37話 うさぎさんは、そろそろ衣食住を整えたい その1
【ひとまず相談し合おうじゃないか】
数日。
新たなクエストを受け、資金稼ぎに勤しむ私達。
街近くの草原で只今モンスターを狩っている最中。
「こいつなんか今ぐにょって……気色悪いんだけど」
「お、おう」
感触の悪い音を聞きながらミヤリーが拒む。
いや、そこまで気が引けるようなものなのかな。
「さっき私が一振りしただけで変な音が……愛理なんとかして」
不安がるミヤリーは、私を盾にして後ろへ下がる。
あれ、ミヤリーって結構こういうの苦手なのかな。
そのぶるぶる震える様子は、まるで夜中ゴ●●リを見かけ怯え出す人の反応みたいだった。
おっとこれ表現禁止用語っぽいから、作者の意向も兼ねて伏せておくね。
……って作者って誰。勝手に口が。
漫画? ライター? 動画の主かなにか? ……まあいいか。
だからって全部人に押しつけないでもらえると助かるんだけど。
「ミヤリーさんダメですよ。怯えていては立派な冒険者になるにはこれしきの敵慣れておかないと」
一振りしてそのモンスターを倒すシホさん。
こういうのってベテランが言う台詞なんじゃ。どう考えても言う立場真逆でしょ?
……ミヤリー本当に昔冒険者やっていたの。
一拍おいて彼女は意を決し。
「……んもう分かったわよやればいいんでしょやれば」
渇が入るミヤリーさん。
だが彼女は大切なことを1つ、見落としていることに気づいてなかった。
それに問いかける。
「でさミヤリー」
「へ? なんなのよ」
「そんな格好でどうやって戦うの?」
彼女の今の状況は。
「別にいいんだけど、棺桶の中から外をちらっと見ながら私の後ろに隠れるのやめてくれない? めっちゃくちゃ邪魔」
「あぁ忘れてた。私さっき敵に囲まれて死んでいたんだわあわわ」
また1人芝居のように間の空気に合わせようとするミヤリー。
てぃうんてぃうんと先ほど彼女は、不意を突かれ敵の群れにミンチにされ再び棺桶入りに。
お願いだから少しは働いてくれ。頼む。
目の前にいる、平たいモンスター。これはプニプニと言う。
非常に弱い下級のモンスターなのだが、ミヤリーはこいつと勝負を挑んだところまたもやお亡くなりに。
「私としたことが見落としていたわ。自分が死んでいることにはは通りで体が自由に動かない訳よ」
付け足すと、口はちゃんと動いていますうるさいほどに。
……うんそういえば誰か忘れているような。
えぇと、なんでもやってくれている人だったと思うんだけど誰だっけ。
と私が思いふけっていると、後ろからかわいげのある吐息が。
「…………」
後ろから感じる睨め付けていそうな視線。
鋭い刃のような目つきを送っているその少女。
「……やらかした」
……すっかり存在忘れていたわ。
こういうときに頼りになるのが……そうスーちゃんだ。
私が少女を認知すると、また拗ねその場でしゃがみ杖を使い何かを書き出す。
魔法陣ではない……単なるお遊戯。
1人でいつでもできるアレ。
「へ……。どうせ私なんて。いつも忘れられる私ですよ。存在が薄いだとかいることにさえ気づいていなかったとか……」
あのスーちゃん? ……だめだ虚無感モードに入っていらっしゃる。
機嫌を回復させようと、シホさんがミヤリーさんの方に赴き。
「スーさん。ミヤリーさんを救ってくれませんか? また亡くなってしまいましたので」
自分の事を認知してくれたシホさんに対して、いつもの顔に戻るスーちゃん。
どうやら再び正気を取り戻したようだ。
「……取り出してすみません。蘇生させますねほいっと」
蘇らせ、再び敵の正面に立つミヤリーは。
「おし、やってやろうじゃないの」
曲折にプニプニを、2本の剣で数匹駆除。敏感に手慣れた手つきで体を動かしモンスターを倒していく。
グサグサ。
「どんなものよ! さっきは油断したけど今度はうまくいったわたぐいまれな私の才能あっての強さよ……えっへん」
おいやめろミヤリーそういうのはお約束の"死亡フラグ"っていうんだぜ。
しかし言わない方がいいと伝えようとしたその時だった。
