、正々堂々前に出て話しやがれと言いたくなるくらい。

 実は自分が存在を認識していないから相手が見えていない……とかそういうオカルト染みた可能性も大いにあr…………いやねえよ。


 で。

 結局この声は一体誰なの? まさかと思うけど()()()的な存在が降臨するのでは? んなバカなというかそんな物があったら、世の中のオタク達知りたくもない事実を聞くハメになるだろ。いや私もそういうの勘弁な。


 キョロキョロと辺りを見る。

 どこも変わったところは……ないな。

 辺りに人がいるであろう場所を探そうと思ったが、椅子以外何もなかったのですぐに諦めが付いた。


 かくれんぼかよ。

 私は見つけるのは得意でも探すのはからっきしだめなんだよ!

 ……まあそんな私の私事はどうでもいいとして。


 ? なんか目の前の椅子が。

 先ほど誰も座っていない席から薄らと視認できる人影が現る。

 不透明なシルエットから次第に色つきが鮮明になり、ようやくその姿を捉えることができた。なにその光学迷彩機能、原理云々はいいからそれよこせ。あ、こんなこと言っていたら私がクレクレ厨認定されてしまうから自重しておこう。


 夢だからと言って、変な夢をみせないでもらえると嬉しいのだが……もう何が何だか。


「ここじゃよ! ほっほ」


 座りながら、長いひげを撫でながら私の方を見ている、体がやや低めな1人の老人が姿を現す。

 いや誰だよ!? このおじいちゃん!?

 昔話によく出てきそうな、神様似の見た目だけど急展開過ぎて脳の情報処理が追いついていない。


「お、おじいちゃん誰?」


 恐る恐ると、軽い口調で聞く。

 とても偉い位についていそうな人物だが、なんか優しそうな見た目だし普通に喋ってみる。座高はそこまであるわけでもないが、顎から伸びたひげが大きな筆を象っているように長い。そこを手探りで癖のように触りながらこっちをチラチラと。こっちみんな。


「……ワシは神様じゃよ」

「神様? ……えぇと」


 唐突に自分を神だと言うこの老人。

 なんか胡散臭い。突拍子もないことを何言い出すんだとジョークも大概にしろと根を押したくもなる。「あ、実はこれフリだったんじゃよ。(腕から『ドッキリ大成功!!』の看板を掲げながら)テッテレー!」みたいなオチとかあったり。


「なんじゃその目は? …… なにも信じとらんぞみたいな顔は」


 老人とは思えない活気。

 快活した様子に対し私が無関心な顔をすると、少々苛立ちをみせた。


「あの、勝手に人の心読まないで欲しいんだけど。というかさ私は真剣に話してんのにいくら自分のひげが長いからって遊ぶのはやめろよ」

「わりぃのう。これワシの癖みたいなものじゃよ。ほれお主風に言うのなら"わしらには救えぬものじゃ"とでも言えば分かるかの?」

「なぜにそのセリフしっているし。おいじいちゃんパリポ舐めんなよ」


 いや草。

 なんでスイッターで一時期流行していたセリフをこの人知っているの? 神に常識は通用しないとかそんなノリ? 大人の事情奥深いな。……私もあのタグ使って大喜利たくさん作っていたからここでいっちょその迷言を吐いてやってもいい。(相互の方から『ツマんね』と言われたことはひとまず置いておくが)


 気を取り直し咳払いを1つ。

 すると私とおじいちゃんの間に、巨大なちゃぶ台が出現する。

 なに? 某国民アニメによく出てきそうなこのちゃぶ台は。

 ……私の両親はおろか私でもこれ知っているよ。あのアニメあれでしょ? 一家のキャラ名が、魚の名前から因んでいるやつ。小さい頃よく見たな。あ、でも一部登場キャラにサイコなキャラいなかった? ……まああれは社会の闇だと思う。そこのところはご想像にお任せしますということで。


「よし、愛理よ今から復活の……ぺぺぺ……なんじゃったかな?」

「それ私が好きなゲームの呪文じゃん。……よく知ってるね」

「当然じゃよ! 外界の様子はよくみとるからの」


 自称この神様は、どうやら色んな世界の様子を覗き見している模様。

 え。

 じゃあ異世界に来る前の、私に関する様子なんか全部知られちゃっているのもしかして!?

