43話 うさぎさん達は、遂に立派な家を手に入れるしかし? その2
【学校の掃除時間ぐらいはちゃんと時間厳守しよう】
え、なんで夜中ばっか投稿しているかって?
それは作者がこの時間帯に出すのがいいんだとか。
邪魔されない一時でマイベストプライス……らしいよ。
って私はまた何をほざいているのだろう。
口がまた勝手に。
「すみませんでした」
「……でした」
今、2人に軽い説教をしているわけだけど。
「それはそうとなんで正座を?」
2人は申し訳なさそうに正座をしている。
私が言ったわけじゃないんだけど、2人が急にこんな体制を取りだしたんだけど……いやそこまで私鬼じゃないんだけど。
からっきしやめるよう促してみたんだけど、2人は沈黙し姿勢を崩そうとしなかった。
というか、この世界に土下座の概念があることに驚いている自分がいるが、説教を続ける私とシホさん。
「いいですか? 物は丁重に使わないとダメですよ! 古いからと言って何でもかんでも破壊するなんて……魔王じゃなんですから」
拳に手を当て、いつもよりいたって真剣な彼女は非常に逞しかった。
尊敬できる、目上のお姉さんって感じで。
2人は相当、物を壊してしまったことに反省している様子で、それは顔に出ていた。
スーちゃん2人は、私とシホさんが留守している間に。
掃除が途中から億劫になったらしく、自分の魔法で全部片付けようと考えた模様。
ミヤリーは、それに対してなんにも疑念を持ってなかったらしく、全てスーちゃんの判断に任せたらしい。
しかしその判断は甘かった。
スーちゃんは物を設置し直すのが面倒くさく、一層ものを全部捨てようと切り出したのだ唐突に。
それで召喚魔法や色々で不要物となる物をくまなく燃やし尽くしたり、破壊などを行っていたらしい。
いや、やり方がとても乱暴すぎ。よくTVとかでよくある大家族系のノリしなくていいから普通に大人しく掃除してくれないかな。もっとまともな魔法あったでしょ! 選択肢が増えると選ぶのも困難になってくるんかね奥が深いな。
スーちゃん一体どうしたんだろうと彼女に聞いてみたら、日が暮れそうだったから正気を保てなかったとか言っていた。
それほどここの、屋敷は広かったのだろうか。
……こうなるなら2人に買いに行かせた方がよかったのでは?
どうしてこうなった。
今ようやく冷静さを取り戻したスーちゃんだが、スーちゃん暴走すると色んな意味でヤバスだね。
天才魔法使いと言えどもまだ子供。
こういう常識外れな面も、これからたくさんみることになるのか。
でもミヤリーもミヤリーで……なんで止めなかったんだよ。
怖くて無理だったとか言っているけど、絶対言い訳臭いよこれ。
で一段落ついて説教も終盤にさしかかり。
「あのもういいからさ、十分反省したのは分かったから……だから楽にしていいよ」
「そうですよね、なんかあまり怒りたくない気分ですよ」
これは私の責任でもある、いや全員の問題か。
すると2人は立ち上がって。
「……こ、これからは気をつけますのでお許しください」
後ろにいる、何匹かの召喚獣達も一礼する。
え、モンスターってこんなにフレンドリーだったの? 感化されているのかな彼女に。
「とりあえずみなさん、全員揃ったので役を分担してさっさと掃除しますよ」
同時「おー」と拳を上げる私達であった。
☾ ☾ ☾
【1人でやるよりみんなで掃除は終わらせた方が早く終わる】
数時間後。
もうじき時刻は16時を回る。
数十分足らずで各部屋はピカピカになり輝きを取り戻していた。
ほこりまみれな数々の室も綺麗に片付き、私達は一息つく。
2階の大部屋。
そこから見える景色は絶景で、街を一望とできる。
みんなでこの間行ったあの場所はどこら辺にあるかなと、窓辺でワイワイ話しながら時間を潰し。
「あそこあそこ……よく泊まりに行っていた宿屋。あそこのおばさん元気かな?」
「元気にやっているらしいですよ、愛理さんがまた来てくれないかと心待ちしているんだとか」
私あの宿屋のマスコットにされてしまっているのかな。
嫌だよ? 絶対人形とか鳴らないからね私。看板娘的な立ち場は拒否します!
「……さてと掃除も大方終わりましたし、モンスターさん達魔法陣は開いておきますから帰っていいですよ」
モンスター達はスーちゃんに一礼すると、彼女の開いた魔法陣に飛び込んでいき帰って行った。
退社する社員達みたいだな。
……モンスター達の働き具合もよく、テキパキと物を運んでくれたり手が届かない場所に関しては私達の言った通りに動いてくれたので非常に助かった。
見た目に反していいヤツらな彼らはまた来て欲しいと、心から願ったものだが。
……部屋の分担も先ほどようやくおえ、各々の荷物はその場所へと置いた。
スーちゃんは2階の端にある1人部屋、ミヤリーはその反対方向の中くらいの部屋に。
そして私とシホさんはこの部屋。
なんで私達だけが2人部屋かというと、2人によるとせめての償いでこの大部屋を使って欲しいとのこと。
いや、まださっきの背徳感に苛まれていたの?