私達の方へ戻ろうとするミヤリー。
周りにはプニプニは1匹もおらず、クエストのプニプニの駆除任務は完了したわけだが。
「あ、ミヤリーさん!」
大声でシホさんがどこかを指し示すかのように。
「し、下! 下……」
? と反応する彼女は踏み込む足を……確認して。
「あっ」
一言。たったその一言。
彼女の足下にある石ころが足の指へと直撃した。
……。
……。
てぃうんてぃうん。
棺桶にリターンする。
あり得ない状況下で、私はそうはならないやろと思いながら違う事を彼女に大声で告げた。
「なんでやあああああああああああああ!!」
木々に留まっていた鳥が飛び去る音が聞こえた。
☾ ☾ ☾
【引っ越し先は条件に合った物件にしよう】
クエスト終了後。
夜暗のギルド内で、食事をとりながら話す私達。
そういえば、みんなまだなんだかんだ20歳いっていないんだよね。
ミヤリーは本来20超えている年齢なのだが、今の表面上止まった時の年齢で蘇っているためまだ未成年である。
因みにミヤリーの年齢は今15。いや私と一緒じゃん。
そんなことはさておき1つ私は話を持ちかける。
「そろそろ家が欲しくなってきたんだけど、みんなどうかな?」
家。
どの世界でも家というものは必須。
冬場になれば冷え込むだろうし、今のうちに場所を確保しておいても。
「名案ですね。……そろそろ自分のすみかが欲しかったですよ。……それで当てなんかありますか?」
言われて1枚の紙を机にぱんとおく。
「おぉ」
一同、感動を覚えるかのようにその紙を真剣に凝視。
いや全然ガチで選んだとかそんな事はないよ。たまたま目に見入っただけだし。
家の報酬が付いた豪華なクエスト。
達成してくれれば家をただでくれるだそう。
大きさは広々とした、屋敷みたい。
屋敷……っていうとあれか? ほら豪族が住んでいるような立派なお屋敷。
1度入ってみたかったんだよねそういう家。……その報酬の家はあとにして肝心なクエストの内容はというと。
「……興味深いですね湿地帯に住む全身が泥まみれのモンスターを退治しろと」
「全部で100体ですか。まあ私達の手にかかれば簡単ですよね。……愛理さん」
いや、そんな分かっているよねみたいな顔でこっちを見られてもね。……どういう反応をとればいいだろうか。
……というかだいぶ数がインフレしてきているような感じがするが、私の気のせいか?
「うん……だ、だよねとりあえずまた倒しに行くか。……簡単そうだし」
みんなの笑顔が怖いのは一体何だろうか。
私はまーたなんか失言をしたのかな。いやこの状況でまずそれは……。
みんなの顔から大量の汗が。
ポタポタと。チキっている様子をみせながら。
あのみなさんどうしたんですか? ……そんなにやばいのここのエリアってさ!?
こうして私達は報酬の家を求めて、その湿地帯へと赴くことになった。
しかし今考えればそれは軽視しすぎたかもしれない。
なぜならあんな過酷な目に遭うだなんて……。
ってそこ「またかよ」とか口に出すのは禁句な。
して翌日、湿地帯のモンスターを倒しに行く私達、うさぎさん一向であった。
今回は会話パートですこんばんはです。
最近また暑くなってきたようで、温度に追いやられる私ですが頑張って執筆しております。
度々、小説の中で現実ネタや私事的なネタを入れ込んでいますが……飽くまでノリですはい。
メタ発言的なことを主張する愛理ですが、彼女はそう言ったキャラです。あ、こんなこと彼女が聞いたら一発でぶん殴られてKOされそうですね。……それはないか。
次回、もらった能力を少々公にしつつ楽しんでもらえるような内容にして以降かなと考えております。楽しんでもらえるかはさておき、また読んで下さればなによりです。
今日は撃ちの場所ではな、な、なんと温度が30度越えに。いやサウナかよっ! と心の声を言う私ですが……皆様も出歩く場合はご注意してくださいね。おぉ暑い暑い。
それではみなさん読んで下さりありがとうございました。6月初めですが、今月も頑張って書いていきます。ではでは。