 いや、それストーカーじゃん。


 ……まあ昔から神様はいつも私達をみているから、隠し事なんて全てお見通しだと私のおばあちゃんがよく言っていたけど、迷信じゃなかったんだあれ。

 というか今は、どうでもいいわそんなこと。


「……それで、これって夢なわけ? なんかそうは見えないんだけど」


 明らかに夢にしてはよくできすぎている気がする。

 非常に現実的。

 嘘偽りのない、現実に近しい空間に感じるのだ。なぜだろう。


 おじいちゃんは、下からヤカンと茶碗コップを取り出すと、そこにお茶を注いで一口すする。

 いやどこからそれ取り出したのさ。

 魔法か何かで取り出したわけ? 神の存在って迷信じゃなかったと今更ながら確信。

……というかさ早く起こしてくれよ、もしかしたらシホさんが腹を空かせてまた倒れているかもしれないからさ。


「悪いがの……愛理よ おぬしの夢の中に少し介入させて貰ったんじゃ」

「え、どゆこと?」


☾ ☾ ☾


【ヒーローってよく強力な力が眠っているとかそんな設定あるけど、あれってどんなフラグで立っているだろうね】


「だいたい今何が起こっているかわかったけど」


 要点をざっくりとまとめる。

 このおじいちゃん、正真正銘の神様なんだとか。

 普段は色んな世界を見ながら、そこで人を別世界に転生、転移されせている人物? らしい。

 今回は気を失っている私の夢に話す機会を設けるため。

 丁度このタイミング。つまり私が気絶している間を利用し、夢の中に侵入して私との対話をすることにしたみたいだ。


 なぜにこのタイミングと少し腑に落ちない部分もあるが、人にも都合があるように神にも都合があるのだろう。

 おじいちゃん私の重要な夢を横取りして、こんなことをするなんてもう少し空気読んで欲しかった感があるけれど。

 休む時ぐらいゆっくりさせて欲しいよこん畜生。


「すまんのぉ。こうでもしないとおぬしと話せないからの。どうしても話したいことがあってなぁ」

「…………分かったよ神じいちゃん」

「か、神じいちゃん!? 愛理よ私を馬鹿にしているんじゃなかろう!?」


 別にディスっているわけじゃないんだけどな。

 呼ぶの面倒くさいから、こう呼ぶことにしたがどうも気に食わない様子。

 すると神じいちゃんから一言。

 眉をしかめたヅラで私に。


「愛理お主。少しネーミングセンスの研究した方がいいんじゃないかのう?」


 むかっ。

 馬鹿にしてんのか。

 私だって怒るときはちゃんと怒るんだからさ。

 なに? 喧嘩売ってんの正気? 立ち上がり身構えようとすると、早まるなと手を出してくるおじいちゃん。


「ま、待っておくれ! 悪かった悪かった……だからこれで許してちょんまげ」


 なんだかいい匂いがする。

 食欲をそそるとてもいい匂いが…………だ。

 テーブルには、茶碗一杯のカツ丼が目前。


 警察かよ。

……食べるべきかこれ。というか今私夢見ているんだよね。でもじーちゃんは私の夢の中に入り、私とこうして話している訳で。がぁあもうわからん! わけわかめだ!