……そこまでしなくても。
でもこれは2人からのお礼として素直に受け取っておく。
この大部屋は、2人ベッド、キッチン、食卓となんでも備わっている。
広々としているせいか、私達4人が入っても全然余裕なスペースであった。
「よし、みんな食事の時はここに集合ね。広いし」
私がそういうと、一斉に了承の声が。すぐに返答してきたけど、どこかの同人界隈でとある人気なママンキャラか。まあ事実私もあのキャラ好きなんだが。まあヒロインもめっちゃかわいいから仕方ないね。久々にあの泣きゲーやりてぇよ。
「食材などは、お台所にある収納ケースに入れましょう。生類は愛理さんの能力でなんとかなるので、そこはお願いしますね」
任される私。
「……狩りの日とギルドで食べる日も決めておきましょうかね」
「それ賛成。必ず食材が手に入るとは保証できないし……おK愛理」
「もちろん。それに食材が傷むってこともあるでしょだったら何回かはギルドで外食しに行くのもありかなって」
私が1人狩りに出れば済む話だけど、あまりみんなに迷惑は掛けられないからここは平等にいかないとね。
地下にある、大浴場はスーちゃんがやってくれるらしく、そこのところは心配要らないと彼女は言ってくれた。
「お風呂ってどう沸かすの? 田舎から来たから分からなくて」
「……水に火の魔法を通して沸騰させます。すると数時間は冷えたりしないで好きなタイミングに自由に入れますよ。蛇口からでる水もお湯にしたり色々できますので安心です」
なるほど。
火の魔法がガス代わりを担っているわけか。え、それってガス代浮かねえってこと!? ガス事業者さんこんなお得な事聞いたら絶対涙目になるやつ。火力が十分ならなおさら。……Oh異世界ってなんて便利なんだ。苦労している一人暮らしする皆様にここで一応詫びとこうサーセン。
「それじゃ、一段落ついたことだし飯でも食べに行こうか」
すぐ隣でもうすぐ倒れ込みそうなお方が1名。
シホさん。もう既にシホさんのスタミナはゼロよ! 早く彼女の補給源をあげなくては。
「シホ。もうお腹空いたんだ。……なら善は急げね」
「……前にも聞きましたが、これほど空腹に陥りやすいとは予想外の減り具合です」
2人共、口では言わないけどさ。
シホさんはね、出会った当初なんて今より空腹モードにすぐなっていたんだよ。
今ようやく前よりかは回数は減り、安定してきたけどここまでの道のり長かったな。
「うぅ……お腹空きました」
呑気に喋っている場合じゃあないなこれ。ミヤリーが言うように早い内にギルドの食堂へ向かわなくては。
スーちゃんが立ち上がり、ベランダへと出る。
「では皆さん手を掴んで下さい。……移動魔法でいきますよ」
仕事が早いね。
前ならば、私がシホさんを連れて行くのに結構時間かかったものが。
私を含む、ミヤリー、シホさんは彼女のいるベランダの外へと出る。
そして手を掴み、彼女の魔法でギルドの食堂へと移動するのであった。
☾ ☾ ☾
【団欒とした間は苦手だけど、こういう間に包まれるのは悪くないよな】
食事の最中。
「そういえば、愛理のそのパーカーってさ色んな姿になれるけどどうなってるの?」
まずは口の中の物を飲み込んでから喋れ! 私でもそんな行儀が悪い食べ方しないぞ少しはみんなを見習ってくださいミヤリーさん。
ごくんと。首辺りをぽんぽんと叩いて飲み込んだ物を下に落とす。詰まるぐらいだったらだから噛めよ。
「で、どうなの」
「うーんまあ臨機応変に色んな力が使えるっていうか」
「興味深いですねそれ。……前から気になっているんですけど色のバリエーションってどれくらいありますか?」
そうきたか。
現に。
私もあと何種類のラビットパーカーが存在するか、把握仕切っていない。
……AIさんならなんか分かるかな?
どうなの?
【……測定不可数えきれません】
つまりはたくさんあるそういうことか。
で。
みんなにはどう伝えようかな。
……。
……。
……。
詰んだ。
なんて言おう。
言う言葉に迷った私は、なんとか誤魔化そうと慌てふためきながらも。
「む、無限大だよ。無限。実は指でへし折っても数え切れないほどの数があってさ」
まだ4フォームしかないけど今はこれぐらいしか他に理由が見つからない。
頼む通ってくれ。
「……」
「……」
「……」
興味深そうに3人は呆然と私の方を見て。
「愛理……」
「愛理さん」
「……愛理さん」
おや、みなさんなんか壊そうなお顔をしてますね。
と私の不安を打ち消すように3人は笑みを浮かべ。
「楽しみにしてますよ! 私の知らない愛理さんの力がまだまだ眠っていると知ることができたのでこれからの活躍に大いに期待しています」
「……右に同じく」
「ライバルとして……見過ごせないわね」
おい、腕組んで偉そうに言っているミヤリーさんよ。
いつ私がライバルだって言った? ……一言もライバル認定はしてないはずなんだけど……まあいいか面倒くさい。
3人に期待されつつ、私はにやっと笑い指で「b」のサインを送りグッドポーズ。
そしてその拳を胸に添えて、堂々と意気込むのであった。
「へへん! 愛理さんに任せとけって!」
こうして本当の私の異世界ライフが幕を開けるのであった。
色んなハチャメチャな展開に巻き込まれるかもだけど、なんとかなるはず多分。
さあ頑張れうさぎさん。 本当の戦いはここから始まったばかりだ、次回また大暴れするぜい!
数時間ぶりですこんばんは。
一応念願のマイホームを手に入れ新しい生活をスタートした愛理ですが冒険はまだまだ続きます。
来週からになりますが、週初めに番外編をまた出そうと思います。
視点は誰にするのか、まだ検討中ではありますが楽しみに待って下さるとなお幸いでございます。
さてこれからうさぎさん一行はどうなるか、次の章ぐらいから新フォーム続々と登場! の予定ですのでまた見て下さるとうれしいです。ではみなさん今回はこの辺でそれでは。