「……まあいいけどさ。で? 私と話したいことって? ……みんなが待っていると思うから手短にね」


 自然と、箸を動かしながら話を聞くことにした私。

 丁度、腹も減っていたし、食べて損はないだろう。夢なのか現実なのか区別がどうかはさておき、無性に腹が減っていた私はそう言う考えは捨て、空腹を満たすために私は箸でカツ丼を食べる。うん上出来じゃないか。食堂の手料理にも引け取らんぞこの味は。


 ……もぐもぐ。おぉ懐かしいなこの味。

 結構いける。


「……愛理……。 いやあーちゃんって呼ぼうか。……ちょいとな」


 あのやめてくれない? その名前。

 オカンに昔そう呼ばれていたことがあったけれど、めっちゃ恥ずかしくて何度もやめるように説得した悪い思い出が頭を過る。

 まじでやめてくれ。もうその名前はこりごり。


「おじいちゃん……やめてよその名前。めっちゃはずいから。他の人に聞かれたらどうするの」

「案ずることはないよあーちゃん。ここは他に誰もいりゃせん。だからこう呼んでも問題はなかろう?」


 確かに個別の空間で、誰もいないわけだしその観点は問題なさそう。

 ……あぁめんどくせえ。もう好きな呼び方で言えこん畜生。

 気を取り直し。


「ワシがここに呼んだのは、他でもない……お主のことじゃ」

「は、はあ」


「…………全くこの異世界来てからお主のことを外から見ていたというのに、なんじゃあのやられ方は。……お主は慎重と言う言葉をしらんのか」

「は、はい深く反省しております」


 なんか軽く説教された。

 それはさっき自分でも、反省したことではあるが2度もこんなパンチの効いた攻撃が来るなんて。


「まあ……お主の仲間達は頼もしい愉快な者が多いから、少し羨ましく思うでよ」


 うーん。

 愉快ねぇ。

 確かに愉快で頼もしい間柄に恵まれていはするんだけど、いつも足引っ張ってばかりじゃないか。

 肝心な時にすぐ死んじゃうHPクソ低い少女だったり、存在が薄い天才魔法使いや、空腹でよくぶっ倒れる腹ぺこなお方だったり。

 そのどこが愉快なんだろうか。少し荷物持ちな気分だがどういう目線からこのじーちゃん言っているのさ。


「……神じいちゃんバカにしてんの? ……私達はね漫才師目指しているわけじゃないからね?」

「いや、でもいつも楽しそうじゃないか。……あーちゃんは苦労はするが結構頑張り屋じゃろ? とりあえず手助けしたり、とりあえず仲間を救ったりで」


 とりあえず多いなじいちゃん。

 ……でもじいちゃんが言うように、なんだかんだ私もみんなのこと気遣っているからな。

 苦労はするけど、それでも悪い気がしない感じだ。


「うむ、本題に移るがあーちゃん。 君に耳寄りな情報を持ってきた」

「え? なになに気になる」

「お主の来ているラビットパーカーはのう、まだ隠されている力があるのじゃ」


 私のパーカーの事を知っている?

 じゃあこのパーカーをくれたのはこのおじいちゃんかな。


「細かいことは分からぬが、そのパーカーには誰にも引けを取らない強力な力じゃよ。 ……戦い続ける度にパーカーは以前より力を増幅させ、装着者の能力を全体的に強化させるんじゃ」


 要するにAIみたいな学習機能が備わっている感じか。……確かに言われてみればアサルトの弾が徐々に跳ね上がってきたような感じがしていたが、そういうことだったんだねなんていうハイスペック。

 あれでも今回はなんですぐにやられたんだろう。

 戦っていけば強くなる。……ん? 待てよつまりその逆もあるってことなんじゃね?

 苦い顔をしながら恐る恐るとじーちゃんに聞いてみる。


「ち、ち、因みに私が今回の戦いでやられたのは?」

「うむ、まだ力が不十分じゃったからじゃろう。 あんな木の葉1枚だけじゃったからの。 先ほどのリーフじゃったか、あれだと大体本来の10%ほどの力かの。……もっとたくさんの自然の力の源があれば、一発でやられることはなかったと思うんじゃが」


 つまり私の判断は粗削りすぎで無理があったってこと。

……もうちょっとたくさんねぇ。できていたらそんなの造作もなかったよだって隙を作るのが大変で、作るのも手間がかかった。

 手が千本あるわけでもないし、そんな神業どうやれと。


「そんな苦い顔するでない。案ずるな、戦っていけば強くなるぞい。……お主でいうレベリングあるいは経験値みたいなものじゃ。使い続けていくうちにパーカーはどんどん強化されていくぞい」


 ふむ。

 大体把握。

 戦っていけば戦うほど、身体的にもパーカーの能力も強化されていく……シンクロシステムになっているわけだな。それって行く行くは人の手に届かない場所に到達してしまうのでは。わくわく感と同時に不安が自分の中で少し過る。

 うーん。

 奥が深いねこのパーカー。


「ありがとうおじいちゃんじゃあ頑張ってみるよ」

「どうってことないぞい」

「あと、1つ質問なんだけど……おじいちゃんが私にこのパーカーくれたの?」


 念の為聞いてみる。

……だが、意外な返事が返ってきた。


「うーむ。それはワシじゃないんじゃ。誰という当てもおらんし、たまたま発生した謎現象によって授かった強力な力と言えよう」

「? おじいちゃんじゃない? ……謎現象って。 でその謎現象によって手に入れたのがこのクソぶっ壊れパーカーと」

「うむ。 まだ不確定要素が多いから全部が全部分からないんじゃ。 ……そうじゃなお主の言葉に代えるのであれば、バグみたいなものじゃ。……本来の転移や転生特典で付いてくる能力は一部だけの強力な能力だったりするんじゃがの」


 うん?

 じゃあ本来はほんの一部しか強力な力を得られないってこと?

 それが、偶然強力な能力全てが凝縮され、このパーカーが生まれた。

 そんな感じかな。


「お主はとてもついているのう。運がいいとはいえ、その力さえあれば魔王だって倒せるレベルじゃぞ?」


 いやそれ初耳。

 じゃあこのパーカーは正真正銘のぶっ壊れ能力が詰まった品物ってことか。

 いいことを聞いた。前に一緒に討伐しに行ってくれないかとお誘いを受けたが即座に拒否した。


……今でもラスボスを討伐しにいくだとかは私の眼中にはない。それはもうちょっと終盤にさしかかったくらいにやるぐらいで今やるべきことではないと、心の私がそういっているからだ。あ、これ決して私が二重人格だからじゃないよ? 心理的な私の"心の声による答え"だって。


「おっと……そろそろ時間のようじゃな」


 すると辺りが次第に真っ白になってくる。まじかもうタイムオーバー? 持続時間はアニメ1本分程度だったがあっという間だったんじゃね。

 展開が早すぎて……ちょ、もうちょっとじーちゃんと話したいことあるのに。


「あちょ!? まだ話は……」

「なあにまた会えるよ。 あーちゃんまた気が向いたらお主を呼ぶんでよ、それではまたのう」


 手を振りながらにこやかに微笑んでくれるおじいちゃん。

 ……つうか。あぁそうか。


 じゃなくて!

 まだ。


「ちょっとおじいちゃん!? まだ私カツ丼食い終わってないんだけど!!」


 私はカツ丼を途中までしか食べていないのにいいいいいいいいいいいい! せめて、せめてあと一口食わせておくれ。

 だがそんな私の願いが届くはずもなく、意識がだいぶ遠ざかっていく。

 消えいく意識の中聞いた、おじいちゃんからの最後の言葉は。


「問題なしじゃ。……残りはワシが食っとくからのあーちゃん。 また来たら美味しい物食わせてあげるから待っとれ」


 ふざけんなああああああああ。

 あのカツ丼めっちゃクチャ美味しかったのに。

 最後までカツ丼を完食できなかった事を悔いる私なのであった。


☾ ☾ ☾


【おはようの挨拶はどこいっても大切。これ万国共通な】


「さん……」


 意識が戻る。

 戻った瞬間に誰かの声が。

 聞き覚えのある、優しい声だ。

 ちょっと眠いけど起き…………って。


 ゆさゆさ。

 ゆさゆさ。


 力強い揺れが私の体を襲う。

 やめて、愛理さんの肩が砕けるから!!

 ……うん。


 これ。

 明らかにシホさんだわ。ということは私は夢から目覚めたというわけか。そういえばこの世界に来る前にも寝落ちしちゃったけど、この世界自体は夢ではないみたいだ。ちゃんと眠気とかもくるし現実と見込んでいいだろう。

 それはそれとして。

 このまま寝続けていたら私の体がどうにかなりそうなので、カウントせずに一気に起き上がろう。

 ってかまじで痛い! やめておくれ!

 彼女の揺れに抵抗するように私は一瞬の勢いで起き上がり。


「いたあああああああああいよ! シホさん」


 起き上がるとベッドの上にいた。

 周囲を見回すと、オタクシティの宿屋だった。

 外からはなんかアニメの曲が騒音として流れているし、いやうるせえわ。

 私のベッドのすぐ横にいたのは。


 やはりシホさんだった。……なにこのギャルゲでよくあるようなパターン。

 ヒロインが主人公を気にして、一朝に主人公のところへ駆け寄り看病するあのシチュエーション。……まさかそれが現実になるとは侮れんな異世界。……というかまた顔が近いって!!


「お、おはようシホさん」

「おはようございます、愛理さん」

「……今何時? ……外は朝か。 ていうか起こすならもうちょっと優しくしてね次から」

「すみません、力は入れていなかったのですが痛かったです?」


 力入れずにあの力とは、尋常じゃないだろ彼女の力量。

 周りには……他のみんなの姿はなく、私と……シホさんの2人だけだった。


「他の2人は?」

「あぁお二人なら、昨日の疲れでまだ寝ていますよ。 ……相当疲れたらしいですから」

「そっか」


 ……ずっと私を看病してくれたのかな。

 疲れている様子が顔に出ているような気が。

 気のせいだよね? 気のせい……無理してない…………か。


「ずっと看病してくれたの? ごめんね迷惑かけちゃって」

「いえいえ、とんでもないです。あのあとちゃんとあのモンスターは倒しましたからご安心ください」


 さすがシホさんだね。

 まさかあの巨大な敵を。

 どんな死闘が繰り広げられたのかは想像もつかないが、きっと壮絶な戦いになった? のであろう。


「ありがとね」


 そういうとシホさんはにこりと微笑み。

……シホさんは窓辺から日差しの差し込む、街の景色を見渡す。

 眩しい。朝ってこんなに眩しいものだったっけ?


 まあいいか。

 ……そういえば、2人だけっていうのもいつぶりかな? ……会ってから結構間が空いたような。

 じいちゃんが言っていた内容色々と気になる部分もあったが、それはまた追々として今は仲間と一緒に冒険を楽しむことにする。


 秘めたる力か。

 どれだけこのパーカーぶっ壊れ性能を所持しているのか。

…………私が浮かれ、再び眠ろうと目を閉じようとしたら。


「あぁ! 愛理さん寝ちゃダメですよ! 狂政さんに今日報告しないといけないんですから。頑張って起きて下さい! さっさ!」


 と底知れぬ力で現実世界に戻されてしまう私。

 はぁ。頼むからもうちょっと寝かせて欲しい。いやマジで。

 なんか今うなされたような気分だし。

 その後、なんとか朝の睡魔に打ち勝ち起き上がった私は、他の仲間と合流した後狂政のいる建物へと向かうのであった。

 はあそれにしてもまだ眠いな。

こんばんは1日遅れです。

梅雨のピーク時期に入り雨の日が多めですがみなさんいかがお過ごしでしょうか。

昨日頑張って出そうと思ってはいたんですが、今日は間に合いそうにないと思い今日に出しました。

今回はちょっとした神様的な人が現れますが、今後のこのおじいちゃんの立場としましては、単なる愛理の数少ないアドバイザー役です。

異世界にちょろっと出て大活躍したり、実は黒幕だった……なんてことはしないのでただのサブキャラとして捉えてもらえると宜しいかと。

話を変えまして今週もまた始まりましたが、頑張ってあげていくのでみなさま引き続き読んで下さるようよろしくです。

ではみなさん明日もまたお願いしますではでは。

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